2023年5月13日土曜日

10秒の詩

 *1

お気に入りのカフェで
好きなことを考える自由
カフェで好きな飲み物を注文する自由
わざわざ自由と言ってみる自由
*2
自由とは自分で好きに作ること
自分や時間や物事を
好きなように作ること
その作ったものから離れていけること
*3
あの森に行きたい
緑の風が香るところ
季節がとどまって戯れているところ
夜には置いてきた自分を遠く想うところ
*4
帆が風を受けて見えない衝動を
形にしている
詩人は指を動かして
見えない風景をいま作り変えている
*5
フィレンツェで買ってきた青い器に
果物が盛られている
フィレンツェに抱えていった気持ちが
思い出される
フィレンツェで待ち合わせしたあの人と
また会いたい
フィレンツェの思い出話をして
きれいにさよならを言って
別れたい
*6
スマホは誰より身近な親友
いつも一緒に生きている
父が死んだときも
母の言葉を最初に伝えてくれた
*7
詩は語りかけてこない
詩はたたずんで読まれるのを待っている
詩は読む人を追い越さない
ただ たまに
読む人を懐かしい未来へと連れて行く
*8
痛みがあると
そこに自分がいることがわかる
粘土のように痛みをこねて
チューリップでも作ってみようか
*9
私の中にある痛み
私は痛みを包んでいる
痛み逃してやろう
痛みだけ
逃してやろう
*10
見えない愛を見てきたと
彼が言った
見えない愛を手に入れたと
彼女が言った
見えない愛がほしいと
私は思う
見えない愛はどこにある? と
みんなが探した
*11
憎いひとを憎むと
憎しみが腫れて
痛くなるから
憎い人には
絆創膏を貼りましょう
*12
そそくさと
したことがある?
もんどりうって
なにをした?
天を見上げて
なんと言った?
*13
「蝶」
毛虫とよばれた女の子
隣の町の
上級生と付き合って
根性焼きを隠さなかった女の子
きっと彼女はいい大人になって
僕より幸せになっている
だって 彼女の声が聞こえてくるんだ
あんたのことはもう許した
あれも悪くない思い出だった と
僕には確かめようがない
確かめることはできない
確かめるのが怖い
だからせめて祈る
毛虫の幸せを
強く念じて祈る
自分の弱さを守って生きていく僕だから
風が吹けば消えそうになる
蝶のように風を味方にできない
毛虫のような自分
*14
コップの中にある湖で
ボートに乗って
釣りをして
湖畔であのひととバーベキュー
それが連休の出来事

月のネックレス

月が一つ

闇空のてっぺんで明るく光っているだけなのに

海はその下に
煌めく光の路をつくり
編み上げられた
ネックレスみたいに
海の胸元をゴージャスに飾っている
砂浜にいるのはきょうもあなた一人だから
その美しい光景も
ネックレスも
あなただけのもの
海の中に入っていくあなたは
自称 人魚
ぼくはそうは思わないけれど
泣き尽くして涙を枯らしてやってきて
夜が白み始めると
ここから去っていく
誰もいなくなった海は
波を手持ち無沙汰に打ちながら
一人で何かを語り続ける
答えなのか問いなのかは
分からない
もうどれだけの時間が流れたのかも分からない
あなたは
昼間
仕事場で汗をかきながら働く
何かをおし殺し
自分に言い聞かせて
そして
海に行ったことは
波の中に入って行ったことは
友人には話さない
海と約束をしたからなのか
それとも
自分が消えてしまったあとに
なにも残さないという
決意の表れなのか

