このブログから2冊の電子ブックが発売されました。日記のように好き勝手に綴ってきたので、本人がいちばん驚いているのではないでしょうか。掲載にあたり、推敲をきちんといたしました。Kindleのアプリでお読みいただけます。どうぞよろしくお願いいたします。
2013年5月26日日曜日
2013年5月25日土曜日
滴
葉が風に揺られて
夜のあいだに降った雨の滴が
地面へと落ちていく
家がいつ建ったのか
彼は見ていなかったが
その窓の外には巨木があり
秋にはドングリの実を屋根に降らし
枕に顔を埋ずめながら
いつも遠くにそれを聴いたいた
秋は深まるたびに
彼を冬へといざなった
何回の季節替わりを
いったい憶えていることだろう
彼は滴のことも知らない
それはほとんど音を立てずに
地面に達し
土に浸みていったから
彼の学校は住宅街を10分ほど歩いたところにある
彼の部屋の机が
いつどこで作られ
彼がどういう経緯(いきさつ)で使うことになったのか
彼が知らないうちに
その机は廃棄物となり
どこかへと運ばれていってしまった
この机を
彼に使わせた彼の父さえ
もうこの世にはその姿がない
滴は
土に浸みたのちに
どうなったのか
だれか知っているだろうか
空に上り
雨となって降り注いで
またここに訪れているのだろうか
木の机の上に
リンゴ印のコンピューターを置き
彼は今 何かを書いている
ペン差しには鉛筆もあるが
彼はキーを叩いている
その音が
ほかのどの音にも喩(たと)えようがないことに
すこしだけ
いら立ちながら
いら立ちながら
2013年5月24日金曜日
5月24日
やさしい夜の風
この夜を清める月の光
鳴ることなく黙っている電話
部屋の中で時を行き来する思い
群衆にまぎれこみしかし交わることのない人びと
四角くそびえるビル
鉄路を行く汽車
ちらちらと瞬く波
誰も載せていないベッド
丸くなった鉛筆の先
街角で待っている人
5月24日
二度と訪れない今日の日
80,001、これからも
ページビューの合計が80000を超えました。
日記のような一筆書きの詩を
こんなに沢山、長きにわたり見てくださってありがとうございます。
思いがけなく、すばらしいパブリッシャーとの出会いがあり、ここから電子書籍も生まれました。
これからも、いや、これからは、もっと楽しんでいただけるよう意識してやっていきたいと思います。
どうぞこれからもよろしくおねがいいたします。
2013年5月23日木曜日
おとなの罠
吹きすさぶ風
揺れているものは何?
いつからああして
揺れているのだろう
人知れず
夕闇に飲み込まれてゆく
ゆれているもの
降り始めた
冷たい雨
湿っているものは何?
きょうも湿り
明日には乾いて
笑っていられるのだろうか
夜に湿るもの
じっとりと
言い訳をいわないのが
おとなの約束?
それとも
おとなの罠?
揺れているものは何?
いつからああして
揺れているのだろう
人知れず
夕闇に飲み込まれてゆく
ゆれているもの
降り始めた
冷たい雨
湿っているものは何?
きょうも湿り
明日には乾いて
笑っていられるのだろうか
夜に湿るもの
じっとりと
言い訳をいわないのが
おとなの約束?
それとも
おとなの罠?
鍵穴
したいことがない訳ではない
したいことを無視している訳でもない
したくないことばかりが山を成して行く手を塞ぎ
しなければならないことが張り巡らされ
したいけれどできないことが礫となって飛んで来る
歩くこともままならない
止まれば砂塵に襲われ
逃げればスコールが付いて回り
叫べば雷鳴に打ち消され
黙れば静寂に呑み込まれる
したいことがない訳ではない
ここから抜け出て
したいことをしなければ
しなければと思わずにしなければ
しなければと思わずにしなければ
したいことは
向こうに行っても
死体とならずに
生きているだろうか
不安が影を伸ばし
くっきりした輪郭を作る
そのなかの光る一点に
鍵穴がある
2013年5月22日水曜日
心の隙間
心の隙間に何もない
心の隙間を埋めるもの
売っていたなら買ってこい
心の隙間を埋めたいが
そうは問屋がおろさない
心の隙間が軋んでる
心の隙間を癒すもの
どこかで奪って盗ってこい
心が泣くのをとめたいが
ますます侘しさつのってく
心の隙間がつんざける
心の裂け目を縫うミシン
知らん顔して手に入れろ
心を取り繕いたいが
心は空に消えていく
2013年5月21日火曜日
もう何度もやっているのに
もう何度もやっているのに
いつも新しいことだと感じられるのは
毎回新規のファイルが生成されるからだろうか
長く生きていると
部屋中ファイルだらけになり
足の踏み場もなくなるから
時々ごっそり処分しなければならない
だか
処分の時を見極めるのは
難しい
気づいた時にはすでに考えすぎているから
さらに考えすぎればすぎるほど難しくなっていく
愛は執着し
片道切符は帰ることを邪魔して
捨て身で挑んでくる
大事なものたち
生まれ変わり新しい衣装を纏い
私の感じやすい部分を慰めて欲しい
見えない星の光ほどのかすかな眼差しで
見返して視線を結ぶから
いつも新しいことだと感じられるのは
毎回新規のファイルが生成されるからだろうか
長く生きていると
部屋中ファイルだらけになり
足の踏み場もなくなるから
時々ごっそり処分しなければならない
だか
処分の時を見極めるのは
難しい
気づいた時にはすでに考えすぎているから
さらに考えすぎればすぎるほど難しくなっていく
愛は執着し
片道切符は帰ることを邪魔して
捨て身で挑んでくる
大事なものたち
生まれ変わり新しい衣装を纏い
私の感じやすい部分を慰めて欲しい
見えない星の光ほどのかすかな眼差しで
見返して視線を結ぶから
2013年5月20日月曜日
欲ばりチキンちゃんへ
欲ばりチキンちゃん
自分が得することばかり考えていると
損をすることが分かったから
他人のことも考えることにしたけど
ちょっと待って
やっぱりそれは自分が得するためじゃない?
怖がりチキンちゃん
広い世界に出ていきたいのに
広い世界がとても怖くて
他人のせいにして気を紛らわしているけど
ちょっと待って
広い世界はキミの頭の中には収まらないよ
見ない振りのチキンちゃん
窓ガラスに付いた雨の滴も
狭い道を歩いている見知らぬ人も
母乳を吸わせる母親の顔も
いまここにあるもの
キミと同じかけがえのなさで存在しているよ
自分が得することばかり考えていると
損をすることが分かったから
他人のことも考えることにしたけど
ちょっと待って
やっぱりそれは自分が得するためじゃない?
怖がりチキンちゃん
広い世界に出ていきたいのに
広い世界がとても怖くて
他人のせいにして気を紛らわしているけど
ちょっと待って
広い世界はキミの頭の中には収まらないよ
見ない振りのチキンちゃん
窓ガラスに付いた雨の滴も
狭い道を歩いている見知らぬ人も
母乳を吸わせる母親の顔も
いまここにあるもの
キミと同じかけがえのなさで存在しているよ
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