古びた毛布を体に巻き付けて眠る人
私はそれを横目に
今から会う恋人に電話しようとしている
きのうは別の人と箱根の住宅地を歩きまわっていた
何度も電話をかけ直すが
繋がらない
雨のせいではないだろう
強い雨が先程から降り始め
側溝はあふれ始めている
テレビが警戒警報を告げる
座布団の人は
もう眠ってしまったのだろうか
家に帰って眠ればいいものを
タクシー代を惜しんで
店の床に寝ているのだ
女郎花の花が
店先で香っていた
私はなんとしても
好きな人に会って
この夜を
やり過ごさなくてはならない
雨粒は今あるものをヴィンテージに加工するよう
返信削除降りやまない雨音は
いてもたってもいられない切なさをかきたててしまうね