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2010年10月24日日曜日

自分への伝言

泣く泣く僕も空を見る
というフレーズが
空に消えて行く

消えて
なくなってしまえ

いらないものから逆に見捨てられ
しがみつく

何々のように
と比喩を言って受け流すのは
止めにしたら

まとまる筈ないよ
デスクトップは狭いんだから
それに何世代も前の年代物

大事にしたってたかが知れている
広い空にならすてられる

やり直した人生の失敗作だって
これからの未来だって

2010年10月23日土曜日

とてもいいわ

(とてもいいわ

そう言われて
舞い上がった

(とても素敵

あっ、また、ほめられた
ナマでこう言われるのはいい

短いヒトコトなのに
地球だって持ち上がりそうだ

(なんでもできるね

そんなことないけど
そんな気さえしてくる

(ひとりでなんでもできるよ
(あなたひとりで

2010年10月22日金曜日

花びら

小峰が大事にしている花
ベランダで咲いている綺麗な花
いつだったかてんとう虫が茎を登っていった
きっとその細い足に
水の流れを感じていたのだろう

小峰は別の流れを感じていた
花びらを染める鮮やかな色の流れだ
茎を伝わるうちに
見る見る変化していくその色は
花托に到達すると同時に
その花びらの色となる

そんなことは理科の時間には
習わなかったけど
小峰はそう信じていた

何かを思い
合わせて握られた手のひらの中で
息づいていた
小峰の思い

しっとりと熱い
愛のような 
愛でない なにかのような

2010年10月18日月曜日

塀の向こう

ぴにょーん ぴにょーん
おまちかね
またまたやってまいりました
ぴにょーん

トランポリンは良い道具です
塀の向こうがよく見える

新しい塀 古い塀
垣根も 白壁も 砂壁も
勢いつけて ひとっ跳びです
ぴにょーん

自分の体の重さだけを使って
気になるあのひとの 塀の向こう
プライバシーだって
勝手気ままにのぞき見します

それはダメダメ
イケないこと
なんて言わないで

深いわけがあるのですから
それは人を助けるためなのですから

ぴにょーん と跳ぶと
塀の向こう 芝生が見える
家が見える
中では君が倒れている

わたしは
ぴにょーん
それを発見して
救急車を呼ぶ
病院に連れて行く

ピーポー ピーポー
ピニョン ピニョン
ピーポー ピーポー
おまちかね
またまたやってまいります
お邪魔でしょうか
塀をこえたら
よくないですか

2010年10月17日日曜日

無関係な自分

睡眠障害になりたくなかったので
気にしないことにした
朝と夜がどう過ぎようと
眠気や気だるさがいつ襲って来ようと
僕とは無関係
ということにした

毎日同じ夢も見るし
さまざまなバリエーションの怖い夢も見るので
それに
起きていても厄介な妄想や気分の抑揚が激しいので
僕は無関係
ということにした

僕のことは僕には無関係
僕は日記にそう記し
関係ない僕に時々日記を書かせた

詩を担当している僕は
僕を現実の社会に連れ出そうとする
しかし無関係な僕はそれを夢の中のこととして始末しようとする
僕は怒り僕を問いただす
しかし僕は答えず
反対に質問をしてくるありさま
僕は途方に暮れてあきらめる

僕は何を思い何をしようとしているのか
僕はだれに頼まれて僕を運営しているのか

そうして
疑問は置き去りにして
時間が流れたり逆流したりして転がっていく

時計が転がっているのではなく
中身の針やら数字やらがまわっているだけなのだ
きっとそうなのだ

2010年10月12日火曜日

煮え切らない思い

煮え切らない思いをかかえたまま
旅に出る
思いは煮詰まってゆき
やがて新しい思いが現れる
しかしすぐに それは煮え切らない思いに変わる

煮え切らない思いをかかえたまま
部屋へ帰る
思いは煮詰まってゆき
やがて新しい思いが現れる
しかしすぐに それは煮え切らない思いに変わる

煮え切らない思いをかかえたまま
旅に出る
思いは煮詰まってゆき
やがて新しい思いが現れる
しかしすぐに それは煮え切らない思いに変わる

2010年10月10日日曜日

しましまの(パールホワイト)

