2014年6月29日日曜日

死んでいったひと と 生きている私

死んでいったひとが
生きている私に
何を望んでいるのかはわからない
ただ
生き残ってしまった私は
死んだ人のことばかりを
考える
それが的を射ているかはわからない
いや 多分外れているにきまっている
私はそれでも
いつも死んでいった人の傍らに戻って
いつもと同じことを『癖』のように考える
あなたは何を言おうとしているの
その笑顔は何かの皮肉なの
何度繰り返しても
その答えが
返ってくるはずはない
返ってくるとしても
きっとそれは私が何か別のことに夢中になっている時
メールの着信のように
ブルっと私の体のどこかを震わせて
やってくる
素知らぬ姿で

だから私はそれに気づかない
それに気づけない



生きている私に
死んでいる人のことは分からない
どうしても生きている人の事情で考えてしまう
生きていると
死ぬ気でやればできることがあるような気がする
けれど
私は死ぬ気でやったことがない
死んでいる人たちは
生きる気でやればなんでもできると思うのだろうか
死ぬ気で生きるとはどういうことなのか
死に近づこうとすることなのか
例えば息を止めて真っ白になって
生きるということなのか
そうすると
死んだ人と近くなるということなのか
それが死に物狂いでやったことへの
褒美だと神様は思っているのか




トーストを焼きながら
死んでしまった人のことを思う
死んだ人は
トーストが焼ける匂いと
焦げ目に塗られたバターの狭間で
何を考えているのだろう
その死んだ人は
私が創りだした人と
いつの間にか入れ替わってしまっていやしないか
ミルクを注ぎ
フライパンを流しに置く
死んでしまった人は
どこにいるのだろう
まさか
私の中にいるというのだろうか




大事な人が死んでしまったので
大事なものが一つなくなりました
大事なものが生み出したであろう思い出は
数えきれないほどなくなりました
大事な人が死んでしまって
大事な人が大事な人であったことがよく分かりました
でも大事な人は
死んだのが自分でよかったと思っているのでしょうか
私が生き残ってよかったと思っているのでしょうか
大事な人は
本当は一緒に死にたいと思ったのではないでしょうか
もし私だったら
大事な人と死んでも一緒にいたいから
そんなふうに思えます
でも大事な人は死んでしまったので
聞きただすことはできません

大事な人は
きっと私と一緒に死にたかったのだと思います
死んで私と会えなくなるのは
死ぬこと以上に辛かったに違いありません
でも私は
たとえそうだったとしても
ひとり 生き残ってよかったと思います
大事な人と別れてでも
生きていてよかったと思います
なぜかは分かりません
あれから季節がいくつも過ぎて
またこの季節のこの芳りが
私を包むからでしょうか
きょうは
薄ぼんやりした明け方の景色の中で
そんなことを考えているのです




あなたがどうやって死んでいったか
何をみて
何にすがりながら死んでいったか
私にはわかりません

死が訪れて
あなたの体に何が起こったのか
あなたの思いや気持ちが何になったにか
私にはわかりません

あなたはあなたの体から離れ
目も耳も口も何もかもなくなり
脳に収められていた記憶もなくなり
体の感覚もすべてなくなり

もうあなたには何も
残ってないのでしょうか
私はあなたを思っているけれど
あなたにはもうなにも
残ってないのでしょうか

2014年6月21日土曜日

私が眠れないのは

私が眠れないのは
契約を結んでいないアイツが
どこかの街で
パーツを売買し続けるからだ
私はとりあえず眠らずに番をしなければならないのだ

アイツが誰と契約すべきか
私は知らぬ
アイツが誰であるかも
資格があるかどうかも
関係ないし分かりもしない
私がどこを見張っているかさえ
とっくに見失いどうでもいいこととなった

アイツは独りでやっているようで
時に群集だ
アイツは満足気に笑うこともあるが
さめざめして泣くことができないこともある
アイツは二人称を装った
三人称もしくは一人称だ

私は夏の太陽になまあくびをして
二の腕に刻印を押す
だがその刻印は白く濁っている
ねじりの利いたブレスレットは汗に溶けて
退色している

私はアイツを許さないだろう
だがアイツが私と会うことはないだろう

アイツはなぜ売買しているのか
私が番をしている罰として
アイツは売買をつづけるのか

売っては買い
買っては売る

買っては売って
売っては買って


2014年6月19日木曜日

忘却 それは盆地か

昼間のノイズ
白いレースのカーテンが風に揺れている
室内と外とを往ったり来たりしている
地球の
視える限りの球の頂点にいるはずなのに
なぜだか
忘却という名前がついた盆地の底深く沈んでいるのだと
感じる