ナポリタンとサイダー

学食にはいつも幽霊がたむろしている

昼飯時の混み合う時間帯には
生きている人間と死んでいる人間がダブって存在しごった返してしまうので
なにかの〈るつぼ〉となっているが
先ほどから彼が何の〈るつぼ〉か
的確な言葉を思い出そうとしているがいっこうに思いだせない
その間にも
詩は進行する
いつか言い表したあの言葉!
行ったり来たり
行ったり来たり
である
飛行機が遅れたため
東京からこの大阪の大学にやって来る電車の車中で
彼には既に目的の四分の一が達成できないことが分かっていた
それで少し焦ってはいた
大学のある駅で降りると
駅の出口は大学からは一番遠い位置に位置していたので
さらに彼は駅の出口から一番遠い車輌に乗っていたので
最悪だ〜! と
我が身の不幸を嘆かずにはいられず
だからつい足早に投げやりに歩き始めた
十四(しいすう)という名の駅にあるその大学の学食は地下にあり
二階までの吹き抜けの構造になっている
食堂の周囲には内階段から繋がる渡り廊下があり
さらに螺旋階段を通じで二階の廊下に繋がっていた
彼はエレベーターホールから学食へ行くエレベーターに乗ろうとしていたが
何階に行けばいいのか分からず混乱していた
いくら考えても分からない
答えが見出せない
そのうち上へ行くエレベーターがやってきて
彼は乗り込みB1ボタンを押した
エレベーターから降りると
そこは学食より1メートルほど下の床だったので
五段分の半端な階段を上り
上り過ぎたので一段下がり
奥のカウンターに近づいていった
ナポリタンとサイダー
おそらくこれが
きょう彼が初めて人間に発した言葉だった
そして
その声はいつまでも木霊していた
まるで彼を責めるように
まるで彼を愛するように
夕方の学食で
彼がいなくなった後
幽霊たちがお酒をチビチビやりながら
その彼の声を繰り返し歌っていた
ナポリタンとサイダー
ナポリタンとサイダー

2022年5月18日水曜日

いきなり、詩を

コーヒーを飲みに行こう。僕はうつ病なんだから元気なふりはしない。いきなり、詩を始めないでよとあの人が言う。だから僕は段々と、さりげなく、気づかれないように、詩を始めよう。

2022年1月6日木曜日

コノハのこと

木の葉が横切った

あいさつもなしに

乾いた音を残して

あれ? ひょっとして

それがあいさつ?


コノハ 木の葉

木の葉 コノハ


大事な人が いなくなって

木の葉が横切った

向こうの植え込みに

消えていった


なにか相談でも

しているのか


この季節を横切って行く私の相手は

できないね

私は湿った人間だから


自分勝手な「言葉」というものを

もっているから



2020年4月29日水曜日

ぼくはアクセサリーの一部

ぼくはアクセサリーの一部

白い大地で揺れるネックレスの一つの粒
土に耳を当てれば朝日が茜色の矢を放って昇ってくる

のぼらねばならない登戸のお上りさん
さがらねばならない食べ残しの器
うつくしいあなたのまわりにキラキラがあつまる

うつ病に本当の病名はない
名前をつけようとしたあいつがまっさきに病気で逝ってしまった
恨みごとをオブラートに包んでネットに上げる
で 取り下げる

ぼくはメクラだった
イメクラじゃないよ
いくらがすきだった
いまもすきかモンキー
好きかも 
ぼくはカモ アクセサリーの一部の また一部

われに5月を! と
似合わない服を着て街へワープ→ループ
部屋へ逆戻り本を整理

行分けが楽なのは
話を途中でやめて何度もやめてそうすると相手を責めないですむ責める理由なんかあるもんか(門下生落花生ラッカーシンナー今何時肥満児太り過ぎ)

アクセサリーは喋らない
せいぜい揺れて外されて冷たくなってひんやり触感になるだけ
ぼくは肥満児だった
いまは暇人

うつくしいあなたはキラキラしているだろう
そして当たり障りがない
あなたは服を脱いでぼくを身につける
身に付けさせてと懇願する
ぼくもそれに答えて懇願する



2018年8月8日水曜日

幸せはそこにある

幸せはそこにある
そこにあって黙って待っている
まだ
そこにあって滴り落ちずに待っている
そこにあることで
何も語らずに何も求めずに

理不尽な罰の滝
無意味で無慈悲な慰め
荒れ放題の中庭
汚染され尽くされ放置された沼
償われない罪の塔

幸せはそこにある
そこにあって黙って待っている
まだ
そこにあって滴り落ちずに待っている
そこにあることで
何も語らずに何も求めずに
求めないことが美徳だと
いい含まれても拒みもぜずに

