雪の日に
女のひとに手を引かれて
田舎道を
チョコレートを買いにいった
古い木枠の硝子の引き戸をあけて
店の中に入った
ストーブの灯が燃えている
薄暗い店内の平台に
赤い包みのチョコレートを見つけた
その包みの中に薄い銀紙に包まれた
チョコレートが入っていて分け合って
指をなめなめ食べるのだ
そして雪の降る薄暗い道を
女のひとと一緒に
帰っていった
あの女のひとは
母だったのだろうか
あの田舎道は
いまもあるのだろうか
ドラッグストアの店頭で
安売りされているチョコレートに訊いてみたが
もちろん答えてくれない
母に訊いてみようか
いや
訊かない方がいいだろう
甘い謎は
そのまま取っておいたほうがいいに決まっているから
2014年1月28日火曜日
2014年1月27日月曜日
小さなとりが
ぼくはだまっているのに
小さなとりが
ずっとなにかをはなしている
ぼくは心のなかで
ひとりごとをいっている・・・ことに
いま気がついた
だまってぼくはひとりごとをいっているのに
小さなとりは
声をだしてはなしている
ぼくは小さな声をだして
いってみた
ーーだれにはなしてるの?
なにをはなしてるの?
小さなとりはぼくを見て
くびをかしげた
でもまた
そっぼをむいて
なにかをはなしはじめた
ぼくはまつげをパタパタさせた
小さなとりはいきおいよく
空へと とびたった
小さなとりが
ずっとなにかをはなしている
ぼくは心のなかで
ひとりごとをいっている・・・ことに
いま気がついた
だまってぼくはひとりごとをいっているのに
小さなとりは
声をだしてはなしている
ぼくは小さな声をだして
いってみた
ーーだれにはなしてるの?
なにをはなしてるの?
小さなとりはぼくを見て
くびをかしげた
でもまた
そっぼをむいて
なにかをはなしはじめた
ぼくはまつげをパタパタさせた
小さなとりはいきおいよく
空へと とびたった
2014年1月26日日曜日
ぼくの せんそう
せんそうがやってきた
うかれたひとはいなくなった
まちじゅうに
なんみんがあふれた
しんだひとは
だれかがつちにうめる
おおきなふろおけが
といれのかわり
こうみんかんは
なんみんのすみか
ぐんたいは
がいこくにでかけて
まもってくれないから
てきがやってくれば
ていこうせず
ころされるかもしれない
やきゅうじょうのフェンスのうらに
ひとがたむろしているのは
せめてくるものから
かくれたいからだ
まだ
そらからばくだんはふってきていない
ラジオもテレビもほうそうをやめたので
がいこくのほうそうを
きくしかない
よるはでんとうがともらないせいで
ほしがきれいだ
エアコンもとまっている
いろんなにおいがまざっている
ちょうへいされたひとも
いるという
ぼくはふつかのあいだ
なにもたべてない
もうそのことさえわすれそうだ
こっかはなくなってしまったようだ
みんなしょくばほうきして にげたのだ
ひとびとは
ただいきのびるだけのじょうたいとなっている
しをかいたり
うたをうたをうたっているひともいない
あんなに はやっていたスマホさえ
もうするひとを どこにもみることができない
ふろおけに
ちんぽをむけて
ちからをこめると
なんと おしっこは
いきおいよく
むこうのふちあたってしぶきをあげた
そういえば
ふつかぶりの
しょんべんだった
うかれたひとはいなくなった
まちじゅうに
なんみんがあふれた
しんだひとは
だれかがつちにうめる
といれのかわり
こうみんかんは
なんみんのすみか
がいこくにでかけて
まもってくれないから
てきがやってくれば
ていこうせず
ころされるかもしれない
ひとがたむろしているのは
せめてくるものから
かくれたいからだ
そらからばくだんはふってきていない
ラジオもテレビもほうそうをやめたので
がいこくのほうそうを
きくしかない
ほしがきれいだ
いろんなにおいがまざっている
ちょうへいされたひとも
いるという
なにもたべてない
もうそのことさえわすれそうだ
みんなしょくばほうきして にげたのだ
ひとびとは
ただいきのびるだけのじょうたいとなっている
しをかいたり
うたをうたをうたっているひともいない
あんなに はやっていたスマホさえ
もうするひとを どこにもみることができない
ちんぽをむけて
ちからをこめると
なんと おしっこは
いきおいよく
むこうのふちあたってしぶきをあげた
ふつかぶりの
しょんべんだった
2014年1月25日土曜日
なまえ
ぼくはきょうからぼくでなくなる
だから
ぼくの おなまえさん
さらばだ さようなら!
