2011年2月24日木曜日

あなたが見たもの

あなたの眼が見てきたものを
わたしも見たいのに
わたしに見えるのは
荒れた日照りの道を歩いてゆく
あなたの眼
あなたの姿
そして
あなたの唇を塞ぐ
砂混じりの風

あなたが旅立った訳を
あなたは知らない
知ることは縛られることと分かっていたから
あなたは自らに問いかけることなく
旅立っていった
すべてをそのままにして

あなたがわたしの前に現れたとき
わたしはあなたに夢中になった
あなたはあなたを
わたしに惜しげもなく差し出した
次々とボタンを外して
すべての服を脱ぎ捨てて

あなたのからだは
夜の中で陶器のように輝いた
触れ合った部分が熱を帯びて
しっとりと引き合った
あなたの長い脚はわたしに絡みつき
わたしの手はあなたの膨らみをおおった

あなたが見てきたものの中に
わたしも含まれるのだろうか

わたしはあなたの眼になって
見えるものを見て見たいけれど
あなたを見るわたしの眼は
何を望んでいるのだろう

眼をつぶりあなたを見る
眼をあけると
あなたはわたしを見ていないから

1 件のコメント:

  1. もどかしいから、愛しい想いが募るのだろう。

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