命を束ね縛る縄
心に針を刺す偽医師
土を固めるタンク
死者さえ立ち去る荒れ地
轟音爆音無音

幸せはそこにある
そこにあって黙って待っている
まだ
そこにあって滴り落ちずに待っている
そこにあることで
何も語らずに何も求めずに
求めないことが美徳だと
いい含まれても拒みもぜずに
骨を肉に変え
血は根から吸い上げて

虐げられても
奪われ尽くされ
蔑まれ
疎まれ無視され
たらい回しにいたぶられて

幸せはそこにある
そこにあって黙って待っている
まだ
そこにあって滴り落ちずに待っている
そこにあることで
何も語らずに何も求めずに
求めないことが美徳だと
いい含まれても拒みもぜずに
骨を肉に変え
血は根から吸い上げて
種のように硬い拳を隠して
幸せは
そこにある
そこにあって黙って待っている

2014年11月30日日曜日

新しいブログです

下記が新しいブログです。
やっと書き始めました。
ご覧くださると嬉しいです。
よろしくお願いいたします。

みちる   


その他の関連サイト

Youtube マツザキヨシユキ、みちる 作詞
 マツザキヨシユキ制作↓ (トリ音)
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偶然のこっているもの

2014年11月29日土曜日

出席番号34番

出席番号34番
永久欠番の出席番号
僕の斜め前に座った34番は
今まで知らなかったことを
連れてきた

世界に理想の人がいるということを
教えてくれた
手が届きそうな理想があるということも

君はいつも自然体で
まるで僕の真反対だった
チャイムが時を刻み
思い出のブロックを積み上げていった

体育祭の朝練
新米の先生に教科書で叩かれ
合唱祭では声合わせ歌い
手をつないでダンスもした
眠かった午後の日本史の授業
向かい合わせで食べた弁当
綺麗な夕暮れの空

34番
きみの指を透かして
眩しい太陽が僕の瞳に焼き付けたけど
この季節が来ると
出会った日を思い出す

思い出のブロックは
いまもあの校舎のあの場所で
光浴びて
たっているかな

いまは確かめられないけど
いつか一緒に見にいくなんて
奇跡がおきたら
僕のいままでの人生投げ出して
君とかけていきたい

登ったことのない
初めての見晴らしのいい場所
あのころの幼い僕たちの
なにもかも
見えるその場所へ

2014年8月14日木曜日

このブログの閉鎖について

ごあいさつ

いつも読んでくださっている方、ありがとうございます。
読んでくださっている方がいることで、書き続けることができました。
心からお礼を申しあげます。

ところで、このブログですが、新しいウェブサイトに移行するため、
8月22日をもって、一旦、閉じることにいたしました。
(また、整理して公開しることも検討しています)

新しいサイトは9月にスタートする予定です。それまではみちるのFacebookをごらんいただければ幸いです。↓

https://www.facebook.com/michirupost?ref=hl

どうぞよろしくお願いいたします。


 親愛なる読者のあなたへ


     みちる


 

2014年8月4日月曜日

回覧板からの伝言

伝言はおしまいです
それは回覧板の役目とはちがうから

立ち止まっていた回覧板が
明日のことを書き換えられずに
昨日の割れ目にはまってもがいてる

予告はもう結果になってしまったし
募集した人たちだってもう解散した

とりかえしがつかないことは
過去になると
とりかえしがつくことになるの?