机の上のモニターのスピーカーから
自分が歌詞を作った歌が聴こえてくる
地平線の彼方には
もう還ることがない人がいるにきまっている
しばらく会わない人も混ざっているかもしれない
ピアノが歌を盛り上げる
私の心も引かれていく

こうして心が動くことは幸せなことだ
幸せは
生活を見つめた消費者のためにだけある言葉ではない
あたりまえのことだ

椅子の上に私はいる
しばらくすると
椅子の上に
私はいない

忘却のコンパスが狂ったように
回る
その針の先が私を指している
意味はわからない
ドアを開けて外にでれば
日差しが照らすだろう
時刻表が導くだろう
太陽を裏側に回した地球の闇の海の真ん中へと

2014年6月18日水曜日

どうしてこんなにキスしたいんでしょう

どうしてこんなにキスしたいんでしょう
キスしたくてたまんないんでしょう
あなたはわたしのまえで
もうはだかになっていて
わたしをこばむけれど
紐で縛り付けられて
身動きができないあなたを
いたぶるように
キスすると
それを合図に
あなたとわたしのまわりに
お決まりの虹色の輪がひろがり蝶が舞う

どうしてこんなにキスしたいんでしょう
もうあなたは
わたしと長いキスをして
合わさった部分からとろけている
どうしてこんなにキスしたいんでしょう
わたしの眼はあなたの上に
わたしを重ねて映すばかり

夏の予感が肌を刺す日に
わたしはバスに乗って美術館をあとにするけど


2014年6月16日月曜日

さわやかな風

さわやかな風がほしい
と いって
かれは走りだした

風を
起こして

大事な時を

次のチャンスが巡ってきたら
今度はきっと手に入れる

チャンスが来るのを待っていて
前に進むの忘れてる

チャンスはどっちの方向からやってくるのか
知っているの?

きっと思いもよらない方向からやってくるから
それを手にするには
敏感なセンサーと
機敏な動きが絶対必要

だから
ただ止まって待っていても
いざという時 動けない

次のチャンスが巡ってきたら
今度はきっと手に入れる

言っていたあの子が
チャンスが来るのを待っていて
前に進むの忘れてる

あの子が
自分自身がチャンスをまとっているのに
気付かずに
いまも
大事な時を
やり過ごしてる


2014年6月12日木曜日

一枚の葉

まだ寝ているのかい と
風に翻った葉っぱが
窓越しに語りかけてきた

ぼくは
眩しくて眼を覆った
そして
あたらしい一日に挑もうと
心にエンジンをかけようとした

オイルが切れているのか
エンジンは頼りない悲鳴をあげて
ぼくに助けを求めてきた

ぼくは
素知らぬふりを決め込んで
小さなエンジンを抱えたあの子のことを
考えた

歩く早さを合わせれば
話すことができる
ぼくが見つめれば
見つめ返してくれる

ふたりが歩いて行く遠景を
眺めている
高台にある一本の樹の
一枚の葉よ

2014年6月10日火曜日

みちるからのお知らせ

みちるです。

いつも読んでくださっている方、ありがあとうございます。
いままでこのブログを、ほぼ毎日更新をしてきましたが、
暫くの間、不定期とさせていただきます。

毎日更新することも可能といえば可能なのですが
もっと創作の方向性をきちんと打ち出すために、
それに適わないものは発表しないことにしたいと思うからです。

そうはいっても、
まだ方向性に迷いがあり、揺れ動いて入るのですが。

どうか、わがままをお許し下さい。
そしてこれからも
みちるの詩をご愛読くださいますよう、お願いいたします。


みちる



2014年6月7日土曜日

古傷のようになってしまったわ

私は西の空に太陽を沈めているというのに
あなたは日が暮れるのを見ることもできない
私は八百屋と肉屋でアルバイトして
サラミを店主の目を見てつまみ食いしたが
新入りのカレとカノジョのカップル(アルバイト)は
生ハムとワインまでいただいちゃってる

