2011年12月12日月曜日
未来の日
明るい緑の葉を風に翻らせて
辺りを見回している
鳥は
木の代弁者として
飛び回っている
あなたは未来の日に
あのときどうしたらよかったのだろう
と
考えて
いくつもの答えのパズルを繰り返している
未来のことを考えているのに
過去の自分を省みている姿をイメージしてしまうのは
やめられないのだろうか
つよい後悔が足下を覆い
道は見えなくなっているのか
月のない田舎の闇夜より暗い
都会にいるあなたの心の闇
私が掬い出せるのなら
手伝ってあげたい
だが
未来のあなたは
今の私だから
それも無理なことなのだろうか
分からないまま
鳥は
巣に帰って行った
2011年12月11日日曜日
詩の時間
いきなり目の前に現れた
といっても似ているだけのひと
おまけに二人連れで
とても仲よさそう
私はよく見える席に座っていて
二人に見入っている
あっ ビールの泡が
唇の周りに着いているのに
気にせずに見つめ合っている
二人は静かに
会話をしている
何を話しているか悟られないようにして
二人の世界を守っているのだろう
私はチキンにソースを絡ませて
ココナッツライスと一緒に頬張る
彼女は
煮込んだチキンを箸で割いて
ひとかけらを口に入れる
私は大きなベッドの上に横たわった
彼女の足の方から彼女の中心めがけてダイブする
彼女は前を見つめて
相手の言葉に相槌を打つが
男は小さな椀に入った麺をすする
私は彼女の視線に絡め取られて
言葉を失う
勘定を済ませて
歩き始める
2011年12月10日土曜日
ドレミ
その笑顔で
あなたは
質問する
「なぜ笑っているの?」
わたしは
答えられずに
もう一度笑顔をつくりなおした
だから
二度目の笑顔はにせ物
あなたはもう
わかっているね
あなたは
自分の夢のために熱心で
そのせいで優しい人になっている
わたしはあなたに
「優しい人ね」
といわれたとき
わたしが優しいのは
ほかに何もできないからなのだと
告白できなかった
タイミンクを
逸してね
でも
きょうは
月食の日
おもてには
たくさんの人が集まって
わいわい月食を観たり
写真に撮ったりしながら
この時間を楽しんでいる
月は
優しさがあるのかな
だから
たまには
地球の影に隠れて
太陽に見えないところで
嘘をついてみたいのかな
でも
私たちが観ているのにね
2011年12月9日金曜日
プレゼント
箱の中に
箱が入っていた
その中にも
箱が入っていた
いくら開けてみても
中から箱が出てきた
18個目を開けたとき
彼は
やっと気づいた
箱の中には何も入っていない
箱の外に
彼女からの
贈り物が入っていたのだ
2011年12月8日木曜日
調整日
気にいらない
冴えない
色が悪く
覇気がない
眼も充血している
お腹の辺りも
たるんだ感じ
目立たない服着て
当たり障りなく
過ごしたい
食べものに注意して
バランスよく少なめに
そして早く帰宅して
考えごとをしよう
勝負は
別の日にしよう
きょうは
調整日
大事な人から
優しい電話が
来ませんように
2011年12月7日水曜日
中身
ちょうどいい容れ物が見つからなかったのか
その朝
その辺に放ってあった黄色い容れ物に投げ込まれた
そのせいか
私はいつまでたっても居心地がわるい
首のあたりがフワフワし
節々が痛い
脳裏をヤドカリの中身が横切って行く
2011年12月6日火曜日
マリン
あなたのことを
きょうは
マリンと呼ぼう
あなたのうなじから
海の香りはしてこないけれど
あなたの瞳に
海の底の星空は映っていないけれど
きょうは
あなたのことを
マリンと呼ぼう
あなたは自分のことを
不器用だと言うけれど
私は あなたから
その器用な身のこなしを学んでいる
と
いつか
告げたことがあった
あなたはまた
人間関係が苦手だと言ったけれど
あなたの周りには
いつもあなたを求めて素敵な人が
集まっていた
マリン
と呼んでも
マリリンモンローを連想しないでくれ
いっそプリンや風鈴の方がまだ近いのだから
きょうは
煩わしいことが片付いて
いま
何が煩わしかったのかさえ
リアルには思い出せないくらいに
脱力し
重力となって地面に落ちている
マリン
あなたは
あなたであって
あなたではない別の誰か
マリンは
私を
何と呼んでくれるのだろう
朝のベッドのシーツの中で
2011年12月5日月曜日
あなたはすべてを
あなたは
すべてを知ってしまったから
あとは
知らないふりをすることにした
あなたは
すべてをやり終えてしまったから
ほどよく
壊してはまた作ることにした
あなたは
すべてを生きてしまったから
あとは
他人の人生を生きようとした
あなたは
すべてを愛していたから
無限の星が
いつまでも祝福していた