3枚羽根の発電機が
空気を切り裂きながら
欲望を仕分けしながら
唸っている
その唸りをBGMにして
海は波を寄せ
風は来るべき時間を連れてくる
ぼくは
ここにはいない人のことを
さっきから思っている
その人の笑顔は
甘えた声でいつまでも
何度でもぼくに
話しかけてくる
3枚羽根の発電機が
ぼくを切り裂きながら
愛を仕分けしながら
唸っている
ぼくもまた
唸りをあげて
夜の夢を先取りして
淀んだ空を塗りつぶす
星が1つ見え始めた浜には
3枚羽根の発電機が
この星の灯りを瞬かせている
2012年7月26日木曜日
2012年7月25日水曜日
縁側にて
真夏の午後に
縁側に腰掛けて
熱いお茶を飲んでいる人
鮮やかな緑色の湯が
喉を通過して行く
蝉の鳴き声が響く
さっきまで
お茶を飲んでいた人は
何処からやって来て
何処に行ってしまったのか
かすかなぬるい風が
縁側を廻っている
夕方の太陽は
ほどなく
真昼の太陽を押し出し
空を橙に染めるだろう
何もかも
我が身に起こることは
お茶を飲んでいた人と
すべてが同じこと
縁側は黙って
軋むだけ
樹の葉を移して
黒光りして
この夏も熱されている
縁側に腰掛けて
熱いお茶を飲んでいる人
鮮やかな緑色の湯が
喉を通過して行く
蝉の鳴き声が響く
さっきまで
お茶を飲んでいた人は
何処からやって来て
何処に行ってしまったのか
かすかなぬるい風が
縁側を廻っている
夕方の太陽は
ほどなく
真昼の太陽を押し出し
空を橙に染めるだろう
何もかも
我が身に起こることは
お茶を飲んでいた人と
すべてが同じこと
縁側は黙って
軋むだけ
樹の葉を移して
黒光りして
この夏も熱されている
2012年7月24日火曜日
そこはあそこ
次々と建物が建つ
そこに
次々と透明な塔が建つ
そこに
時が経つ
そこに
居なくなった人々が立つ
そこに
友達たちの裸体が立つ
私は後悔を隠さない
懐かしい思い出を
そこに遊ばせる
ラジオやら電話やらの電波が
そこに
留まることはなく
鳥の影さえ
通りすぎてゆく
階段を逆から昇る人
足音を吸着するフィルムを
回収するゴミ収集車
そこは
そこにいるひとにとって
あそこ
あそこは
彼らの中心
誰が発しているのかわからない声が
くちびるの奥で
君の名を呼んだ
そこに
次々と透明な塔が建つ
そこに
時が経つ
そこに
居なくなった人々が立つ
そこに
友達たちの裸体が立つ
私は後悔を隠さない
懐かしい思い出を
そこに遊ばせる
ラジオやら電話やらの電波が
そこに
留まることはなく
鳥の影さえ
通りすぎてゆく
階段を逆から昇る人
足音を吸着するフィルムを
回収するゴミ収集車
そこは
そこにいるひとにとって
あそこ
あそこは
彼らの中心
誰が発しているのかわからない声が
くちびるの奥で
君の名を呼んだ
2012年7月23日月曜日
宇宙人
さっきから猫を撫でてかわいがっている人は
半分 猫に成りかかっている
本人は気づいていないらしい
猫も 四分の一ほど
ヒトに成りかかっている
二つの生き物が
歩み寄り
混ざり合い
お互いの中に入っていくことは
よくあることだ
猫とヒトとの境界線に
夕日が沈み
星が輝きはじめる
私はその星を見て
六割ほど
宇宙人に成りかけている
半分 猫に成りかかっている
本人は気づいていないらしい
猫も 四分の一ほど
ヒトに成りかかっている
二つの生き物が
歩み寄り
混ざり合い
お互いの中に入っていくことは
よくあることだ
猫とヒトとの境界線に
夕日が沈み
星が輝きはじめる
私はその星を見て
六割ほど
宇宙人に成りかけている
