
詩人が夏の間暮らしている
小さい家には
キレイなものが
ほどよくあります
小さい家なので
沢山おいておくことはできないから
誰が作ったものなのでしょう
作者の名前などなくても
キレイなものはキレイです
名前を背負わない心地よさで
輝いています
自分が輝いているのではありません
太陽が輝き
空の明るさを透過させるときに
そのお裾分けで輝いているのです
詩人はその
キレイを見て
時には 触ってみて
それを詩にしてしまうのでしょうか
詩にならなくても
ただそのままでもキレイな言葉で
(2012-08-18 撮影/マツザキヨシユキ)
「きれいですね」
「きれいでしょ」
「金平糖を主役に撮ります」
(2012-08-18 撮影/マツザキヨシユキ)
「泣きたい気持ち」は
泣けば、何処かに流れていくでしょう。
流れていった「泣きたい気持ち」は
また、いつのまにか、戻ってきて
あなたの傍らにあるでしょう。
それは、あなたの
「泣きたい気持ち」ですか?
どうやって区別をつけているのですか?
私の「泣きたい気持ち」は
いま、どこに行ってしまったのでしょうか。
新幹線に乗って、田舎の川を超えて、
土埃の道を通り、
あの山の中の小さな小屋の木のテーブルに腰掛けて
ひねくれてジューを飲んでいるのでしょうか。
時の流れを見ようとして
空中を神妙に探しているのでしょうか。
暮れゆく外の景色を
呼吸とともに胸に容れようとしているのでしょうか。
「泣きたい気持ち」は
帰ってきますか?
それは誰かの気持ちと
入れ替わっていませんか。
名前はついているのでしょうか。
「泣きたい気持ち」が
帰ってくるのを、こうして待っているのも
変ですね。
木下くんが
木の上にいて
ぼくを呼んでいる
小山くんが
広場で
野球をしようと誘ってくる
栗山さんが
喧嘩はやめなって
梨を手渡してくれる
反町くんが
村上さんと
デートしている
谷川さんが
湧き水を飲んで
冷たくておいしいって言う
君島さんが
竹島は
私たちの島だという
この鍵に合う鍵穴は
どこにあるのか
長いあいだ探している
鍵を握りしめて
錆びないように手の油を摺り込みつつ
この鍵穴に合う鍵は
誰が持っているか
探している
違う鍵を無理やり突っ込まれて
壊れてしまうことを怖れながら
また同時に夢見ながら
片っ端から
鍵穴に鍵を突っ込み
ぐるぐる回してみる
入ってきた鍵は
この扉をなかなか
開けることができない
鍵と鍵穴は出会えるのか
バラバラにされた
二人
出会えた暁には
扉の向こうに
何が待っているのか
鍵穴は鍵と話し合いたい
誰にも見られないように
誰にも聴かれないように
鍵穴を照らす灯りも消して
この空気の匂いはあの時と同じ
初めてここにきた時に胸に吸い込んだ
いい匂い
それは未来の希望そのもの
太陽が照りつけても
雨が降り続けても
なくなることなく
胸に芳っていた
だが
何時の間にか忘れてしまっていた
その匂い
いま
突如その匂いと再会し
目の前に
希望の後姿が現れた
希望の顔が見たかったら
追い越して
振り返らなくてはならない
一からやり直しだが
初めてやるのと変わらない
その匂いに誘われて
そわそわ
何もかもを
始めようとする
知らない土地を訪れた
歳若い旅人のように
やることがなくて
人の集まる場所に行って
道に立って
行き交う人を見ていた
暑かったので
ノースリーブで
背中は裸に
あやとりみたいな紐
Tバックにして足も出した
悲しかった
その上寂しかったので
誰かと出会い
バクチに出たかった
分かってくれない人は
そのままでいい
鈍いやつはキライ
私はニブくないから
キレないし
綺麗ではないけど
綺麗だと言ってくれる人は
嘘で言っているのではないと
わかる時がある
香林坊から片町へ
私は夜の仕事をしている女たちみたいに
なりたくないが
よく考えたことはない
どこが違うのか
どこが一緒なのか
私の脚は細くて長い
光を反射して
たまに見とれてしまい
自分のものと思えなくなる
あなたのものでもないけれど
これから
あなたを探すのよ
いやらしいひとは
私が泣く時 かえって勢い良く笑っている
いやらしいひとは
私の知らないところで私を馬鹿にして楽しんでいる
いやらしいひとは
いやらしくありませんという顔をする
いやらしいひとは
いやらしいひとだと薄々ばれている
いやらしいひとは
むかしはいやらしくなかった
いやらしいひとは
途中からいやらしいひとになったのだ
その原因は
私にあるかもしれない
何故雨が振っているのだろう
誰も傘を差していないのに
何故口車に乗るのだろう
タクシーさえ嫌いな人なのに
何故優しくしてくれるんだろう
会ったこともない知らない人なのに
威張っいている人は
人々を見下している
物事を馬鹿にしている
下ばかり見ているので
前を見ることができない
物事を馬鹿にしているので
自己陶酔して孤立している
威張っている人に会った
威張っている人は元気だった
だが
悲しそうに見えた
威張っいる人は
威張りながら言った
「君を助けてあげようか」
「助けて欲しい」
とこたえると
「助けたら何をしてくれる?」
と言った
威張っている人は
かわいそう
威張っている人は
威張ることが人生
威張っている人を
助けてあげたい
威張っている人を
どうやって助ける?