2013年9月30日月曜日

世界の混沌

核分裂が起こり始めたんでしょう
警報の種類が変わったわ

灰色の雲の垂れ込める海岸は
湾を挟んで対岸にある

アシスタントのミモトが
無表情にそう漏らした瞬間
私は行かなければという衝動に駆られたが
危ない状況に武者震いした

脳裏にあったのは
前回見た核爆発だった

理科の実験室で
水素を作る実験をなぜやらされたのか
今になって分かった気がしたのだった

夕刻へと向かう空模様
未来へと向かっているのか判然としない心模様

自転車で30分
ここからあの海岸までの距離だ
途中には遺跡があり
貝塚も保存されている

百代前の家族は
味噌汁の鍋をかき混ぜながら
獲れたての魚をチンしていただろうか

霞む山の上空で
仙人は見下ろしているだろうか
世間と世界の混沌が
混ざり合う様子を

1 件のコメント:

  1. 中村ゆき子2013年10月1日 1:13

    核分裂、愚かな人間によって作り上げられ、なのにそれを中和させる手段を持たない。悪夢の終焉が待っている。
    仙人も、神様も仏様も、いるわけないのに
    窮地に追い込まれると神頼みするのは、
    人は何もできないと本能は悟っているからだろうね。
    いつそれが襲うともかぎらないのに、何一つできないんでは滅びる道しか残っていない。
    今度地球が滅びたら、何度目になるのだろうか。

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