2012年7月22日日曜日
友達と私は
野菜を作っている友達は
やや黒い
詩を書いている私は
やや白い
友達はやや痩せていて
私はやや太っている
太陽は友達を毎日長い時間照らし
エアコンの風は私に毎日長い時間吹く
友達と私はだいぶ違う
私は友達とだいぶ違う
私が考えている時
友達は夢を見ている
2012年7月21日土曜日
もうすぐ目薬を
目薬をさしてあげよう
愛する人よ
水晶を抱えたコーヒー色の瞳が好きだ
綺麗な円を描き
外側に広がっていき
やがてぼんやり白昼のもとに消えていく瞳
境界線からは陽炎が立ち上っている
瞼を閉じた瞳も好きだ
睫毛とともに動きやがて震えながら静止する
瞼
瞳を包んだ瞼は
こんもりと丘を作り
光沢のある黒曜石やガラスの粉が
表面で光っている
嬰児を孕み
予感の胎動を
扱いきれずに
放出している
睫毛は筆とは違う
瞼と瞳の間に
決まりごとを作っている
私は
そのあたりを含め
すべてが好きだ
大好きだ
愛する人よ
水晶を抱えたコーヒー色の瞳が好きだ
綺麗な円を描き
外側に広がっていき
やがてぼんやり白昼のもとに消えていく瞳
境界線からは陽炎が立ち上っている
瞼を閉じた瞳も好きだ
睫毛とともに動きやがて震えながら静止する
瞼
瞳を包んだ瞼は
こんもりと丘を作り
光沢のある黒曜石やガラスの粉が
表面で光っている
嬰児を孕み
予感の胎動を
扱いきれずに
放出している
睫毛は筆とは違う
瞼と瞳の間に
決まりごとを作っている
私は
そのあたりを含め
すべてが好きだ
大好きだ
2012年7月20日金曜日
目撃者
たとえば
すべり台の途中で
世界がわたしの前から突然溶けて
なくなって
独りだけすべり台の途中の位置に
取り残されてしまったら
一緒にいたあなたは消え去った世界で
何を頼りに生きていけばいいのだろう
あなたのことがいつも心配だ
私のことを忘れてしまう
あなたは私のことを
忘れているのではないか
とある午後
私はあなたに鍵をかけて
その鍵を飲み込んだ
あなたの中に誰も出入りできず
あなたがさらわれても
誰も気づかぬように
ただ私だけが
それを目撃していた
すべり台の途中で
世界がわたしの前から突然溶けて
なくなって
独りだけすべり台の途中の位置に
取り残されてしまったら
一緒にいたあなたは消え去った世界で
何を頼りに生きていけばいいのだろう
あなたのことがいつも心配だ
私のことを忘れてしまう
あなたは私のことを
忘れているのではないか
とある午後
私はあなたに鍵をかけて
その鍵を飲み込んだ
あなたの中に誰も出入りできず
あなたがさらわれても
誰も気づかぬように
ただ私だけが
それを目撃していた
2012年7月19日木曜日
木の子ども
木の子どもは
父母(ちちはは)に抱(いだ)かれて空に顔を出す
笑顔の表面は
つややか
風も
やってきた小さな虫も
滑ってしまう
木の子どもは
父母に抱かれてオトナになる
清々しく薫る
花を咲かせる
誰も
その花に
見惚(みと)れないものはいない
木の子どもは
もう子どもではなくなった
だが笑顔は
あの日のまま
(李先生に)
父母(ちちはは)に抱(いだ)かれて空に顔を出す
笑顔の表面は
つややか
風も
やってきた小さな虫も
滑ってしまう
木の子どもは
父母に抱かれてオトナになる
清々しく薫る
花を咲かせる
誰も
その花に
見惚(みと)れないものはいない
木の子どもは
もう子どもではなくなった
だが笑顔は
あの日のまま
(李先生に)
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