さよならさんが
ドアの外に立っていと
ドアを開けた次の瞬間に
さよならさんの顔を
見てしまうことになる
すると
それで
すべては終わってしまうのだ
だから
よくよく用心して
さよならさんと
出くわさないように
ドアを開けなければならない
春風の音が
ドアを叩き
出会いの予感と共に
ドアを開けると
そこには
よく
さよならさんが立っていることがある
さよならさんは
無口だ
何も語ることはない
さよならさんの顔には
何も書いていない
さよならさんが
声を発することもない
そういうことだ
黙して語らず
すべてをすでにしらしめているのだ
その
すべてのなかにさえ
美しい希望のかけらがあるというのに
そのことを口にするものはいないのだ
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