朽ちて美しくなろうとしている
深く身を沈め
永遠に近づこうとしている
陽ざしも 夜の冷気も
遠くから聞こえてくる音も
潮風の香りも
人が戯れる音も
食べ物の味も
どれも同じものであると
初めて気づいたのだ
だが
その気づきもまた
同じものの一つだ
気づかないものとも
同じなのだ
もう言葉は存在しない
すべての差異が埋められてゆく
このような安定は初めてだ
誰もここにはこない
近くにいるのに
なんと遠いことだろう
朽ちていくことは
生まれていくこと
ただ
その時間の流れを
計るモノサシは
この世に存在しない
波音は繰り返し
語りかけてくる
去ったものたちは
すべてに同化して
言葉で伝えるべき物語はない
2011年3月22日火曜日
2011年3月20日日曜日
被災した電車さん
津波にさらわれて
線路を外れ
原っぱに倒れている
あなたに
電気を送る電線はない
あなたを操った
運転手も車掌さんも
常連のお客さんの姿もない
あなたの中には
瓦礫と林の木
電線の切れ端と電柱の一部
屋根の瓦や襖の残骸
畑でてきかけた作物の茎と葉
本屋の看板
子供のオモチャ
それから海に帰り損ねたものたちが
入っている
おおらかなきみ
よろけんで受け入れ
彼らを救おうとしたのだろう
かつて きみは
颯爽と海辺の線路を駆け抜けてきた
もっと昔には
都会のビルの間や
新しく作られたトンネルを走ったこともあった
そんなきみが
いまは横たわり
動きだす気配すらない
こんなにゆっくり
星空を見上げたことがあっただろうか
きみは僕たちの問いに答えるように
小さな聞こえない声でこたえてくれる
クモハ
クハ
モハ ……
線路を外れ
原っぱに倒れている
あなたに
電気を送る電線はない
あなたを操った
運転手も車掌さんも
常連のお客さんの姿もない
あなたの中には
瓦礫と林の木
電線の切れ端と電柱の一部
屋根の瓦や襖の残骸
畑でてきかけた作物の茎と葉
本屋の看板
子供のオモチャ
それから海に帰り損ねたものたちが
入っている
おおらかなきみ
よろけんで受け入れ
彼らを救おうとしたのだろう
かつて きみは
颯爽と海辺の線路を駆け抜けてきた
もっと昔には
都会のビルの間や
新しく作られたトンネルを走ったこともあった
そんなきみが
いまは横たわり
動きだす気配すらない
こんなにゆっくり
星空を見上げたことがあっただろうか
きみは僕たちの問いに答えるように
小さな聞こえない声でこたえてくれる
クモハ
クハ
モハ ……
2011年3月19日土曜日
盛大な拍手
地上よりもう一つ上の階で
パーティーが始まったが
皆 心配顏
行き先を告げずにきてしまった
いろいろとやりっぱなしで
離れてしまった
会場がざわめく
モニターに地上の様子が映し出されるたび
すまないと思う
あの惨状の中に置き去りにしてしまって
周りを見渡すと
知らない人がおおぜいいるが
なぜか旧知の親友や家族のように思える
恋人もいるに違いない
戻ることはできない
ここから眺めるだけなのだが、
会いにゆくことより祈ることのほうが尊いと思える
そのほうが役に立つのだ
パーティー会場では舞台の上で
スピーチが始まる
司会者がうまくて感心だ
登壇者の話に
皆がスッキリとした笑顔を見せる
そしてみるみる
気持ちが軽くなってゆく
皆、ありがとう
という言葉が心から湧き上る
地上の空に朝焼けが現れ
海に浮かぶ島を照らし出す
サイレンとともに
車が消えてゆく
人々が集まって
対策を練り
壊れたものを直し
さらには作り直そうとしている
パーティー会場では拍手の渦がわく
拍手の音は届いただろうか
確かに盛大な拍手だったのだが
パーティーが始まったが
皆 心配顏
行き先を告げずにきてしまった
いろいろとやりっぱなしで
離れてしまった
会場がざわめく
モニターに地上の様子が映し出されるたび
すまないと思う
あの惨状の中に置き去りにしてしまって
周りを見渡すと
知らない人がおおぜいいるが
なぜか旧知の親友や家族のように思える
恋人もいるに違いない
戻ることはできない
ここから眺めるだけなのだが、
会いにゆくことより祈ることのほうが尊いと思える
そのほうが役に立つのだ
パーティー会場では舞台の上で
スピーチが始まる
