2010年10月19日火曜日

おっとこれは泥のついた一万円札か!

おっとこれは泥のついた一万円札か!
この封筒の金はつかわずにおこう
おっとこれも泥のついた一万円札か!
この祝儀袋の三万円もつかわずにおこう
おっとこれも泥のついた一万円札か!
この通帳の10万円はつかわずにおこう
おっとこれも泥のついた一万円札か!
このお守りは大事にとっておこう
おっとこれも泥のついた一万円札か!
この掛け軸も大事にとっておこう
おっとこれも泥のついた一万円札か!
この本も大事にとっておこう
おっとこれも泥のついた一万円札か!
このグリーティングカードも大事にとっておこう
おっとこれも泥のついた一万円札か!
この写真も大事にとっておこう
おっとこれも泥のついた一万円札か!
そうおもってこれも大事にしておこう
おっとこれは泥のついた一万円札か!
いいやこれは泥のついていない一万円札だ
(あってよかった。)

2010年10月18日月曜日

塀の向こう

ぴにょーん ぴにょーん
おまちかね
またまたやってまいりました
ぴにょーん

トランポリンは良い道具です
塀の向こうがよく見える

新しい塀 古い塀
垣根も 白壁も 砂壁も
勢いつけて ひとっ跳びです
ぴにょーん

自分の体の重さだけを使って
気になるあのひとの 塀の向こう
プライバシーだって
勝手気ままにのぞき見します

それはダメダメ
イケないこと
なんて言わないで

深いわけがあるのですから
それは人を助けるためなのですから

ぴにょーん と跳ぶと
塀の向こう 芝生が見える
家が見える
中では君が倒れている

わたしは
ぴにょーん
それを発見して
救急車を呼ぶ
病院に連れて行く

ピーポー ピーポー
ピニョン ピニョン
ピーポー ピーポー
おまちかね
またまたやってまいります
お邪魔でしょうか
塀をこえたら
よくないですか

2010年10月17日日曜日

無関係な自分

睡眠障害になりたくなかったので
気にしないことにした
朝と夜がどう過ぎようと
眠気や気だるさがいつ襲って来ようと
僕とは無関係
ということにした

毎日同じ夢も見るし
さまざまなバリエーションの怖い夢も見るので
それに
起きていても厄介な妄想や気分の抑揚が激しいので
僕は無関係
ということにした

僕のことは僕には無関係
僕は日記にそう記し
関係ない僕に時々日記を書かせた

詩を担当している僕は
僕を現実の社会に連れ出そうとする
しかし無関係な僕はそれを夢の中のこととして始末しようとする
僕は怒り僕を問いただす
しかし僕は答えず
反対に質問をしてくるありさま
僕は途方に暮れてあきらめる

僕は何を思い何をしようとしているのか
僕はだれに頼まれて僕を運営しているのか

そうして
疑問は置き去りにして
時間が流れたり逆流したりして転がっていく

時計が転がっているのではなく
中身の針やら数字やらがまわっているだけなのだ
きっとそうなのだ

推敲しながら

このブログは公開されている日記のようなものです。毎日書いた詩は、しばらくすると読み返して推敲します。なかなか思うようにいかないものも少なくありません。
黒糖ジンジャーソーダ

2010年10月16日土曜日

三姉妹

一番上のお姉さんが一番美人
二番目のお姉さんが一番かわいい
三番目のわたしは個性的でチャーミング

一番上のお姉さんはしっとりした名前
二番目のお姉さんは弾けそうな名前
三番目のわたしは個性的な名前

一番上のお姉さんは英語が上手
二番目のお姉さんは料理が上手
三番目のわたしは踊りが上手

一番上のお姉さんはほっそりしてる
二番目のお姉さんはぽっちゃりしてる
三番目のわたしはふつうの体系

一番上のお姉さんはハードな生き方
二番目のお姉さんは平凡生き方
三番目のわたしは思いつきで生きる

一番上のお姉さんは結婚に失敗
二番目のお姉さんはもうすぐ結婚
三番目のわたしはもうすぐ出産

一番上のお姉さんは夢を追う
二番目のお姉さんは現実を追う
三番目のわたしは夢見て生きる

一番上のお姉さんは二番目をかばう
二番目のお姉さんは三番目をかばう
三番目のわたしは一番上をかばう

一番上のお姉さんは6歳年上
二番目のお姉さんは4歳年上
三番目のわたしはいつも年下

一番上のお姉さんが夕日を見てる
二番目のお姉さんは日向ぼっこ
三番目のわたしは月食に祈る

「みんな しあわせ
 いつまでも
 みんな 
 別々
 いつまでも」

2010年10月15日金曜日

いつも聴こえていた

耳を澄ますと何が聴こえる?