古傷のようになってしまったわ
空の割れ目から声が聞こえてきた
階段を登るとき
西日が差して胸が傷んだ
私は傷ついた人が口にするまえに
声を出して言う
古傷のようになってしまったわ

2014年6月6日金曜日

あなたのとなりにねころんだら

あなたのとなりにねころんだら
ちくちくした
あなたからはなれたら
こころが しくしくした
あなたがどこかへいってしまったら
しくはっくした
あなたがべつのひとといたら
はなが ぴくぴくした
あなたがわたしをころすっていったら
ちかちかした
おかしいな
もう おほしさまになったにたい
わたし

2014年6月4日水曜日

夜風の香り

夜の風に混ざっている香りは
何?
窓から入ってくるこの香りは
何?
あなたは黙って考えごとをしているけれど
私はあなたが何を考えているか
薄々気づいているのよ
さっきから
あなた
私に言い訳をしようとしているけれど
私は何も問い詰めないのよ
ただこの夜風のように
私の思いを香らせられたら と
思っているだけ
ただ
それだけ

2014年6月3日火曜日

対象を切り裂きながら

椅子に腰掛けている女
という絵を
観ている女の肩に
男が手を回している絵を
若い女が見入っているのを
若い男が見ている

その様子を私が見ている
美術館のフロアは
猛暑の世界から隔絶され
くだらない騙し合いの世間とも無関係で
絵の亡霊たちに囲われ結界が張られ守られている

私は誰かと待ち合わせて
三階のレストランでランチをいただくことにしよう
初めてここに来た日のことを
胸の中に確かめながら
ナイフとフォークで
対象を切り裂きながら

