だれもまだ本に書いたことがないことを
彼は書いていました
きのうの夕方のことですが
彼は
まだだれも
訪れたことがない島にいました
そこには何故か
木の椅子があって
天板がタイルで作られた机もありました
彼は
その場所にいました
(今はいませんが)
彼は
今までの人生ではなかったほど
スラスラと 万年筆で
革の表紙のノートに
書いていたのです
いま
彼がどこで何をしているかは
この文を書いている私にも分かりません
ただ
だれもまだ本に書いたことがないことを
彼が書いていたということを
知っているだけです
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