しましまのよる
うずまきのもちーふ
しるくのしーつ
するするするつーる
ぴかぴかのかーぶ
りっしんべんのべんつ
つきあかりのりんく
すべすべするちーく
すりすりしてたーん

2010年10月6日水曜日

月見

僕は45歳
もうすぐ46歳
毎年一つずつ年齢が上がってきた
僕のうち
どれだけが昔の僕なのかわからない
細胞としては
もうすべて入れ替わってしまっているだろうから
勝手にバトンタッチして
僕の存在を守ってきたのだろう
それが余計なことかどうか
そう問われれば 余計だと言いたくなる
けれどそう言ったところで
これからも今までと変わりなく
細胞は再生し
自分は守られていくのだろう
細胞を誰かに明け渡そうとしたこともない

僕は生れてから45年と11カ月
それを秒でいうなら……どこかのサイトで便利に計算できるはずだが
僕の元となった精子や卵子はもっとまえに生まれた訳だし
さかのぼれば何億年生きてきたことやら
へその緒が懐かしい
今まで僕につながってきたへその緒を全部つないだら地球を一周するだろうか
これじゃ長すぎて縄跳びさえできないね
いや ひょっとしたらした奴がいるかもしれないけど だれか調べられないか?

僕が愛した人数十人 いや数百人かもしれない
なぜ愛したかわかる人 数人
愛とは何かわかる人 ???
僕の今の立場
ホームレスに親近感を覚える
ちょっと孤高を気取る
サラリーマンにして自由人にして見栄っ張り
夢追い人で一風変わったメタボレーゼ

過去に出した自分の詩集 10冊ぐらい
書いた詩の数 1000ぐらい
これから書く詩の数 1年に400×(死ぬまでの年数-5)+50くらい

昔好きで今も好きな女性 あり
今好きで昔嫌いだった女性 なし
小学校の先生に結婚すると予測された年 45
予測された相手の年齢 うんと若い
実際 兆候なし

趣味 実益を兼ねるもの
本当の趣味 実益を兼ねないもの
家族 父が2年前に他界 その他は健在
自分 不健全であるが健在
モットー 正直に明るくひとが喜ぶことを
生活方針 先送りしない(なるべく)
実際 ほとんど先送り
夢 夢を持ち続け追いかけること
使命 信じてくれた人を幸せに

住居 アパートの2階
若葉コーポ

昔から若葉は好きでした
今日の夜ごはん パン、ハム、バター(バター成分が30%のマーガリン)
好きなこと 好きな女性と交際 旅行 デジカメで撮影(自分撮りを含む)

仕事 一生懸命頑張ってやっていた ※大事なものを守れなかった経験あり

きょうは一人で秋を感じるお祭りの日にした
帰ってきてから
1パック105円の団子を窓辺に置いて
ススキ代わりのグアムのまじない人形を飾り
空を見上げた

そこに月があってもなくてもよかった
何度も観てきた月を思い出して 空に重ねることができるから
細胞の記憶をたどれば
愛する人の網膜にも入ることができそうな気がした
そうすることで
自分の思いの波にも乗ることができそうで
それで祭りは盛り上がれそうで






この詩をアップしたら下↓のような広告が出た。びっくり。




  • 聖心再生医療センター
    将来の疾患や若返り治療に向けて 自分の細胞を凍結保管
  • 2010年9月29日水曜日

    日記のように詩を書き、このブログに掲載しています。誰かに読んでもらおうというものではく、ほとんど自分のために書いていますが、偶然に通りかかった人が立ち寄ってくれ、常連のようになりつつある人もいて、それはそれで張り合いがあってうれしく、その少ない読者に感謝しています。しかし、「広報活動」をして、もっと多くの読者を獲得しようとは思っていません。少ないのがちょうどいいのです。