雲のように浮かんでいた質問に
回覧板は
胸をはって答えようとした

だが
回覧板には
その答えは書いてなかった

2014年7月5日土曜日

おやすみ

くろうしたから
つかれたのか
つかれたから
くろうしたのか
それとも
なにもかも
きのせいか
かんがえると
つかれるから
あしたの
とりこしぐろうもやめて
おやすみ

すき

すきなもの
すきなこと
すきなひと

すきは
きみを
まっている

きみはそこへ
いけばいい

すきなものに
かこまれて
すきなこと
ばかりして
すきなひとと
つきあって

そうすれば
いつのまにかきみは
すきなひとに
みつめられている

そのしせんに
やさしさに
きづくだろう

2014年7月1日火曜日

戦争が廊下の奥に立つてゐた

戦争が廊下の奥に立つてゐた
           渡辺白泉

当たり前の日常のなかで
戦争が目撃されるようになったことに
気づいた時には
もう
戦争が始まっていた

私たちは
学校では戦争の仕方を習わなかったから
知っている人に頼らざるをえない

人の命はとても重いと
世の中は私を教育してきたので
私は安心して
そんなに重いとは思えないと
思うこともできた

ほら
やっぱりそうだった
友だちの顔を見ると
戦火にもう赤く照らされている
そういう私も
重い鉄の塊をもって
途方もなく疲れているようだ

小さな子どもたちが
大人に何かを訊ねているが
けむにまくしかないようだ

あの俳句

聴いたあの俳句を読む声が
また再生される

戦争が廊下の奥に立つてゐた

私も
その廊下に立っているのです

2014年6月29日日曜日

おしつけない歌

まっているのはいやだから
わたしは自分で出かけてく
読みたい雑誌もかいにいく
シュークリームは食べに行く

まっているのはいやだから
わたしは外に飛び出した

会わずにいるのがいやだから
わたしはすぐに会いにゆく
好きな友だちお迎えに
ケンカした子も追っかけて

会わずにいるのがいやだから
わたしは外に飛び出した

まっているのが好きだから
わたしはいつも待っている
何もなくてもおもしろい
空想ぐせがともだちだ

まっているのが好きだから
ひとりでいてもだいじょうぶ

おしつけられるのいやだから
わたしは人におしつけない
わたしはわたしのよさがある
あのこもきっとすばらしい

おしつけられるのいやだから
おしつけない歌うたいます

死んでいったひと と 生きている私

死んでいったひとが
生きている私に
何を望んでいるのかはわからない
ただ
生き残ってしまった私は
死んだ人のことばかりを
考える
それが的を射ているかはわからない
いや 多分外れているにきまっている
私はそれでも
いつも死んでいった人の傍らに戻って
いつもと同じことを『癖』のように考える
あなたは何を言おうとしているの
その笑顔は何かの皮肉なの
何度繰り返しても
その答えが
返ってくるはずはない
返ってくるとしても
きっとそれは私が何か別のことに夢中になっている時
メールの着信のように
ブルっと私の体のどこかを震わせて
やってくる
素知らぬ姿で

だから私はそれに気づかない
それに気づけない



生きている私に
死んでいる人のことは分からない
どうしても生きている人の事情で考えてしまう
生きていると
死ぬ気でやればできることがあるような気がする
けれど
私は死ぬ気でやったことがない
死んでいる人たちは
生きる気でやればなんでもできると思うのだろうか
死ぬ気で生きるとはどういうことなのか
死に近づこうとすることなのか
例えば息を止めて真っ白になって
生きるということなのか
そうすると
死んだ人と近くなるということなのか
それが死に物狂いでやったことへの
褒美だと神様は思っているのか




トーストを焼きながら
死んでしまった人のことを思う
死んだ人は
トーストが焼ける匂いと
焦げ目に塗られたバターの狭間で
何を考えているのだろう
その死んだ人は
私が創りだした人と
いつの間にか入れ替わってしまっていやしないか
ミルクを注ぎ
フライパンを流しに置く
死んでしまった人は
どこにいるのだろう
まさか
私の中にいるというのだろうか




大事な人が死んでしまったので
大事なものが一つなくなりました
大事なものが生み出したであろう思い出は
数えきれないほどなくなりました
大事な人が死んでしまって
大事な人が大事な人であったことがよく分かりました
でも大事な人は
死んだのが自分でよかったと思っているのでしょうか
私が生き残ってよかったと思っているのでしょうか
大事な人は
本当は一緒に死にたいと思ったのではないでしょうか
もし私だったら
大事な人と死んでも一緒にいたいから
そんなふうに思えます
でも大事な人は死んでしまったので
聞きただすことはできません

