2013年3月5日火曜日

うつ病の友だち



ナイトガウン羽織って暖炉の脇にいる
シャンデリアの照明
湖のほとり
宝石箱や金庫や引出しの棚に納まりきらない宝飾品
財産はそこここに放置され
見張っている者はない

オーディオルームの4Kのディスプレイで
特注でリマスターしたという古い映画を流す
観客は一人だが
もう飽きて
浴室のジャグジーで足の爪の模様を眺めている
そして眼を瞑って
パパのことを思い出すことにした


誰かいい人と巡り会いたい と
月並みな言葉のあとに出てきたのは
車が欲しい というフレーズ
いつも願うのは功名が欲しい という内容だったが
きょうは違った
車が欲しい理由は
いつでもどこにでも出かけることが必要だと思い立ったからだが
すでに思いは
そこにはなかった


うつ病の友だちを思いやって
鬱々としていた
うつ病の友だちは
詩と写真の才能を持っていた
ついでに育ちもよく人気者でお金持ちだった
うつ病の友だちは
何でもよくできた
うつ病さえ克服してしるかもしれなかった

思いやる必要はなかった
思いやる必要はなかった

1 件のコメント:

  1. 中村ゆき子2013年3月6日 0:35

    友達を思いやることで
    自分を満たそうとする
    あなたの物差し、チョッと間違ってる
    相手を思いやることに必要も不要もないよ

    相手の反応で自分の価値を決めているあなた
    世の中も欲望もパラパラ漫画のようにすすんでいく
    うつ病の友達は
    そのスピードがハヤカッタリ遅かったり
    みんな違うそれぞれのスピード
    あなたはあなたのスピードで

    ゆっくりパラパラすると
    周りも友達もよく見えてくるようになる
    でも大事なのはゆっくり自分を見ることだからね

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