心にフィルターがかかり
いつもの街の上を動き回る人々が
よく見える
自分の様子もよくわかる
夜になりライトアップされたオブジェの赤い色が
くっきりと見える
足を交互に投げ出して
歩くことができる
友だちと話すこともできる
うまく喋っているつもりでも
どこかがおっかなびっくりなところがあるが
相手のいたわりが感じられ
気を遣う
最近忙しすぎた上に
過大なストレスを抱えてしまったのだろうか
普段の流れから弾かれ
改札口で歩くことができなくなり
友だちからかかってきた電話にすがりついた
間もなくやってきた友だちは
明るい笑顔とハキハキした態度で
肩を抱えて
歩いた
カフェにはいると
きょうは何か食べたか尋ねられ
食べていないと答えた
運ばれてきたパスタを食べてみた
美味しいのかどうか、いつまで食べたらいいのか
考えた
友だちは心配していた
私も心配していた
何がどうなってしまったのだろう
やるべきことをするため
休むことにした
周りの人が助けてくれるだろう
かえっていいかもしれない
それまでよりもっとうまくいくかもしれない
家に帰り
友だちにコーヒーをいれてもらった
こんなありがたいことは初めてだ
窓の外の空に
月がこうこうと輝いていた
死んだおばあちゃんにおぶられて見た月だ
お月さん バンコンワ
コンバンワではない
おばあちゃんは何度も繰り返していた
お月さん
バンコンワ
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