大事な人は
きっと私と一緒に死にたかったのだと思います
死んで私と会えなくなるのは
死ぬこと以上に辛かったに違いありません
でも私は
たとえそうだったとしても
ひとり 生き残ってよかったと思います
大事な人と別れてでも
生きていてよかったと思います
なぜかは分かりません
あれから季節がいくつも過ぎて
またこの季節のこの芳りが
私を包むからでしょうか
きょうは
薄ぼんやりした明け方の景色の中で
そんなことを考えているのです




あなたがどうやって死んでいったか
何をみて
何にすがりながら死んでいったか
私にはわかりません

死が訪れて
あなたの体に何が起こったのか
あなたの思いや気持ちが何になったにか
私にはわかりません

あなたはあなたの体から離れ
目も耳も口も何もかもなくなり
脳に収められていた記憶もなくなり
体の感覚もすべてなくなり

もうあなたには何も
残ってないのでしょうか
私はあなたを思っているけれど
あなたにはもうなにも
残ってないのでしょうか

2014年6月21日土曜日

私が眠れないのは

私が眠れないのは
契約を結んでいないアイツが
どこかの街で
パーツを売買し続けるからだ
私はとりあえず眠らずに番をしなければならないのだ

アイツが誰と契約すべきか
私は知らぬ
アイツが誰であるかも
資格があるかどうかも
関係ないし分かりもしない
私がどこを見張っているかさえ
とっくに見失いどうでもいいこととなった

アイツは独りでやっているようで
時に群集だ
アイツは満足気に笑うこともあるが
さめざめして泣くことができないこともある
アイツは二人称を装った
三人称もしくは一人称だ

私は夏の太陽になまあくびをして
二の腕に刻印を押す
だがその刻印は白く濁っている
ねじりの利いたブレスレットは汗に溶けて
退色している

私はアイツを許さないだろう
だがアイツが私と会うことはないだろう

アイツはなぜ売買しているのか
私が番をしている罰として
アイツは売買をつづけるのか

売っては買い
買っては売る

買っては売って
売っては買って


2014年6月19日木曜日

忘却 それは盆地か

昼間のノイズ
白いレースのカーテンが風に揺れている
室内と外とを往ったり来たりしている
地球の
視える限りの球の頂点にいるはずなのに
なぜだか
忘却という名前がついた盆地の底深く沈んでいるのだと
感じる

机の上のモニターのスピーカーから
自分が歌詞を作った歌が聴こえてくる
地平線の彼方には
もう還ることがない人がいるにきまっている
しばらく会わない人も混ざっているかもしれない
ピアノが歌を盛り上げる
私の心も引かれていく

こうして心が動くことは幸せなことだ
幸せは
生活を見つめた消費者のためにだけある言葉ではない
あたりまえのことだ

椅子の上に私はいる
しばらくすると
椅子の上に
私はいない

忘却のコンパスが狂ったように
回る
その針の先が私を指している
意味はわからない
ドアを開けて外にでれば
日差しが照らすだろう
時刻表が導くだろう
太陽を裏側に回した地球の闇の海の真ん中へと

2014年6月18日水曜日

どうしてこんなにキスしたいんでしょう

どうしてこんなにキスしたいんでしょう
キスしたくてたまんないんでしょう
あなたはわたしのまえで
もうはだかになっていて
わたしをこばむけれど
紐で縛り付けられて
身動きができないあなたを
いたぶるように
キスすると
それを合図に
あなたとわたしのまわりに
お決まりの虹色の輪がひろがり蝶が舞う

どうしてこんなにキスしたいんでしょう
もうあなたは
わたしと長いキスをして
合わさった部分からとろけている
どうしてこんなにキスしたいんでしょう
わたしの眼はあなたの上に
わたしを重ねて映すばかり

夏の予感が肌を刺す日に
わたしはバスに乗って美術館をあとにするけど


2014年6月16日月曜日

さわやかな風

さわやかな風がほしい
と いって
かれは走りだした

風を
起こして

大事な時を

次のチャンスが巡ってきたら
今度はきっと手に入れる

チャンスが来るのを待っていて
前に進むの忘れてる

チャンスはどっちの方向からやってくるのか
知っているの?