    詩をかく楽しさとは別に、毎日は苦闘しています。また、詩を書くことが、その苦闘をより鮮明にしているとも思えます。冬の寒さが夕日のあたたかさを教えてくれるように、詩と日常は別の場所にあって、詩は苦闘のありかを照らしています。苦闘ははやく過ぎ去ればいいのですが。

    2010年9月25日土曜日

    眠っている小峰

    小峰が眠っている
    眠っている小峰は
    どこか別の世界に 何かをしに行ってしまったようだ
    ここにいない 小峰の 眠っている姿は
    いつまでも見ていたいほど いい
    小峰は寝息一つ立てずに静寂を保っていて
    それは 最後の一葉をおとさないように という比喩がしっくりくるように思える
    小峰を守るものは何もないが
    世界中の善良な魂が みんなで小峰を守っているということが
    なぜだか はっきりと判る
    小峰は 薄く やわらかい色の 衣服をまとっているが
    衣服の隙間から 肌を見せている
    その肌は かすかに産毛が光っていて
    赤ん坊の時と きっと ほとんど変わりがないのだ
    小峰の閉じられた瞳は 美しく 小鹿のようなので
    だから時折 小鹿がのぞきに来る
    小峰は 2本の腕を持ち
    手のひらは 5つに分かれている
    その手のひらが いつだったか もみじを持って 写真におさまっていた
    その光景は 紅葉と手のひらの境界を危うくするような事件だった

    小峰は いつ 目覚めるのだろう
    唇が 季節の風に 少し乾き
    そのわずかな不快に 目を覚ますのだろうか
    それとも どこからか飛んできた 綿毛の気配を感じて だろうか

    こわれそうで やわらかい 小峰
    父母から生まれ でも 誰のものでもない小峰は
    いつか 自分を誰かに差し出すのだろうか
    リボンを巻いた プレゼントと一緒に
    瞳に笑みさえ 浮かべて

    2010年9月24日金曜日

    錆びたポスト

    おいてけぼりにした錆びたポスト
    あの家と一緒に
    ドングリの木の傍らの
    引き抜かれた門柱の奥
    草花の咲く庭の向こう側
    電信柱の間のへいの向こう側
    小さな公園の隣
    家路につく足跡が聴こえ
    風に流されてきた線路の音が籠る場所
    花火大会が屋根越しに見える
    カレーの香りが漂い
    剣道に出かける少年が飛び出す
    落ち葉の中で焼き芋が作られる
    その家

    外壁に張り付いたポスト
    古くて錆びたポスト

    いまはもう どこにもないポスト

    2010年9月22日水曜日

    観察

    小峰は
    山より小さい
    大地の
    ふくらみ

    雨にぬれ
    水を吸い
    くぼみに
    ちいさな水たまりをつくり

    人を登らせる
    生き物を
    這わせる

    小峰は
    来るものを拒めないのだ


    くぼみは
    水分を
    静かに
    蒸発させる

    そうすることで
    小峰は
    平静を
    たもてるから
    月に照らされた
    小峰を
    横から見ると

    いつもと違う
    感じがした

    2010年9月15日水曜日

    30円のコーヒーチケット

    金券ショップでチケットを買う
    120円のコーヒーチケットが
    とても安くて1枚30円
    ぼくは迷わず「5枚」と云った

    1枚30円で買ったコーヒーチケット
    1枚目は新宿の店

    ノートを広げて思いついたことをメモ
    やらなければならないことを箇条書き
    今日しなければならないことは
    今日なんとかし終えた
    明日は明日しなければならないことをする
    あさってしなければならないことは
    あさってすることに決めた

    1枚30円で買ったコーヒーチケット
    2枚目は赤坂の店

    15人ほどの人間が思い思いに
    それぞれ時間を過ごしている
    誰もがしなければならないことを
    両手いっぱい抱えている
    締め切りに追われて生きている人がいる
    ノルマに縛られ一生懸命
    自分を逃す道を探す人も