2014年6月1日日曜日

泣いている人

泣いている人がいる
泣いている人は
泣きながらどこかへ行こうとしている

泣いている人は
自分の涙に濡れている

濡れていない場所が
濡れている場所を際立たせるので
もっと全体が
濡れたらいいと思う

どこかで
川が流れて その音が
泣いている人のうめき声を隠す
さらには
船を漕ぐ音が
泣いている人をせきたてては
打ち消す
それを 繰り返している

泣いている人は
泣きながら何かをしようとしている

自分の涙に濡れながら
その涙を
曇り空へ
蒸発させながら


2014年5月30日金曜日

待つ人

待つ人の気持ちは同じ

あなたは言った
待つ人の気持ちは同じだ と

本当に そうだろうか
待っていないあなたに
何がわかるというのだろう


待つ人は
見渡すかぎりの広い海を
漂っているよう

待つ人は
話したいことを心の奥に仕舞いこんで
確かめているよう

待つ人の気持ちは同じ

あなたは言ったけど
あなたは
待ったことがない
私はいつも
先にいるから
あなたが来るだろう場所に





2014年5月28日水曜日

なやみすぎて

なやんで なやんで
なやみすぎて
なにがなんだか わからないけど

ひとつのこたえ
もうひとつのこたえ
どちらでもいいと
おもいました

でも また
なやんで なやんで
なやみすぎて
もうひとつ    こたえが
でてきてしまいました

あれ
もうじかんぎれ
どうしよましょう

こたえがでないから
あきらめましょう

2014年5月27日火曜日

好きな人に会って

座布団を床において
古びた毛布を体に巻き付けて眠る人

私はそれを横目に
今から会う恋人に電話しようとしている

きのうは別の人と箱根の住宅地を歩きまわっていた

何度も電話をかけ直すが
繋がらない
雨のせいではないだろう

強い雨が先程から降り始め
側溝はあふれ始めている

テレビが警戒警報を告げる
座布団の人は
もう眠ってしまったのだろうか

家に帰って眠ればいいものを
タクシー代を惜しんで
店の床に寝ているのだ

女郎花の花が
店先で香っていた
私はなんとしても
好きな人に会って
この夜を
やり過ごさなくてはならない


2014年5月26日月曜日

貝殻と 私

砂浜に 埋めた 貝殻が
夢見て 
私の 夢の中で
一緒になりました

波の音 と
朝焼けが 二人を
包んで います


貝殻と 私とは
いつか 愛しあったのでしょうか
きっと
そうに きまっています

2014年5月25日日曜日

よわいあなたをまもるために

よわいあなたをまもるために
わたしもよわくなりましょう
これでふたりはおんなじです

こわいゆめにおそわれるひは
こわいことをたくらみましょう
これできれめはありません

しろいきりがたちこめたなら
しろいふくででかけましょう
きりのなかでいきたえるでしょう

2014年5月24日土曜日

あいたいけれど

あいにいきたいけど
あいたくない
あいたくないけど
あいにいきたい

あいたいけれど
あうときっとドキドキする
ドキドキするから
あいにいきたくない

だけど
あっちゃった
あいにいくとちゅうで
あっちゃった

あってよかった
あわないなんてかんがえられない
いつかも
こんなことがあった
あれはずっとむかし
だけど
おんなじきもち
あいたいけれど
あいたくないきもち

2014年5月23日金曜日

たねはおどる

ふっさふっさ
ふわふわ
たねをうえました
ジョウロでみずをあげて
すきなうたをうたいました

ちかちか
きんきん
ほしがでて
つちをしずかにてらしたら
たねがかおをだしました

ふっさふっさ
ふわふわ

ちかちか
きんきん


2014年5月22日木曜日

さびしいよるは

さびしいよるは
さびしさをともだちにして
ねずにかたろう
ちいさなことばで

さびしいよるは
いつかまたやってくる
そのときがきたら
おかえり って

いってみようか




2014年5月20日火曜日

究極のディナー *「美味しんぼ」を意識してしまった(汗)

・パルマ産生ハム
・イタリア産サラミ2種
・自家製コッパ
・たっぷり野菜のカポナータ
・かぼちゃのスフォルマート
・ロシア風ポテトサラダ
・ロメインレタスのシーザーサラダ
・マグロのカルパッチョ
・ガーリックトースト
・季節の温野菜 バーニャカウダソース
・鶏肉のローマ風煮込み
・本日のパスタ

美味しそうな食事はいらない
あなたさえいてくれれば

そして
笑顔をこぼしながら食事している恋人たちを
レストランのウインドウ越しにながめて
街路樹がざわめく星空の下
この季節の香りで胸を満たそう

そこには
お互いの香りが混ざっている
これが私達の究極のディナー

2014年5月19日月曜日

みちみちわたしが

いらないものを
すてにいく
みちみちわたしが
いなくなる

こないてがみを
まつよるに
だせないてがみを
かくします

すあしにサンダル
すなけって
ふるあめごとに
わすれてく

あきちのはなに
わらいかけ
まえをむいたら
ないたかお

2014年5月17日土曜日

ぼくが暗い目をしているのは

ぼくが暗い目をしているのは
瞳にさざなみを立たせないため
木陰に身を伏せて
太陽の熱を避け
風も気付かずに頭上を行き過ぎる

ぼくがあなたに近づかないのは
あなたに知られることなく
あなたを見つめるため
いつまでも見つめているため
あなたの何もかもを
吸い込んでしまうため

あなたとの間に物語を作るため
その方法を見つけるため

その奇跡を逃(のが)さないため

2014年5月16日金曜日

また夏が来る

まっていてください
待つ人がいない私を
と 小さな鳥に頼んで
外に出ると
懐かしい木の香りがした

もうすぐ夏なのだ

また
夏が来ることが
私はうれしい
あの輝いていた日々が
また私に訪れるだろうか

答えてくれるものはない
けれども
耳打ちしてくれるもの
チラチラと光って
合図してくれるものがあることに
私は
お礼を言いたくなった

ありがとう
ありがとう

2014年5月15日木曜日

仕事

彼は楊枝の先をとがらせる仕事しています
彼女はマッチ箱にマッチを詰める仕事をしています
二人はいつも一緒にランチを食べます

私の職場は二人とは遠いので
私はたまに仕事を休み
一緒にランチを食べに行きます

私の仕事は
針金を曲げてクリップを作る仕事です

2014年5月14日水曜日

ーーきょうの夢 5月14日

ハザードをつけた車の人が後ろのバスに注意される
男が「今日は碁盤の目の敵討ち」と言いながらスズメを次々に燃や
見ると片方の手のひらに蜂蜜があり火がついている


ーーきょうの夢 5月14日

2014年5月13日火曜日

だれもまだ本に書いたことがないことを 彼は書いていました

だれもまだ本に書いたことがないことを
彼は書いていました

きのうの夕方のことですが
彼は
まだだれも
訪れたことがない島にいました

そこには何故か
木の椅子があって
天板がタイルで作られた机もありました

彼は
その場所にいました
 (今はいませんが)

彼は
今までの人生ではなかったほど
スラスラと 万年筆で
革の表紙のノートに
書いていたのです

いま
彼がどこで何をしているかは
この文を書いている私にも分かりません

ただ
だれもまだ本に書いたことがないことを
彼が書いていたということを
知っているだけです





2014年5月12日月曜日

ネガイ

ミンナニテイル
ミンナオンナジ
スレチガウヒト
アルイテイル
キモチヲカカエテ
ニソクホコウ

アイハアルカ
スキナヒトハイルカ
キライナヒトハイルカ
アキラメテイルコトハ
ドンナコト?