司会者がうまくて感心だ
登壇者の話に
皆がスッキリとした笑顔を見せる
そしてみるみる
気持ちが軽くなってゆく
皆、ありがとう
という言葉が心から湧き上る
地上の空に朝焼けが現れ
海に浮かぶ島を照らし出す
サイレンとともに
車が消えてゆく
人々が集まって
対策を練り
壊れたものを直し
さらには作り直そうとしている
パーティー会場では拍手の渦がわく
拍手の音は届いただろうか
確かに盛大な拍手だったのだが
2011年3月18日金曜日
懐かしい場所へ
何故か懐かしい と 思ったので
そう通信した
ルートは波形(なみがた)をしている
それが最短距離なのだ
進むために燃料は要らない
いってみれば
そう希うことで進むことができる
光の速さを殊更に意識しなくてもいい
光は違う種類の人間だ
いくつもの集落が
粒状の
光の小山として見える
そう通信した
山はいくつもある
音はほとんどしない
音を出さないのは
神様の声を聞くためだと思われる
かれらはそれぞれに
崇高に生きようとしているのだ
わたしは汚れたものだな
これは通信しなかった
明るい天体の向こうに回りこむと
小さな天体は光に邪魔されて見えなくなった
しかしそこには
あたたかい島があった
島には波が打ち寄せ
人々が穏やかに暮らしているようだ
波間から水にもぐると
水の粒が光に向かって昇っていった
青い空が水の底にもあった
鮮やかな色とりどりの貝やサンゴが星のように光っている
そう通信した
ルートは波形(なみがた)をしている
それが最短距離なのだ
進むために燃料は要らない
いってみれば
そう希うことで進むことができる
光の速さを殊更に意識しなくてもいい
光は違う種類の人間だ
いくつもの集落が
粒状の
光の小山として見える
そう通信した
山はいくつもある
音はほとんどしない
音を出さないのは
神様の声を聞くためだと思われる
かれらはそれぞれに
崇高に生きようとしているのだ
わたしは汚れたものだな
これは通信しなかった
明るい天体の向こうに回りこむと
小さな天体は光に邪魔されて見えなくなった
しかしそこには
あたたかい島があった
島には波が打ち寄せ
人々が穏やかに暮らしているようだ
波間から水にもぐると
水の粒が光に向かって昇っていった
青い空が水の底にもあった
鮮やかな色とりどりの貝やサンゴが星のように光っている
2011年3月17日木曜日
命は 失われていない
私は大きなものを失った
私は大きなものを失った
私は大きなものを失ったけれど
それは
自分の命ではない
あのひと
でも、ない
あのひとの
命、でもない
私は大きなものを失った
私は大きなものを失った
私は大きなものを失ったけれど
それは
失っても
仕方のないものばかり
あのひとは
大きなものを失った
あのひとは
大きなものを失った
あのひとは
大きなものを失ったけれど
それは
命、ではない
数えられない命が
去っていった
数えられない命が
去っていった
数えられない命が
去っていったけれど
それはあのひとから
失われた訳ではない
私は大きなものを失った
私は大きなものを失った
私は大きなものを失ったけれど
それは
失われても
仕方のないものばかり
あのひとは
あのひとたちは
大きなものを失った
あのひとたちは
大きなものを失った
あのひとたちは
大きなものを失ったけれど
それは
命ではない
命は
去っていっただけ
命は
失われていない
失ったものは
仕方のない
ものばかり
失ったものは
仕方がない
ものばかり
命は
失われていない
去っていっただけ
命は失われていない
どこかに
去っていっただけ
去っていっただけ
どこかに
私は大きなものを失った
私は大きなものを失ったけれど
それは
自分の命ではない
あのひと
でも、ない
あのひとの
命、でもない
私は大きなものを失った
私は大きなものを失った
私は大きなものを失ったけれど
それは
失っても
仕方のないものばかり
あのひとは
大きなものを失った
あのひとは
大きなものを失った
あのひとは
大きなものを失ったけれど
それは
命、ではない
数えられない命が
去っていった
数えられない命が
去っていった
数えられない命が
去っていったけれど
