2011年11月8日火曜日
一番大事なもの
と 問われて
まじめに悩んだ
いつもそうである
一番大事なものなんて
あるのだろうか
そうやって
考え始めたら
いろんな大事なものが頭の中に現れては
こちらをキッとにらんで
消えていった
いつの間にか
日は暮れ
空には星が出ていた
幼いころと同じように
輝いて
そして
突然気づいたのだ
そんなことを
考えるのは
とても窮屈だということに
そして
一番大事なものが
見つかった
2011年11月7日月曜日
鈴木さん
授業が終わって
急いで塾に来た
鈴木さんはまだ来ていない
蛍光灯がまぶしい
鈴木さんは
ほかにいないような
清楚で色気の在る人だ
白いブラウスが蛍光灯の光で
輝く
うっすらと肌が透けて見える
鈴木さんの後ろに座るとき
心は膨張して
ほとんど鈴木さんに吸い取られる
授業の先生の声がたまに遠のき
森の中で
花の香りを嗅ぎ
小雨に打たれる
おしゃべりするみんなの声は
風の音
葉っぱがざわめき
空に雲が流れる
さようなら
鈴木さん
なにもいわないまま
あなたとは
ずっと会わなくなった
いまもどこかにいるのだろうか
それとも
幻のように
消えてしまったのか
2011年11月6日日曜日
あいつ
なまけもので
おっちょこちょい
ねぼすけで
くいしんぼう
こわがりで
ずるがしこい
おひとよしで
うたぐりぶかい
くわずぎらいの
ひゃっかんでぶ
なきむしけむし
ひとまねばかり
よくばりのごうじょっぱり
がんこでのんき
どこかにくめない
あいつは
きのう
しんじゃった
なにぬねの
さいきん ちょっと
なにぬねの
めっきり 元気が なくなった
なにぬねの
夜空の月は 変わらない
それは気のせい
わからない
なにぬねの
どうでもいいこと
なにぬねの
2011年11月5日土曜日
なにもかも
なにもかもうまいくなんていうことはないのに、
なにもかもうまくいけばいいなとおもう。
なにもかもうまくいかないとおもっているひとは
なにもかもうまくいくことより
ほんとうはなにもかもうまくいかないことをのぞんでいるから
なにもかもうまくいかないことにまんぞくしている
というのは
わたしのしゅかんだが
わざわざそういうのは
ほんとうはきゃっかんてきじじつだとおもっているからであり
ちせいあるわたくしのそんざいをこうていしたいためで
なにもかもうまくいかないことにまんぞくしているひとと
たいさない
そのひとはわたしであり
わたしはそのひとである
なにもかもうまくいくひとと
なにもかもうまくいかないひとは
そうじけいでありいっしょである
なにもかもうまくいったときに
なにもかもをうしない
なにもかもうまくいかなかったときに
なにもかもをてにする
なにもかもはすべてであり
すべてであるものは
無である
*
ma167@hotmail.co.jp
2011年11月4日金曜日
愛していると言えなくなっても
本当に愛し始めたからだと
認めたくなくて
ふてくされて
11月のテラスで
アイスミルクティーを飲んでいる
風が吹くと
身を縮こめなければ
寒さを追いやれない
愛しているといえない自分は
つぼみを閉じているようだと思う
音楽を聞かせても映画を見せても
わずかに視線を動かすだけだ
愛する人は
目の前にはいない
愛する人は
気軽にメールしてくるけれど
ちっともうれしくなんかない
私は
愛していると いつか
言いたいんだ
愛しくれないあの人に
言いたいんだ
2011年11月3日木曜日
金魚には悪いけど
ペットボトルのふたが取れて
底に水がたまっていた
たまった水の中で
教科書が
悲鳴を上げていた
教科書に載っていた
金魚が
逃げ出してしまったらしい
でも
大丈夫
僕は余裕で笑って見せた
金魚はかばんのなかから逃げられない
部屋に戻ったら
乾かして
また
本の一ページに
貼り付けよう
なかったことのように
せっかく逃げた
金魚には悪いけど
2011年11月2日水曜日
学校
慌てて飛び出した僕の目に入ったとき
慌てていた理由も忘れて
なぜか走り出さずにはいられなかった
どこに行くのかはっきりしないけれど
もう 思うままに
走り出していた
そんなに速く走っている訳ではないが
心は滑るように先走った
人が大勢
反対側から歩いてきたので
流れに逆らいながら
走っていった
どこまでも走っていった
息を切らしても
止まることはなかった
やがて
月がぼんやりと僕を見下ろし
黄色い葉っぱは
ますます黄色くなっていった
頭に
葉っぱが二枚落ちてきて
僕ははっとした
葉っぱに頭を触られたのは
いつ以来だろう
思い出すことができない
僕があのひとの頭の上に
落ちて
触ったときの感触も
2011年11月1日火曜日
パンダ娘とは呼ばないけれど
ぼくはパンダ鳥とよんでいる
白い鳥で
頭の部分だけ
帽子をかぶったように見える
鳥パンダに
教えてあげたい
そういえば
あのこもそうだ
パンダ娘とは
呼ばないけれどね
あっ
そういえば
ぼくも
2011年10月31日月曜日
じんせいは わからない
わるいこともして
よくもわるくもないことをして
どちらかわからないことをして
おとなになった
おとなになっても
よいことをして
よくないことをして
どちらかわからないことをして
ろうじんになった
じんせいは
むずかしい
じんせいは
おもしろくて
つまらない
あくびをしたら
しかられる
しかったひとも
あくびをしてる
2011年10月30日日曜日
寒い季節がやってくると
コタツにいた猫が
黒焦げになって
塀の上を歩いている
寒い季節がやってくると
落ち葉に隠した
木の葉のお金が
白い煙を出しながら
小さな炎を灯して燃えてしまう
寒い季節がやってくると
散歩に行くのがいやになり
ついでに
愛する人を
迎えに行くのもいやになる
寒い季節がやってくると
寒がりのあなたが
暖をもとめてあいつに寄りそい
いつまでまっても
帰ってこない