隠しごとが入ったリュックを背負って
坂を上がってやってくる
その部屋で
隠しごとは暖炉の前に置いて
二人は求めあった
隠しごとはいつも
放置され
だんだんと熟成された
二人もお互いをよく知るようになり
いつも夢中で話したので
季節の使者がドアの外にやってきては
呼び鈴を何度押しても
気づくことはなかった
水銀灯がLEDランプに取り替えられ
道は冷たく光り
行きかう人の心は
メルヘンを探してさまよった
夜の新たな影法師が生まれると
過去形で語られていた物語を
読み手が追い越し
現在進行形になってしまい
二人は越えなければならない峠に差し掛かったことに気づかされ
目配せをしあった
それが最後で最初の会話となって行った
次の話が未来形で語られ始めたとき
隠しごとは
虹色に燃えながら炎の中にあった
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