2011年3月12日土曜日

行方不明

暗い夜の海から
救難信号がでている

ひとり波にさらわれたあなたが
私に向けて発しているのだ

長大な夢をさまようさなかに
わたしはそれに気づいた

いくつもの物語が混ざり合い
濁流を作って
流れ過ぎる

その信号を受けるまで
わたしはいつのまにかあなたの記憶を奪われ
無目的に生きていた

どこまでが夢で
どこからが覚醒していたかは
どうでもいいことだ

ただ いま
その信号に答える方法が見つからない

あなたは遠いところに行ってしまった
そこで
幸せを掴んでいることを願う

2011年3月11日金曜日

よろめきドラマ

よろめくよ
よろめきドラマは
たわむれる
ひがな一日
あいしてる
来る日も来る日も
いちゃついて
くんずほぐれつ
闇雲に
言うが早いか
抱き合って
とろけるまなざし
強く出て
押しては引いて
さえぎられ
よもやと思い
仮りそめに
居ても立っても
いられない
24時間週七日
ろくろくものも食べないで
そればっかりに熱中し
いやよいやよもスキのうち
盛って磨いて光らせて
パワースポット巡礼し
たたんでのしてまたひらき
くるくるまわり押し上げて
お釈迦様にも分かるまい
メーメーコヤギメー牛山
出かけるときは忘れずに
ゆるく締め上げきつく打つ
水分補給忘れずに
ヒアルロン酸1000ミリグラム
慌てず騒がず冷静に
くるぶしまではいいことに
ドーンと構えてさびしがる
よろめきドラマは
午後1時

2011年3月10日木曜日

こわいものしらずのきみが

こわいものしらずのきみが
なにか必死にかんがえている
その顔はとても迫力がある
見ているほうも力が入る

こわいものしらずのきみが
かんがえるのをやめて笑う
笑顔の造形が美しい
角度を変えてもまた美しい

こわいものしらずのきみが
暗く沈んでだまっている
言葉が閉じ込められている
醗酵してお酒になりそう

こわいものしらずのきみが
ぼくのまえにいる
こわいものしらずの性格が
吊り橋をスタスタわたって
ぼくのなかに入ってくる


★要約
こわいものしらずのきみが
ぼくのなかに入ってくる

2011年3月9日水曜日

キミとの顛末 その一部

キミと
こんもりした山の
坂道を登っていっく
息が切れるけど気にしない
(でも気になる)
ちょうどいい歩幅の段々がつづく

ずんずん先を行くキミ
あとからついて行くぼく

てっぺんまではあとどのくらい?
てっぺんはどうなっているの?

キミは無言でてっぺんを通りすぎて
下り坂に入る
ぼくは「ここがてっぺん?」
と聞く
キミは別の話に夢中ななりながら
どんどん先を行き
いきなり民家に入っていく

知っている人の家らしい
ぼくもおそるおそる民家に入る
するとそこには香りのいい花が乾かされて刻まれて袋に詰められ棚に並べてある
さらにアロマオイルやシャンプーやバスソルトなども並んでいる

キミはその一つを手にとって出てきた男に目配せした
犬が跳びかかってぼくたちをナメる
股間に鼻を押し当ててくる

キミはその家を出ると
無言で歩き出す

古い門の上に月が出ている
ぼくはそれを写真に撮る

キミは前方に洒落た店を発見し
ぼくに合図をする
ぼくは
「入ろうか」という
キミとぼくは店に入り
メニューを一緒に見て注文を決める

外では月が笑っているだろう
きょうは三日月よりも少し細い月

ニヤけた笑いだ
おあいにくさま

2011年3月8日火曜日

未来旅

ペットボトルから山の水を流し込んで
からだの中に川を作る
次にその辺に転がっている雑多なものを積み上げて
岸を作る

太陽の光を浴びて草花と木を生やし
あなたを呼びにゆく

あなたは渦巻く風となって
水を波立たせ
草花と木を揺する

その風景の中で
わたしはあなたと手をつないでかけてゆく
そこには夕焼けがあるが
それにはお構いなく
二人はずっと未来の朝の陽ざしの中のいる

2011年3月7日月曜日

ホットケーキ気分

フライパンの上で
泡立っている

どれだけの時が流れたのだろう
あなたは
料理を作るのが好きだ

ホットケーキを作るのは
ものの五分

その五分間に
あなたは人生のすべてを詰め込もうとしている

あなたがいだいてきた思いの数々

知っているはずだ
振り向けばあの日のお母さんが
あなたのためにおやつをつくっている
その意味を

ホットケーキの裏面は
こんがりと日焼けした背中のよう

ちょっとだけ塩を加えようか

潮風が手伝ってくれる

お礼を言っても構わない
風が涙を飛ばしてくれる

2011年3月6日日曜日

yokokuーhen

夕べの流星群はすごかった
町をすっかり掃き清めてしまった

あなたが見る夢の背景を
星の群れg,kが照らし
hはあなたの過去を照らした

あなたの胸の前で結ばれた手に中には
いつのまにか
itunomanikaが入っていた

震えて光っているものだ

先ほどから降り出したアメノナカニデテミルト
それは優しい雨で
町のよごれをきれいに流してしまった

そしてそれとは別に
窪地に集まった水は
命をhagukumu機会を
待ち始めた

2011年3月5日土曜日

おとなになって

すいかキャンディ
がらくたの大きな箱
イソギンチャクのワッペン

こどものころに
すきだったもの

貝殻のついた鉛筆
リトマス試験紙とスポイト
エキゾチックなピンナップ

こどものころに
自慢していた

でも
いまは
どこにあるのか
わからない

さがそうとしたら
あなたにであった

おとなになって
すきになった

こどものころには
知らなかった
あなた

2011年3月4日金曜日

首を伸ばしてきみを

ろくろっ首だよろくろっ首
首吊りして伸びたんだよ
古い家の太い梁にぶら下がったんだよ
ぞっとしたよ
さめざめしたなあ

ろくろっ首だよろくろっ首
見せ物じゃないよ
やりたかっただけだよ純粋なんだよ
はっきりしたよ
後悔はしないさ

ろくろっ首だよろくろっ首
ぶらさがったよあいつらのうえに
もうしたくないよ首伸びちゃったよ
引っ込まないよ
引っ込みもつかないよ

ろくろっ首だよろくろっ首
伸びちゃったろくろっ首だよ
引っ込みつかないろくろっ首だよ
きみが好きだよ
きみに首ったけだよ

2011年3月3日木曜日

あなたのためにある

あなたの美しい瞳は
砂埃の中でも濁ることがない
指は擦れてもまた艶をとりもどす
つらいことがあっても
あなたの笑い声が消えることはない

寒さが包みこむ厳しい冬に
あなたを守っているバリアは
あなた自身が作ったものだ
寂しい時間が奏でた音色が
あなたの耳の奥で鳴り続けても
心臓の鼓動が高まったとき
あなたは楽し気な音楽を聴いている

あなたの家の屋根に
月の光が降り注ぎ
光のカーテンが揺れながら覆う
あなたは知らないかも知れない
わたしはそれを見ている

あなたの部屋の中で
優しい夢が寄り添って
あなたは子どものような寝顔で
甘えている

この世界は
あなたのためにある