2012年5月24日木曜日

山月記

最近仲良くなった奴が
窓をノックしてガタガタ鳴らす
夜昼構わず
大きな音をたてて

付近に住んでいるカラスたちも
驚いている
うるさいのは自分たちの専売特許だったから

そいつは自ら突風になり
髪を振り乱し
思いついたように
窓を鳴らす
気まぐれな連中もかなわないだろう

奴が窓を鳴らす時
階下で女が泣いている
窓枠に昆布や海藻が絡まって
月が見えないというのだ

女は自分が泣いていることを
周囲に悟られたくないので
奴がガタガタやっている時に重ねて
大きな泣き声をあげるのだ
その喚く様子は地獄絵図だ

奴は黙認しているのか
私は誰の味方もしないが
仲良くなったよしみで
奴を許している

奴はいつまで窓をガタガタやっているのだろう
私は嫌になると
ドアから外に出て
商店街をほっつき歩いた

すれ違うひとの顔を確かめながら
私の未来の妻はいないかと

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