きっと思いもよらない方向からやってくるから
それを手にするには
敏感なセンサーと
機敏な動きが絶対必要

だから
ただ止まって待っていても
いざという時 動けない

次のチャンスが巡ってきたら
今度はきっと手に入れる

言っていたあの子が
チャンスが来るのを待っていて
前に進むの忘れてる

あの子が
自分自身がチャンスをまとっているのに
気付かずに
いまも
大事な時を
やり過ごしてる


2014年6月12日木曜日

一枚の葉

まだ寝ているのかい と
風に翻った葉っぱが
窓越しに語りかけてきた

ぼくは
眩しくて眼を覆った
そして
あたらしい一日に挑もうと
心にエンジンをかけようとした

オイルが切れているのか
エンジンは頼りない悲鳴をあげて
ぼくに助けを求めてきた

ぼくは
素知らぬふりを決め込んで
小さなエンジンを抱えたあの子のことを
考えた

歩く早さを合わせれば
話すことができる
ぼくが見つめれば
見つめ返してくれる

ふたりが歩いて行く遠景を
眺めている
高台にある一本の樹の
一枚の葉よ

2014年6月10日火曜日

みちるからのお知らせ

みちるです。

いつも読んでくださっている方、ありがあとうございます。
いままでこのブログを、ほぼ毎日更新をしてきましたが、
暫くの間、不定期とさせていただきます。

毎日更新することも可能といえば可能なのですが
もっと創作の方向性をきちんと打ち出すために、
それに適わないものは発表しないことにしたいと思うからです。

そうはいっても、
まだ方向性に迷いがあり、揺れ動いて入るのですが。

どうか、わがままをお許し下さい。
そしてこれからも
みちるの詩をご愛読くださいますよう、お願いいたします。


みちる



2014年6月7日土曜日

古傷のようになってしまったわ

私は西の空に太陽を沈めているというのに
あなたは日が暮れるのを見ることもできない
私は八百屋と肉屋でアルバイトして
サラミを店主の目を見てつまみ食いしたが
新入りのカレとカノジョのカップル(アルバイト)は
生ハムとワインまでいただいちゃってる

古傷のようになってしまったわ
空の割れ目から声が聞こえてきた
階段を登るとき
西日が差して胸が傷んだ
私は傷ついた人が口にするまえに
声を出して言う
古傷のようになってしまったわ

2014年6月6日金曜日

あなたのとなりにねころんだら

あなたのとなりにねころんだら
ちくちくした
あなたからはなれたら
こころが しくしくした
あなたがどこかへいってしまったら
しくはっくした
あなたがべつのひとといたら
はなが ぴくぴくした
あなたがわたしをころすっていったら
ちかちかした
おかしいな
もう おほしさまになったにたい
わたし

2014年6月4日水曜日

夜風の香り

夜の風に混ざっている香りは
何?
窓から入ってくるこの香りは
何?
あなたは黙って考えごとをしているけれど
私はあなたが何を考えているか
薄々気づいているのよ
さっきから
あなた
私に言い訳をしようとしているけれど
私は何も問い詰めないのよ
ただこの夜風のように
私の思いを香らせられたら と
思っているだけ
ただ
それだけ

2014年6月3日火曜日

対象を切り裂きながら

椅子に腰掛けている女
という絵を
観ている女の肩に
男が手を回している絵を
若い女が見入っているのを
若い男が見ている

その様子を私が見ている
美術館のフロアは
猛暑の世界から隔絶され
くだらない騙し合いの世間とも無関係で
絵の亡霊たちに囲われ結界が張られ守られている

私は誰かと待ち合わせて
三階のレストランでランチをいただくことにしよう
初めてここに来た日のことを
胸の中に確かめながら
ナイフとフォークで
対象を切り裂きながら