    1枚30円で買ったコーヒーチケット
    3枚目は大宮の店

    将来のこと考えれば考えるほど
    ぼやけてきてしまうのはなぜか
    友達に聞いても同じ問いが
    返ってくるだけだから
    いつのまにか問うことの代わりに
    紛らわすことがうまくなった
    自分を責めて苦笑して

    1枚30円で買ったコーヒーチケット
    4枚目は仙台の店

    高速バスで早朝の街に着くと
    街が目覚めるまでまだもう少し
    気だるさと懐かしさを傍らに
    過ぎ去った人を思う
    同じ場所で朝のコーヒーを飲み
    夢見ていた愛の生活
    この場所は変わらないまま

    1枚30円で買ったコーヒーチケット
    5枚目は待ち合わせ

    手を小さく振って近づいてきたのは
    さよならをし忘れたからですか
    そんな意地悪言っても
    笑いあえる不思議
    ぼくは30円でここにいるけれど
    君の分のチケット買い忘れた
    あと一枚買えばよかった

    2010年9月12日日曜日

    区別がつかない

    毎日 日付変更線がこの身の上を通り過ぎていくのに
    通り過ぎでしばらくすると もう
    境界線は 溶けてなくなってしまう

    初めてそのひとと会った夏の終り
    スキー場の斜面に無数に咲き誇るコスモスが
    風に揺れていたけれど
    その風が
    その日が
    どんな境界線で区切られているかは
    判然としない

    コスモスの中に
    そのひとはいたけれど
    いま そのひとはどこにいて
    何をしているのか
    その輪郭さえ
    とらえることができない

    幻と夢の間に
    夕日が落ちて
    思い出へと誘う

    誘っているのが
    誰なのか
    判然としない

    2010年9月8日水曜日

    傷心

    道の端っこをしよんぼり歩くことを許してくれないか、世界さん。
    こんな蒸し暑い月のない夜だから、
    逃げ帰る自分の影も薄く、
    存在をより薄くしてくれるから、
    戯言や愚痴を言うことを許してくれないか、世界さん。

    世界の友達さん。
    見えないところにいる知り合いの皆さん
    どうか気付かないで。ね。
    僕のことに。

    世界さん、いつか
    懺悔してみましょう。
    僕が立ったところが
    自分と世界の交わる中心だと
    大手を振っていえる日に。

    今は、そのことに堪えられないから
    道の端っこを進みます。

    小さな自分のアパートに向かって。
    小さな虫が鳴いているその上空を。

    2010年9月4日土曜日

    束ねた髪の 後ろを歩く

    束ねた髪を振り子のように
    揺らして歩く
    月夜の道を

    束ねた髪の振り子を見つめ
    一緒に揺れる
    リズムをとって

    束ねた髪が
    かすかに香る
    遺影の前の
    果物のよう

    2010年9月2日木曜日

    毎日首つり

    目を覚ますとき
    毎日首がつられる

    硬いロープで
    喉を締め付けられて
    気が遠くなる勢いで
    目を覚ます

    それでも
    目覚まし時計で起きるよりは
    自分らしい
    と思う

    眠るときは
    馴れない手漕ぎボートで
    小さな波を超えていく

    目的地は見えず
    永遠に近づけない
    虚しさの重みで
    沈んでいく

    2010年8月31日火曜日

    月見だんごの夢

    小さなものが集まり支えあって
    ひとつの世界をつくっている。
    ひとつのだんごは
    世界にとって
    なんの役割り?

    どう機能してているのかわからないけれど、
    月夜のひとつのだんごは
    毅然としてうつくしく
    存在感に満ちている

    寄り集まって重なり合い
    何に向かってものを言おうとしているのか

    月、 
    ススキ、
    縁側、
    兎、
    たまに吹いてくる風

    宇宙と交信する
    エネルギーの玉?

    ぼくは何を言おう。
    夢に見たその白い球を
    ひとつ手にして
    あなたに
    何を伝えよう