長い夢からさめて
ターミナルを出ると
放射能を撒き散らしたような
明るい鮮やかな夕空が待ち構えていた
とにかく何かしなければと
僕らはとっさに行く先のことを考えていた
そしてこの夕空が意味するところを見極められるはずだ
いつか観た映画の一シーンに答えがあるかもしれない
リニアがタクシーの向こうを走っていく
あのリニアは実験が途中なので
こんな日は危険だ
いや もしかするとあのリニアのせいで
空がこんな色になっているのかもしれない
どこかの時空にねじれて衝突して
夢の世界から何かが滲み出してしまったとも考えられる
タクシーに乗れば災難を避けて
田舎にたどり着けるだろう
街道を結ぶバイパスを二つ通り
東西に伸びる線路を横切って
あの村に行けば
とり返しがつかないことにはなるまい
僕らは連れ立って
人気のまばらなタクシー乗り場にきた
タクシーに乗ると
タクシーは行き先を尋ねることもなくドアを閉め
急発進した
バイパスの橋を渡ると
僕らは思い立って寄り道することにした
その家に入ると
主人は寝室で寝入っていた
僕らが入ると
主人は癇癪を立てて何かを叫び
やがてたしなめるように言った
昨日帰ってきたばかりなのに
直ぐに仕事があり
時差ぼけがきついが
望むところだ
生きている間中ずっと何かをし続けなければならない
寝ている以外は
寝る間も惜しんでしなければ
叱られた気分を抱えて僕らは外に出た
すると待っているはずのタクシーはいなかった
空には星が沢山出過ぎていた
いつもみる一等星より大きな星ばかりだ
その明るさに目がくらみ
ぼくらは思わず倒れこんだ
眠るためではなく
ただ明るさから逃れるために
藁の匂いがした
続きが、読みたくなりますね。
返信削除ありがとう。普段生きる世界と格段に違うべつの世界があることをよく感じます。そんなことをまた書いてみたいと思います。
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