2014年6月1日日曜日

泣いている人

泣いている人がいる
泣いている人は
泣きながらどこかへ行こうとしている

泣いている人は
自分の涙に濡れている

濡れていない場所が
濡れている場所を際立たせるので
もっと全体が
濡れたらいいと思う

どこかで
川が流れて その音が
泣いている人のうめき声を隠す
さらには
船を漕ぐ音が
泣いている人をせきたてては
打ち消す
それを 繰り返している

泣いている人は
泣きながら何かをしようとしている

自分の涙に濡れながら
その涙を
曇り空へ
蒸発させながら


2014年5月30日金曜日

待つ人

待つ人の気持ちは同じ

あなたは言った
待つ人の気持ちは同じだ と

本当に そうだろうか
待っていないあなたに
何がわかるというのだろう


待つ人は
見渡すかぎりの広い海を
漂っているよう

待つ人は
話したいことを心の奥に仕舞いこんで
確かめているよう

待つ人の気持ちは同じ

あなたは言ったけど
あなたは
待ったことがない
私はいつも
先にいるから
あなたが来るだろう場所に





2014年5月28日水曜日

なやみすぎて

なやんで なやんで
なやみすぎて
なにがなんだか わからないけど

ひとつのこたえ
もうひとつのこたえ
どちらでもいいと
おもいました

でも また
なやんで なやんで
なやみすぎて
もうひとつ    こたえが
でてきてしまいました

あれ
もうじかんぎれ
どうしよましょう

こたえがでないから
あきらめましょう

2014年5月27日火曜日

好きな人に会って

座布団を床において
古びた毛布を体に巻き付けて眠る人

私はそれを横目に
今から会う恋人に電話しようとしている

きのうは別の人と箱根の住宅地を歩きまわっていた

何度も電話をかけ直すが
繋がらない
雨のせいではないだろう

強い雨が先程から降り始め
側溝はあふれ始めている

テレビが警戒警報を告げる
座布団の人は
もう眠ってしまったのだろうか

家に帰って眠ればいいものを
タクシー代を惜しんで
店の床に寝ているのだ

女郎花の花が
店先で香っていた
私はなんとしても
好きな人に会って
この夜を
やり過ごさなくてはならない


2014年5月26日月曜日

貝殻と 私

砂浜に 埋めた 貝殻が
夢見て 
私の 夢の中で
一緒になりました

波の音 と
朝焼けが 二人を
包んで います


貝殻と 私とは
いつか 愛しあったのでしょうか
きっと
そうに きまっています

2014年5月25日日曜日

よわいあなたをまもるために

よわいあなたをまもるために
わたしもよわくなりましょう
これでふたりはおんなじです

こわいゆめにおそわれるひは
こわいことをたくらみましょう
これできれめはありません

しろいきりがたちこめたなら
しろいふくででかけましょう
きりのなかでいきたえるでしょう

2014年5月24日土曜日

あいたいけれど

あいにいきたいけど
あいたくない
あいたくないけど
あいにいきたい

あいたいけれど
あうときっとドキドキする
ドキドキするから
あいにいきたくない

だけど
あっちゃった
あいにいくとちゅうで
あっちゃった

あってよかった
あわないなんてかんがえられない
いつかも
こんなことがあった
あれはずっとむかし
だけど
おんなじきもち
あいたいけれど
あいたくないきもち

2014年5月23日金曜日

たねはおどる

ふっさふっさ
ふわふわ
たねをうえました
ジョウロでみずをあげて
すきなうたをうたいました

ちかちか
きんきん
ほしがでて
つちをしずかにてらしたら
たねがかおをだしました

ふっさふっさ
ふわふわ

ちかちか
きんきん


2014年5月22日木曜日

さびしいよるは

さびしいよるは
さびしさをともだちにして
ねずにかたろう
ちいさなことばで

さびしいよるは
いつかまたやってくる
そのときがきたら
おかえり って

いってみようか




2014年5月20日火曜日

究極のディナー *「美味しんぼ」を意識してしまった(汗)