スレチガウヒト
ニドトアワナイ
マタアッテモ
ワカラナイネキット

ミンナニテイル
ミンナオナジ
ジブンダケトクベツ
ココカラミテル
ミンナノコト

ワタシノキモチ
ワタシガミテル
ミテルワタシノキモチヲ
アナタ
オシエテヨ

アナタ
タスケテヨ


2014年5月11日日曜日

ことばでないものでかたるもの

ことばでないものでかたるもの

公園の錆びたベンチの上で
行きずりの風と一緒

目に入ってくる
下弦の月

ツツジが薄暗がりで色鮮やかに
たむろしているのは
いまの私たちとおなじ

誰もいない場所で語ること

原宿駅のホームにせり出した
神宮の杜の緑
その幾千枚の葉

ことばでないものでかたるもの
涙をこぼさずに眠りについたもの

さっき
表参道で行き交っていた人の群れ
ぬるい空気をかすめて
上空を飛来する
尖った鳥の嘴

2014年5月10日土曜日

逃げた鳥

小さいころ
私が窓を開けて逃がしてしまった
妹の鳥が
森林の上空をさまよい飛んでいる

恨み言を言っているのかと思ったら
もうそんなことは言っていないよ
という

ほんとはずっと心配だった
きみのこと
だれにも言わなかったが
わすれることもなかった きみ

いま
太陽の下で
紙に書いて告白します
窓から逃げていったきみの生きる道は
どんなにか
変わってしまっただろう

私が窓から逃げ出したのは
きみのことがあったから
帰る窓は
なくなてしまったけれど
きみが恨んでないと知って
私もきょうから
恨み言を言わずに
生きてゆける

このまちの上空を
さまよい飛んで


こまったもんだい

いぬをハグするおんなのひとが
いぬにかおをなめられている
きれいにけしょうをしていたが
はげてしまっている

わたしは
みてみぬふりをする
わたしはあんなになかのいいひともいなければ
いぬもねこもいない
あのなかのよさは
どこかいたいたしいとかんじてしまうから

ひとしきり
なめられおわったおんなのひとが
わたしにちかづいてきて
あいさつをする

さめたあいさつだ
わたしは
けしょうがはげたはだを
いたいたしくおもうが
おんなのひとは
それをきにしているようすがないので
わたしはじぶんだけがきをつかっていることに
いらいらしてくる