それはあのひとから
失われた訳ではない
私は大きなものを失った
私は大きなものを失った
私は大きなものを失ったけれど
それは
失われても
仕方のないものばかり
あのひとは
あのひとたちは
大きなものを失った
あのひとたちは
大きなものを失った
あのひとたちは
大きなものを失ったけれど
それは
命ではない
命は
去っていっただけ
命は
失われていない
失ったものは
仕方のない
ものばかり
失ったものは
仕方がない
ものばかり
命は
失われていない
去っていっただけ
命は失われていない
どこかに
去っていっただけ
去っていっただけ
どこかに
だれ
だれかいませんか
声が空気をノックする
だれかいませんか
ぼくは
なんども
目を覚ます
だれか
いませんか
その声を
聞き逃すまい
その声の主を
やり過ごすまい
空き地の横の
砂利道を
一緒に歩いた
きのう
きょうは
その
あした
きのうは
きょうの
きのう
おとといの
あした
小学生の
名札
名前
書いてある
滲んでいる
書いた名前
名前
海
風
涙を
飛ばした
海の風
つめたい
まぶしい
日差し
砂
砂
なにが
できますか
なにか
できますか
なにが
月
やがて
積もる
雪
きれいな
結晶
綿
雪
星
かたち
まっすぐ
でも
ゆらめく
あの日
雪
雪の
夜
声
サカナ
きこえる
さあ
声が空気をノックする
だれかいませんか
ぼくは
なんども
目を覚ます
だれか
いませんか
その声を
聞き逃すまい
その声の主を
やり過ごすまい
空き地の横の
砂利道を
一緒に歩いた
きのう
きょうは
その
あした
きのうは
きょうの
きのう
おとといの
あした
小学生の
名札
名前
書いてある
滲んでいる
書いた名前
名前
海
風
涙を
飛ばした
海の風
つめたい
まぶしい
日差し
砂
砂
なにが
できますか
なにか
できますか
なにが
月
やがて
積もる
雪
きれいな
結晶
綿
雪
星
かたち
まっすぐ
でも
ゆらめく
あの日
雪
雪の
夜
声
サカナ
きこえる
さあ
2011年3月16日水曜日
純愛プロジェクト
純愛でいこう
愛って尊いもの
傷ついてもすぐ治る
相手を信じる強さが大事
自分を信じることは
もっとむずかしいけど
逃げてる場合じゃないんじゃない
結論をだそう
すぐ決めよう
迷いを蹴っ飛ばせ
空に高くジャンプしよう
疲れはてて乗り込む終電
焦燥が襲う帰り道
忘れ物のような日々に
問いかけなくてもいい
無用な心配はもうしないで
することは何
いますぐいこう
迷わずに行こう
直感を信じて
全力で進もう
キミと二人の
新しい日々
夢の情熱を持って
進んでいく
愛って尊いもの
傷ついてもすぐ治る
相手を信じる強さが大事
自分を信じることは
もっとむずかしいけど
逃げてる場合じゃないんじゃない
結論をだそう
すぐ決めよう
迷いを蹴っ飛ばせ
空に高くジャンプしよう
疲れはてて乗り込む終電
焦燥が襲う帰り道
忘れ物のような日々に
問いかけなくてもいい
無用な心配はもうしないで
することは何
いますぐいこう
迷わずに行こう
直感を信じて
全力で進もう
キミと二人の
新しい日々
夢の情熱を持って
進んでいく
あやふやさん
1
あやふや 宙ぶらりん
ゆらゆら 揺れるので
そわそわ
気持ちが悪い
わたしを
いいかげんに投げ上げて
キャッチボールしないで!
空は好きだけど
落ちる感覚は嫌いなんだから
おっ、キャットがスキャットしてるわ
あんなところで
デベソなのね
ルビーの指輪
失くなったって
言っていたでしょ
芝生で
ゴロゴロしてたら
見つけたよ
しょんぼりしないで
「いつかきっといいことがある」
って何度言わせたら気が済むの(怒!)
アホ!
怒った?
あした起こしてくれる?
結婚するの?
んなはずないか
ペンギン観に行かない?
クラッカー投げよう
食べるかな
きみじゃあるまいし
豊島園にいるかな?
夜何時までだっけ
夢佳にきいてみる
あっ 夢佳はしならいな
メールするね
どんとこい
日曜日
関係ないけど
2
ぼくはやくにたちますか
いるだけじゃまですか
つかってください
すててもいいので
すてられて
はじめていきる
よそじかな
3
顕微鏡で見ちゃイヤ!
