会ったことはないが
デュラスの声なら聴いたことがある
波打ち際に立ち
心を躍らせることも
感傷に浸ることもせず
波や
遠くを往き来するさまざまな舟や 飛び交う鳥を
見るともなく見ている
昼間の月が空に
特別扱いで
太陽の光を反射して
舟のように浮かんでいる
初秋の海
私は
特別扱いしてもらえるだろうか
人には様々な生き方があるが
いつもそのことを忘れてしまう
砂浜から滑やかな膚をもつ小石を拾い
指の腹で撫でてみる
波は
微動だにせず
打ち寄せてくる
靴を濡らして
私の中まで濡らして