石造りの街であなたに出会ったとき
私は別の人と一緒でした
あなたはひとりで
何をしに来ていたのでしょう
オープンカフェで昼下がりに
穏やかな季節の風景を眺めながら
蜂蜜を絡めてこんがりローストしたフォアグラの
サンドウィッチを片手に
私は遠い街で出逢った別の人のことを考えていました
私の連れは舞踏会に行く準備がしたいと
そそくさと食事を終えて
ホテルに帰ってしまったのです
あなたは再び現れて
私の目の前をとぼとぼと通りすぎて行きました
とぼとぼと
その牧歌的な雰囲気に
私はいいしれぬ可笑しみを覚えて
思わず顔の筋肉を
映画スターのようにキュートに締めたのです
それからあなたのことを
しばらく考えていました
なんとなく
いろんなところで出会い
挨拶を交わし
すれ違ったあなたと私
いつのまにか夜になって
私は石の外壁の周りを回りこんで
舞踏会の会場に連れと行きました
シャンパングラスとワイングラスは
こうも様々な種類の優雅な線と輝きを
描いているものなんだと感心していると
そこに銀の皿でカナッペをサーブして回る
あなたが現れました
階段の上の壁には
ライオンの彫像が貼り付けられています
私は笑顔を作って
舞踏会をこなし
部屋に帰りシャワーを浴びると
ベッドに倒れ込みました
そこにはあなたが居たのです
なんということか
連れはあなただったのです
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