2013年11月25日月曜日

竹とんぼ

あなたが声をかけてくれたから
私はもうこのまま死んでしまってもいいと思った
階段を降りながら
速さはつまみで調整するんだ   と
言っていたあのひとの指先と立ち姿を頭に描いていた
ふわふわの家猫ちゃん
しっとりとこの世を去るチャンスは
そうは多く来ないでしょう
新しい名前のビルの窓の外の梁から
もうじき雨で濡れるだろう固められた地面へと
真新しい竹とんぼを飛ばす

1 件のコメント:

  1. 「お願い」をしながら勢いをつけて
    手から放つ竹とんぼ
    真新しい竹とんぼは
    くるくるゆれながら
    まっすぐ降下する
    あなたが過去へと飛ばした
    ささくれのない竹とんぼ

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