4
温泉行く?
5
苦労した?
6
ハリウッド仕込み?
7
飽きた?
8
そちのほうがいい。
いまのほうがいい。
あやふや 宙ぶらりん
ゆらゆら 揺れるので
そわそわ
気持ちが悪い
わたしを
いいかげんに投げ上げて
キャッチボールしないで!
空は好きだけど
落ちる感覚は嫌いなんだから
おっ、キャットがスキャットしてるわ
あんなところで
デベソなのね
ルビーの指輪
失くなったって
言っていたでしょ
芝生で
ゴロゴロしてたら
見つけたよ
しょんぼりしないで
「いつかきっといいことがある」
って何度言わせたら気が済むの(怒!)
アホ!
怒った?
あした起こしてくれる?
結婚するの?
んなはずないか
ペンギン観に行かない?
クラッカー投げよう
食べるかな
きみじゃあるまいし
豊島園にいるかな?
夜何時までだっけ
夢佳にきいてみる
あっ 夢佳はしならいな
メールするね
どんとこい
日曜日
関係ないけど
2
ぼくはやくにたちますか
いるだけじゃまですか
つかってください
すててもいいので
すてられて
はじめていきる
よそじかな
3
顕微鏡で見ちゃイヤ!
4
温泉行く?
5
苦労した?
6
ハリウッド仕込み?
7
飽きた?
8
そちのほうがいい。
いまのほうがいい。
2011年3月15日火曜日
あした出掛ける
線路のところまできた
彼方で曲線を描いて消えていく
耳の奥に かたっ かたっ …
響いている音
夕日が列車のように反映してやってくる
車内アナウンスの声に
女子高生たちが話しながら笑っている声が重なる
列車はいってしまったけれど
またいつか戻ってくる
わたしがここにいるから
あなたに逢うためになら
わたしは待っていよう
いや
あした
出掛けていこう
書きかけの手紙はそのままにして
彼方で曲線を描いて消えていく
耳の奥に かたっ かたっ …
響いている音
夕日が列車のように反映してやってくる
車内アナウンスの声に
女子高生たちが話しながら笑っている声が重なる
列車はいってしまったけれど
またいつか戻ってくる
わたしがここにいるから
あなたに逢うためになら
わたしは待っていよう
いや
あした
出掛けていこう
書きかけの手紙はそのままにして
2011年3月14日月曜日
あの部屋
あの部屋のドアを開けて
何度出ていっただろう
何度帰っていっただろう
数えきれないほどの思い出があった
辛いときには涙も流した
夢を一杯抱えて出ていったこともあった
帰っていったこともあった
楽しいこと
憂鬱なこと
嬉しい思い
儚い気持ち
様々な思いが巡った
窓を開けて見あげた星
明け方に鳴きやむ秋の虫
雪景色を見渡した夜
頬に火照りを感じながら
愛する人のことを思った
皆 あの部屋の中のことだ
皆 あの部屋の天井が
見守っていてくれた
わたしは別の部屋に移り住み
あの部屋は
今はどこよりも遠く
いくことはできなない
だが思い出すことはできる
心に思い浮かべて入っていくことはできる
部屋の明かりを暗くして
わたしは何を思おうか
どんな未来を描こうか
部屋に尋ねてみたい
部屋のドアを開けて
部屋に入り
また部屋を出てゆくまでの
わずかなあいだに
何度出ていっただろう
何度帰っていっただろう
数えきれないほどの思い出があった
辛いときには涙も流した
夢を一杯抱えて出ていったこともあった
帰っていったこともあった
楽しいこと
憂鬱なこと
嬉しい思い
儚い気持ち
様々な思いが巡った
窓を開けて見あげた星
明け方に鳴きやむ秋の虫
雪景色を見渡した夜
頬に火照りを感じながら
愛する人のことを思った
皆 あの部屋の中のことだ
皆 あの部屋の天井が
見守っていてくれた
わたしは別の部屋に移り住み
あの部屋は
今はどこよりも遠く
いくことはできなない
だが思い出すことはできる
心に思い浮かべて入っていくことはできる
部屋の明かりを暗くして
わたしは何を思おうか
どんな未来を描こうか
部屋に尋ねてみたい
部屋のドアを開けて
部屋に入り
また部屋を出てゆくまでの
わずかなあいだに
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