こんにちは
ぼくは
この体を借りて
この世を行きていく
世俗的な人間です
この体が
ストレスなく
世渡りをしていけるよう
できるだけ協力しています
体はこわれることもあるから
修理して
点検も怠りません
毎日の栄養補給も
もちろん心の栄養補給も
大事な仕事です
別の体とぶつかったり
事故を起こしたり
時には戦争に出て行かされたりと
リスクはまわりにたくさんあります
だから油断することは
許されません
政府はセイフティネットを用意して
それぞれの体の存続を
サポートしてくれますが
それだけでは
十分ではありません
ですから
それぞれが
自分の体に合った
メンテナンスや気配りを
しなくてはいけません
そして
中にいるぼくたちが
充足感を得なければ
この仕組みは自ずと
消滅してしまうでしょう
生まれて
一つの体を宛てがわれて
50年から100年ほどが立つと
我々は体を見捨てて
新しい体に乗り換えなければなりませんが
愛着ある体を離れることは
不安や寂しさが伴い
場合によってはかなり辛い思いをすると
いうことです
また
そのことは体には知らされていないから
体は慣性の法則で
生き続けようとする
ぼくたちは体に告知することなく
この体を後にすることが
使命として遺伝子に組み込まれているらしいのです
そのせいで
乗り換えは
体たちの間では
悲しい儀式となっています
あっ
と ここまで書いてしまいましたが
ぼくの体は
このことに気づいているようです
だから
これを書くのを
見逃してくれたのでしょう
体よ
ありがとう
あとしばらく
もうしばらく
達者で暮らしてくれ
貸し出ししてもらったこの身体
返信削除傷んだところを修理して
綺麗にペイントして
余分なものをそぎおとし
油をさしてピカピカに磨いて
心がルンルンになるぐらい
お気に入りに改造して
大切に大切に使おう
いつか離れる日がくるまで