森が白い球を隠し持っている
初夏の日
私はそれに気づいた
森は青い空を背景に
森のような顔をして
佇んでいる
(森は自分が森ではないと
自ら思おうと努力していた)
森は
人の眼を信じていないので
高をくくって
堂々と なし崩して
白い球を高く掲げている
森は油断し
木々に注意をうながすこともしない
昔はそうではなかったのだが
森は淡い夢を見ている
その白球を
あの恐ろしい強打者めがけて投げ込むことを
投げ込まれた白球は打者が翻弄する隙間もないほど速く
おそらく音速で捕手のミットに収まる
その一部始終を
私は目撃するだろう
森は完全に敗北するだろう
森としての役目は
その時終わる
森の木々は
もうただの木の一本一本となり
化石とともに
地に横たわる道しか残されていない
初夏の日
私はそれに気づいた
森のような顔をして
佇んでいる
(森は自分が森ではないと
自ら思おうと努力していた)
人の眼を信じていないので
高をくくって
堂々と なし崩して
白い球を高く掲げている
木々に注意をうながすこともしない
昔はそうではなかったのだが
その白球を
あの恐ろしい強打者めがけて投げ込むことを
投げ込まれた白球は打者が翻弄する隙間もないほど速く
おそらく音速で捕手のミットに収まる
私は目撃するだろう
森は完全に敗北するだろう
森としての役目は
その時終わる
森の木々は
もうただの木の一本一本となり
化石とともに
地に横たわる道しか残されていない
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