しかしかおではわらっているので
わたしはきっといやらしいにんげんになってしまっているのだ

なんということだ
いぬをはぐして
かおをなめられるおんなのひとのおかげで
わたしは
こころがくもってしまった

どうしたらはれるのだろう
いっこくもはやくおんなのひとからはなれて
すきなジェラードでもぺろつくか

あ まてよ
ジェラードのきもちにわたしいっしゅん
なってしまった
ああ
こまったものだ

2014年5月8日木曜日

ゆめのなか

ねむるとき
むねのなかが
そわそわして
それがいやだから
ずっとおきてあそんでいたいのに

だれかが
わたしを
ひきずりこんで
むねのなかが
そわそわして
わたしが
どこかへ
いってしまう

いきなりみえたのは
みおぼえのあるばしょ
だけど
みんな
いつもとどこか
ちがってる

わたしが
どこかからわたしをみている
これはゆめのなかなのか
たしかめてみたら
どうもゆめではないような
きがしてしまう

おきたあとに
かんがえてみると
やっぱりあれは
ゆめのなか

ゆめのなかのわたしは
わたしのなかで
ねむってしまったんだ

きっとねむるとき
むねのなかが
そわそわしたでしょう


2014年5月7日水曜日

か行の歌

きってをはって
てがみをだした
きっとへんじは
こないでしょう

きっぷをかって
このまちにきた
きみとは
けんかばかりです

きいてほしくて
でんわをかけた
きらわれそうで
すぐきった

きつねのこども
きままにさんぽ
きいろいこすもす
コンコンコン

2014年5月6日火曜日

アミーゴ シルブプレ

アミーゴって
ぼくは いった
いみは わからないけど

ごろにゃーごって
コジイが いった
ぼくには
いみは わからないけど

シルブプレって
ぼくは わらいながら いった
ぴちょぴちょぴーって
ピーニョがいつものように いった

ごはんできたわよって
ママがきて いった
ぼくは
いただきますって
スプーンをもっていった

テレビが
うたをうたってた
おちゃわんが
かちかちっていった

2014年5月5日月曜日

おさるのべんとう

おさるのべんとう
なかみはなあに
のぞいてみよう
おいしそう

しろいごはんに
おかかにうめぼし
こげめのついた
たまごやき

ぼくのべんとう
おやつはなあに
らっぷにつつんだ
ばななはんぶん

おさるとおなじ
だけどおさるは
まるまる1ぽん
ぼくははんぶん

さびしいな
さっちゃんの
うたといっしょだ
おさるはいいな


2014年5月4日日曜日

森の化石

森が白い球を隠し持っている
初夏の日
私はそれに気づいた

森は青い空を背景に
森のような顔をして
佇んでいる
(森は自分が森ではないと
 自ら思おうと努力していた)

森は
人の眼を信じていないので
高をくくって
堂々と なし崩して
白い球を高く掲げている

森は油断し
木々に注意をうながすこともしない
昔はそうではなかったのだが

森は淡い夢を見ている
その白球を
あの恐ろしい強打者めがけて投げ込むことを
投げ込まれた白球は打者が翻弄する隙間もないほど速く
おそらく音速で捕手のミットに収まる

その一部始終を
私は目撃するだろう
森は完全に敗北するだろう
森としての役目は
その時終わる
森の木々は
もうただの木の一本一本となり
化石とともに
地に横たわる道しか残されていない

2014年5月2日金曜日

名もない命として

空気が閉じ込められた
一粒の氷
グラスの中で揺らすと
心地よい音がする

私も
心地よい音で
鳴りたいと思う

遠い雷雲から落下した滴が
地を這って希った果てない夢を
この喉で受け止めて
声にしたい

星空の電波で
この星の人に伝えたい
人としてではなく
名もない命として

2014年5月1日木曜日

ビルのガラス窓に映った雲が
流れていく

あの雲は友だち
雨を降らさない雲は
何のために漂っている?

私たちを見下ろして
気分がいいだろう
きっと自分の小ささを感じて

大志を抱いているだろう

2014年4月30日水曜日

ともだちにしよう

ちからをもてあますより
なにかいいことにつかいたい

いらいらするより
みかたをみつけていっしょにてきにいどもう

うつむいてふさぎこんでも
あしもとのちいさなはなからパワーをもらおう

すぎたひびはにどとこない
これからくるひびをともだちにしよう

2014年4月29日火曜日

はなびらのかげに かくれて

はなびらのかげに
かくれて
めをつむり
こわいことが
おわるのを
まっています

すると
いいかおりが
わたしに
しらせてくれます
もう
こわいことは
おわった と

わたしは
めをひらいて
はなびらのかげから
でていきます
でんでんむしが
うしろから
ながめています

こわいことはもうおわり
そこには
いいかおりのくうきが
あるだけです
わたしは
はなはつよくて
すごい とおもいました

でも
ちいさなはなのたねが
まだ わたしのぽけっとのなかで
めをつむってふるえていました

2014年4月28日月曜日

ミミナガペンギンがとおせんぼしていた

ミミナガペンギンがとおせんぼしていた
ぼくはオナラをしにあっちへいきたいのに
オナラはひっこんでしまった
そしたらミミナガペンギンがしゃっくりしはじめた
ぼくはくまざさのあはっぱで
ミミナガペンギンのみみをこちょこちょした
するとミミナガペンギンはのたうちまわって
わらうのをこらえてた
うえのほうからおならのおとがきこえた
ペリカンきょうだいがそらをとんでいた
ぼくはしゃっくりしたくなったが
がまんした

2014年4月27日日曜日

友だちとけんかした日

ベランダに放ってあった古い木の椅子と
1年ぶりに咲いたチューリップが
気持ちよさそうに
いっしょに日差しを浴びている

いつの間に
仲良くなったの?