・パルマ産生ハム
・イタリア産サラミ2種
・自家製コッパ
・たっぷり野菜のカポナータ
・かぼちゃのスフォルマート
・ロシア風ポテトサラダ
・ロメインレタスのシーザーサラダ
・マグロのカルパッチョ
・ガーリックトースト
・季節の温野菜 バーニャカウダソース
・鶏肉のローマ風煮込み
・本日のパスタ

美味しそうな食事はいらない
あなたさえいてくれれば

そして
笑顔をこぼしながら食事している恋人たちを
レストランのウインドウ越しにながめて
街路樹がざわめく星空の下
この季節の香りで胸を満たそう

そこには
お互いの香りが混ざっている
これが私達の究極のディナー

2014年5月19日月曜日

みちみちわたしが

いらないものを
すてにいく
みちみちわたしが
いなくなる

こないてがみを
まつよるに
だせないてがみを
かくします

すあしにサンダル
すなけって
ふるあめごとに
わすれてく

あきちのはなに
わらいかけ
まえをむいたら
ないたかお

2014年5月17日土曜日

ぼくが暗い目をしているのは

ぼくが暗い目をしているのは
瞳にさざなみを立たせないため
木陰に身を伏せて
太陽の熱を避け
風も気付かずに頭上を行き過ぎる

ぼくがあなたに近づかないのは
あなたに知られることなく
あなたを見つめるため
いつまでも見つめているため
あなたの何もかもを
吸い込んでしまうため

あなたとの間に物語を作るため
その方法を見つけるため

その奇跡を逃(のが)さないため

2014年5月16日金曜日

また夏が来る

まっていてください
待つ人がいない私を
と 小さな鳥に頼んで
外に出ると
懐かしい木の香りがした

もうすぐ夏なのだ

また
夏が来ることが
私はうれしい
あの輝いていた日々が
また私に訪れるだろうか

答えてくれるものはない
けれども
耳打ちしてくれるもの
チラチラと光って
合図してくれるものがあることに
私は
お礼を言いたくなった

ありがとう
ありがとう

2014年5月15日木曜日

仕事

彼は楊枝の先をとがらせる仕事しています
彼女はマッチ箱にマッチを詰める仕事をしています
二人はいつも一緒にランチを食べます

私の職場は二人とは遠いので
私はたまに仕事を休み
一緒にランチを食べに行きます

私の仕事は
針金を曲げてクリップを作る仕事です

2014年5月14日水曜日

ーーきょうの夢 5月14日

ハザードをつけた車の人が後ろのバスに注意される
男が「今日は碁盤の目の敵討ち」と言いながらスズメを次々に燃や
見ると片方の手のひらに蜂蜜があり火がついている


ーーきょうの夢 5月14日

2014年5月13日火曜日

だれもまだ本に書いたことがないことを 彼は書いていました

だれもまだ本に書いたことがないことを
彼は書いていました

きのうの夕方のことですが
彼は
まだだれも
訪れたことがない島にいました

そこには何故か
木の椅子があって
天板がタイルで作られた机もありました

彼は
その場所にいました
 (今はいませんが)

彼は
今までの人生ではなかったほど
スラスラと 万年筆で
革の表紙のノートに
書いていたのです

いま
彼がどこで何をしているかは
この文を書いている私にも分かりません

ただ
だれもまだ本に書いたことがないことを
彼が書いていたということを
知っているだけです





2014年5月12日月曜日

ネガイ

ミンナニテイル
ミンナオンナジ
スレチガウヒト
アルイテイル
キモチヲカカエテ
ニソクホコウ

アイハアルカ
スキナヒトハイルカ
キライナヒトハイルカ
アキラメテイルコトハ
ドンナコト?

スレチガウヒト
ニドトアワナイ
マタアッテモ
ワカラナイネキット

ミンナニテイル
ミンナオナジ
ジブンダケトクベツ
ココカラミテル
ミンナノコト

ワタシノキモチ
ワタシガミテル
ミテルワタシノキモチヲ
アナタ
オシエテヨ

アナタ
タスケテヨ