2011年11月25日金曜日
三階建のバス
橋をくぐる時に怖い
本当は四階建だけど
四階はほとんど棺桶状の仮眠スペースなので
慎ましくも三階建と自称しているのだ
リゾート地のホテルから幹線の駅までを走るが
市街地に入ると
その巨きさはひときわ眼を惹くから
やがて人々は箱舟バスと
ヘンテコな呼び名を与えた
その三階に秘書と同乗しているわけだが
もちろん昨夜は
一緒のベッドで一夜を過ごした
持って行った小さなカバンは
イタリアの空港で
衝動買いしたものだったが
朝 シャワーを浴びている隙に
秘書がゴミとして捨ててしまった
駅に着くと
さすがは一流のリゾートの駅という感じで
洒落た店が立ち並び
静かに賑わっていた
中には訳ありの旅行者もいるのだろう
私たちはマクドナルドに入り
コーヒーとアッブルパイを分け合って食べた
きょうはこの後
仕事があるのだ
三階建のバスが
そろそろ新しい客を
乗せ始めるころだ
そういえば
四階に乗っていた人は
どうしたのだろう
乗る時も
降りる時も
顔を合わさなかった
ただ気配だけが
頭上で蠢いていた
捨てられたカバンにしまっておいた
人には見せられない大切なもののことが
気になり出していた
カバンと一緒に
砕かれ
燃え尽きただろうか
三階建バスは
確かに
私たちを降ろしただろうか
2011年11月24日木曜日
2011年11月23日水曜日
2011年11月22日火曜日
中国の自転車
ないんだ
僕の日本の
自転車はいま
日本に在るんだ
日本の自転車は
日本から乗ってこられなかったんだ
だから
日本の僕の
自転車は今ないんだ
中国の自転車はないんだ
日本に在るのは
乗ってこられなかった僕の
日本の自転車なんだ
自転車が歩く僕を
追い越していくけど
僕の
自転車ではないんだ
僕は道を歩いている
それは部屋に僕は帰りたいからだけど
知らないうちに遠回りをしてしまうんだ
自転車をさっきから僕は
思い出して
中国にないから
海を渡って乗ってくるのを想像して
僕はいるんだ
僕の自転車は
中国にはないから
日本に在る自転車は
日本においてきた
つかわれていない僕の
自転車なんだ
2011年11月21日月曜日
社長入門 -1-
例外はつき物だが
ここではそれを無視して
語り始めよう
*
社長は職業ではなく
性格である
だから目標でもなければ
結果でもない
社長の性格を持っているものが
社長になるだけだ
社長は一つの生き方だという人がいる
だが
一つの生き方として社長があるのであって
(社長でない者が)
いろいろな生き方の中から選択して
社長になるのではない
社長はハナから社長であり
社長以外の何者でもない
いってみれば
社長は純粋な生き物なのだ
社長は社長であることから逃れることができない
また社長でないものは
社長が形成する世界(宇宙もしくは小宇宙といつてもいい)の中心に
位置することは最後までできない
かなしいかな
そこに感情や夢や希望を差し挟む余地はない
さて
ここでは
世界に数多いる社長の中から
一人の社長を選択し
その社長に関してさまざまな事象を
検討してみたい
その社長は
社長族(ここでは、以下そう呼ぶことにする)の
中心に位置するわけではない
もっとも
すべての社長は多かれ少なかれ
多次元世界を形成しているので
その中心は求めることはできないが
文明社会(ことに自由主義経済社会)における
社長研究の初心者 乃至 一般市民にとっての
平準的な社長像を中心とするならば
異端 若しくは異境に在る ということができる
統計学を用いてさまざまな指標に照らしても
その主だったマークポイントはその事象を示している
なぜ
平準的な社長を取り上げないか については
追って示す(暗示も含む)こととするが
社長Σ(ここで取り上げる社長をそう呼ぶことにする)について
考察を進めていくと
そこに世界のあらゆる社長の謎を解く鍵ともいうべき
ある普遍的な事実に行き当たることに気づくだろう
すなわち
社長は職業ではなく性格であるという命題
そしてまたその周辺に
この命題を支えるべく
いくつかの柱が存在するということに
私感を述べれば
これは実に驚くべき風景である
今まで常識として扱われてきたものは
たちまち風化してしまうだろう
さあ
社長Σへの扉は開かれた
あなたは入る勇気が在るだろうか
社長族の世界に
私がご案内するとしよう
最後までお付き合いを願いたい
社長であるあなたも
社長でないあなたも
私は何を
2011年11月19日土曜日
バスが来るまで
話をしよう
バスがきたら
お別れ
走り出すバスを見送るのは
つらいことだ
もう二度と
約束して会うことはないから
つめたい蛍光灯の光に照らされた顔は
お化けのように青白い
いつか見た
ムンクの絵のようだ
そういえば
今日の月は欠けていて
青白い光を降らしている
涙を搔き出すにも
頼りない
何も話さないうちに
バスはやってきた
気がつくと
バスはもう何処かの駅に到着している
2011年11月18日金曜日
くすぐったいから
2011年11月17日木曜日
覚悟
わたしに入門するには
覚悟が必要だ
そもそも
その覚悟を
何処かに置いてきてしまっているらしい
母親のおなかの中か
それとも
泣きながら通い始めた
幼稚園の道具入れの中か
家のそばの原っぱか
もう
烏に運ばれて
何処かに捨てられてしまったかも知れない
私は
わたしに入門するための
心の準備をする前に
梯子をはずされたままなのだ
何かがたりない
それは
ただの言い訳だろうか
わたしへの道は険しい
わたしの門はまだ見えてこない
夜も白々と明けてきた
窓を開ければ
霧のにおいが漂っている
門を叩かなければならない
門を見つけて
覚悟を決めて
きょうこそ臨まなければならない
だか
まだそこにいたる道筋さえ
はっきりしていないのだ
2011年11月16日水曜日
わたし入門
わたしは
わたしに
入門したい
わたしとは
何なのか
わたしは
何のためにあるのか
いい わたしをみつけるには
どうしたらいいのか
わたしには
どのくらいのお金と時間がかかるのか
わたしを
上手く使いこなすにはどうしたらいいのか
人の役に立つ
わたしを作るには
どんな方法があるか
わたしを所持するために
届出や手続きをどこでやったらいいか
わたしは
早く
わたしに入門し
初級をクリアしなければならない
そして
はやく仕事に結び付けなければならない
もうすぐ誕生日が来る
それまでには
わたしは私の初級を取得し
中級の勉強を始めたい
もう何年も愚図愚図している
だれか
手伝ってくれる人はいないか
いい参考書を
教えてくれないか
夕闇の部屋で
わたしは考えながら鏡に向かっている
全身を映すことはできない
向きかえって
パソコンの電源を入れる
在り来たりな模様と文字が
浮かびあがる
私はわたしを検索してみよう
いくつかの情報が示されるはずだ
さあ
いまから勉強を始めよう
明日には
明日がやってくる日が
ある限り
いや
なにはなくとも
この私が望む限り