花の香りに包まれる
どんな花が香っているのか
目を閉じて想像しながら
月の明るい海に漕ぎ出す
近くで波音はするが
海は静まっている
小さな船は
めまいを起こしそうな揺れを続けるが
あなたと私はしっかりと結び合って
酔うことも受け付けない
たしかなお互いの感覚を
確かめるだけだ
遠いような近いような
未来のような
懐かしい景色の中にいるような
今までにない想いが
とどまって波打つ
あなたは
揺れが収まるタイミングで
小さく声を漏らし
喉の奥に仕舞い込む
私たちは目を開けているのか
瞑っているのかも分からないまま
どこかへ進もうとしているが
同じ場所を行ったりきたりするばかりだ
あなたはずっと
私の腕に長い指を巻きつけてつかまったまま
疲れることも知らないようだ
どこかで
鳥が飛び立ったような気がして振り向くと
それは
あなたの胸から
たったいま飛び立った
透明な鳥だった
月の光の反射で
その輪郭だけが
空に上っていった
今日は、唇が濡れているんですね^^
返信削除月の明るい海に浮かんでいるような気分になりました。
透明な鳥は、祈りの象徴でしょうか。
人は海から命をもらったから、
返信削除濡れていないと命が枯れる。
でも、水の中では生きられない。
やっかいな生き物ですね。