雑多な日常の音たちの向こうに
いつも聴こえているその音
きっと
巡り合えるだろう

音は鳴って
語りかけている
音は
耳を傾ける者のためにある

しかし
音は
操作することはできない

音は 
救命ロープみたいだ

底なしの闇に落ちても
いつの間にか地上にいるのは
そのせいだ

今夜

耳を傾けてみないか
息を 殺して
しじまのような呼吸に

音は
近づいてくるか
遠ざかっているのか
確かめて

2010年10月14日木曜日

燃えよ! キャンプファイヤー

燃えろよ 燃えろ 炎よ燃えろ
と 歌いながら
炎と 皆の顔と 星の出た空とを
かわるがわる見て
何かに酔いしれていく

嫌いな子も 嫌な先生も
今は 一緒でいい
不揃いな歌声も
かえって 素晴らしいと思ってしまう

僕たちに たしかに過去はあったけれど
嫌な過去は この炎にくべて
今を照らせれば役に立つ
そのままもっていても役には立たないから

炎を囲んで 皆で歌い踊る
太古の精霊も混じっているけれど
ほとんどの人は気づかない
でも気配は感じているはず

おしゃべりには魔法がかけられ
明日の朝にはほとんど消えてしまう
ただ大事な約束は10年後に思い出すらしい
嫉妬や皮肉は消えにくいから残りかすが出るらしい

炎は太陽より強く 心に何かを焼き付ける
影絵のような気持ち 
メルヘンのような不思議な夢
記憶のしおりのような
炎がつくったページになる

やがて 
炎は消され
友だちは 皆 帰っていく
もう ここに集まることは二度とない
ただ 思い出すことはできる
その時
ここで君は 何を考える?

僕は 君のことを考える
この僕の思いを
いまでも 燃やすことができるか考える
そして
精神を集中してみるのさ

2010年10月13日水曜日

僕ら

敵はいない
いるのは味方だけ
君が正しく生きて行けば

外にでよう
おそれることはない
きみが自分を信じていれば

呼びかけよう
とても大事なことを
何回でもあきらめずに いつも

語り合おう
僕ら 向かい合って
夜明けが夜を押しやるまで

2010年10月12日火曜日

煮え切らない思い

煮え切らない思いをかかえたまま
旅に出る
思いは煮詰まってゆき
やがて新しい思いが現れる
しかしすぐに それは煮え切らない思いに変わる

煮え切らない思いをかかえたまま
部屋へ帰る
思いは煮詰まってゆき
やがて新しい思いが現れる
しかしすぐに それは煮え切らない思いに変わる

煮え切らない思いをかかえたまま
旅に出る
思いは煮詰まってゆき
やがて新しい思いが現れる
しかしすぐに それは煮え切らない思いに変わる

2010年10月11日月曜日

sign

そのひとのことを思うとき
目の前は涙で滲み
辺りは水の香りで一杯になる

じっさいに泣いているわけではない
涙の思い出があるわけでもないはずだ

しかし
そのひとのことを思うとき
その笑顔はさびしさに輝き
笑い声は風鈴の音のように止むことがない

手をつないで遠出をして
初めて眺めた夕暮れの景色
旅先の部屋で勢いよくボタンをはずす指
夜の迷路ををさまよいながら
目をつぶって遠くの音を聴いた

鏡の前に立ち
ツーショットの具合を確かめると
また向きあった胸と胸
そこに激しい嵐の予兆が打ちよせたのだ

朝はあっけなくやってきて
地平線が煙り
すぐに二人は互いを見失った
探すこともままならない

それからどう季節が流れたのか
思い出せず
目を上げるとそこには部屋の白い壁があり
一通の手紙が届いた
カレンダーを見ると
20年の年月が過ぎていた

そのひとは
いま
新しい土地に出発しようとしているという

ぼくは 小さくサインを出してみる
2人へのサイン
何のサインかは自分にも読み解けない