古い小屋の向こうには小川があって
雪解けの水が流れている
花びらや木の葉や
何かの欠けらも流れてくる
古い小屋の向こうには
行くことができない
あれは今はもうない家だから
住んでいる人も もういない
それでも 時々
いろりに明明と火がともり
屋根から煙が立ちのぼる
あの家のバカ息子は
大事なものを全部なくしてしまった
自分のものだけでは飽きたらず
人様のものまでも
それだから
あの古い小屋は取り壊され
そこに新しい家が建った
新しい家には
どこからか新しい人がやってきて
住み着いた
だが新しい家から
煙が立ちのぼることはない
新しい家は電気とガスで動くから
古い小屋の向こうの小川では水車が回っていた
軋みながら
水の流れを体に受けて
ぎーぎーと楽しげに会話していた
古い小屋の向こうには畑と山もあって
百舌鳥が梢にとまっていた
水車の音に合わせて
ぎーぎー鳴いていた
日が暮れるまで鳴いていた
懐かしい気持ちになりました。
返信削除今はない風景も、心の中には生き続けるのですね。
それはそうと、
ブログ2周年おめでとうございます(^-^)/
これからも楽しみにしています。