言葉をしゃべらないものどうし
どうやって仲良くなったの?

友だちとけんかした日


2014年4月26日土曜日

心のなかに

心のなかに
空を取り込んだ
目を瞑ると
そこに青空が広がり
ゆっくり息を吸うと
雲が風に流れはじめた

静かにしていると
時間も佇んだ

頭をを回すと
宇宙が転がって
夜の星と昼の太陽が渦巻いた

心のなかに
自分もとりこんだ
見渡す限りの草原を駆けて行き
丘から世界を見渡した
地平線が空と地との境界を記していた

心を手にとって
柔らかさを確かめた
少し固かったので
揉みしだいて柔らかくした

頬が緩み
目から涙が落ちた

舌先で波が打っていた
海鳥が飛び交い
私は小舟を海に浮かべ漂よった

心の空に
花火が打ち上がった
昼間なのに
まばゆい光の輪が広がった

2014年4月25日金曜日

階段を降りたところに

           」
          」
         」
        」
       」
      」
     」
    」
   」
  」
 」


ある夕
急な階段を降りたところにあなたは立っていた
私が声をかけようとしたら

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
あなたはサッシを開けて庭の細い道を
うさぎのように逃げていった

あれから
あなたの姿を見ない

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同じような毎日が続いた

私は再び
階段を降りてあなたを見つけようとしたが

階段を見つけることができなかった

2014年4月24日木曜日

こわい ねむりおとこ

ひとのゆめにでてきて
ねむってしまう
ねむりおとこ

ねむりおとこが
でてくると
みたひとは
ねむれなくなる

それは
ねむりおとこは
ねむりおとこをみたひとのかわりに
ねむってしまうおとこだから

だが
ねむりおとこをみたひとは
おきているとき
ねむりおとこのことを
おもいだせない

ねむりおとこは
みたひとがねむらなくても
みたひとのかわりに
ねむってしまう

たまに
ねむりおとこが
どこかにでかけると
ねむりおとこをみたひとは
ねむれる

ねむりのさかを
きゅうこうかして
ねむりにおちてゆく

そして
ねむりおとこのことを
おもいだして
こわくてふるえる

ねむりおとこが
かえってきませんように
といのる

いのりながら
ゆめをたてつづけにみる

そして
めをさます

いや
はんたいだ
ほんとうは
いま
ねむりにおちたのだが
それに
きづくことはない











ここにある
ねむりおとこの
しゃしんが みえますか



2014年4月23日水曜日

きんぎょ

みていたの?
きんぎょ
ひかるあぶくの
ネックレスくれるのね

しってたの?
きんぎょ
ないてたとき
よこむいてくれてたよね

はなそうよ
きんぎょ
こいをしたら
わすれてしまいそうだから

2014年4月22日火曜日

何食わぬ顔をして

あいさつを
きちんとしなさい

何度となく言われてきた

ひとにやさしくしなさい

猫なで声で
つらそうな人に話しかけたりした

人に迷惑をかける生き方だけは
してくれるな

意味は分からなかったけど
はい、と応えて頷いた

ものごとを悪い方向に
考えちゃいけない

狭く考えればいいのか

目上の人も
そうでない人も
私に意見を言う

言われた瞬間
私はそれが何を意味しているのか
分からないことが多い

けれど
なんとなく誤魔化しながら
答えがないまま生きている

いい気になるなよ

うれしいことがあった時
父が言った

悲しい別れがあったとき
私は涙を抑えて
何食わぬ顔をして
いつもの道を歩いて行った

2014年4月21日月曜日

ごほうびのくも

つらいことにもよくたえてきた
ごほうびに
もくもくした
くもをあげよう

このくもは
あなただけの くも
みんなには ないしょだよ

あしたのあさ
めをさましたら
くもは あなたのの
こころのなかで
ただよって うえから
あなたをながめている

かなしいときは
あめをふらして
あなたを バリアにとじこめてくれる

しんじるかい?
しんじなくてもいいけど
ごほうびのくもは
もう そこにあるよ

2014年4月20日日曜日

あひるのかたち

わたしのこころは
あひるのかたち
すいへいせんを
かかえてる

わたしのゆめは
あひるのかたち
はねをひろげて
ひかってる

わたしのみらいは
あひるのかたち
きいろいくつで
はしってく