おなまえさん
おもえばいつも
きみを やおもてにたててきた
いつからか
ぼくはきみのかげにかくれて
そのぶんへいおんに
すごしてきた
だがきみは
もんくひとついわず
ぼくをまもってくれた
きずついて あざだらけになり
ふくはやぶけ
くつも かたほうしかのこっていないのに
そこでぼくは けついして
きみをへやのなかにいれ やすませることにした
もういんきょしてもいい
というきもちだ
とはいっても
ネットはつながるし
メールやFaceTimeだってできるから
きみにふじゆうはないだろう
おなまえさん
どうかゆっくり ほねやすめして
ぼくをみまもっていてほしい
こんどは ぼくじしんが
やおもてにたって
じぶんじしんで
せいぎのために たたかうから
せいぎはかっこいいもんんじゃない って
だれかいってたな
かっこわるいのは
ぼくのもちあじだ
そして
ぼくはしぬとき
いちばんきれいな
ほしをおもおう
とほうもなくとおくにあるそのほしは
なまえもないが
うちゅうのどこかでかぼそくひかっている
だれかにみられているか なんてことは
もちろん きにせずに
いまぼくにはみえていない
その ほし
きみにも
みえないかもしれない
なまえのない ほし
だから
ぼくの おなまえさん
さらばだ さようなら!
おもえばいつも
きみを やおもてにたててきた
いつからか
ぼくはきみのかげにかくれて
そのぶんへいおんに
すごしてきた
もんくひとついわず
ぼくをまもってくれた
ふくはやぶけ
くつも かたほうしかのこっていないのに
きみをへやのなかにいれ やすませることにした
もういんきょしてもいい
というきもちだ
ネットはつながるし
メールやFaceTimeだってできるから
きみにふじゆうはないだろう
どうかゆっくり ほねやすめして
ぼくをみまもっていてほしい
やおもてにたって
じぶんじしんで
せいぎのために たたかうから
だれかいってたな
ぼくのもちあじだ
そして
ぼくはしぬとき
いちばんきれいな
ほしをおもおう
とほうもなくとおくにあるそのほしは
なまえもないが
うちゅうのどこかでかぼそくひかっている
だれかにみられているか なんてことは
もちろん きにせずに
その ほし
きみにも
みえないかもしれない
なまえのない ほし
2014年1月24日金曜日
まいにち ちがう
おもしろいこと あったなら
ひとにいわずに だまっとこう
しかし いいたく なるもんだ
それがにんじょう しかたない
おもしろいこと たのしんで
がまんできずに はなしちゃう
おとなはそれを やめろって
えらそうに すぐ めいれいだ
おもしろいこと やめたあと
わらいをこらえて ねむったら
きみょうな ゆめを みてしまい
おきたらぜんぶ わすれてた
おもしろいこと なんだっけ
おもいだそうと してる あさ
おもしろいこと やってきた
おならもしちゃった だまっとこう
ひとにいわずに だまっとこう
しかし いいたく なるもんだ
それがにんじょう しかたない
がまんできずに はなしちゃう
おとなはそれを やめろって
えらそうに すぐ めいれいだ
わらいをこらえて ねむったら
きみょうな ゆめを みてしまい
おきたらぜんぶ わすれてた
おもいだそうと してる あさ
おもしろいこと やってきた
おならもしちゃった だまっとこう
2014年1月23日木曜日
2014年1月22日水曜日
2014年1月21日火曜日
詩人のコトバ
下の方で火がチロチロと燃えて
煤(すす)の匂いが立ち込めている
あの大火がまだ続いているのだ ✴︎
消し止められたものだと思っていた
もう忘れ去られたのだと高を括っていた
だがあの人の哀しい願いごとのように
その火は
いつまでも消え去ることはなかった
あの人は白黒写真のなかで笑っている
時代が繊細な色模様に彩られ
ノイズさえ音楽になったとき
あの人の叫び声は
人々が気づかぬ時に蒼空の彼方から
空に吊るされた高い高いブランコのように
やってきてはまた彼方目指して消えていった
それでも
時代の漆喰の壁に打ち付けられた〈?〉の形のねじ釘は
夕日にただあやしく光って
コトバでないものを語りかけてくる
その問いに私は頷いて
やはり
答えのコトバをもつことはなかった
——吉野弘さんを追悼して
✴︎酒田大火(さかた たいか)。1976年(昭和51年)10月29日に、吉野弘さんの郷里である山形県酒田市で発生した。
煤(すす)の匂いが立ち込めている
あの大火がまだ続いているのだ ✴︎
消し止められたものだと思っていた
もう忘れ去られたのだと高を括っていた
だがあの人の哀しい願いごとのように
その火は
いつまでも消え去ることはなかった
あの人は白黒写真のなかで笑っている
時代が繊細な色模様に彩られ
ノイズさえ音楽になったとき
あの人の叫び声は
人々が気づかぬ時に蒼空の彼方から
空に吊るされた高い高いブランコのように
やってきてはまた彼方目指して消えていった
それでも
時代の漆喰の壁に打ち付けられた〈?〉の形のねじ釘は
夕日にただあやしく光って
コトバでないものを語りかけてくる
その問いに私は頷いて
やはり
答えのコトバをもつことはなかった
——吉野弘さんを追悼して
✴︎酒田大火(さかた たいか)。1976年(昭和51年)10月29日に、吉野弘さんの郷里である山形県酒田市で発生した。
2014年1月20日月曜日
満月の次は?
君が向かう方向に
未来とやらが待ち構えているのか
待ち構えているものだから
すでに過去だといま君が言った
済んだことは全て過去にながれさるのか
いま思い出した過去は未来のビジョンだが
明日考える今日と3年後に考える昨日は
いまの私からどちらが近いのか
アラームのスイッチをいれ
予定を確認して
夢を見に螺旋階段を満月の方向へ上ってゆく
2014年1月19日日曜日
冷たい風にのせて
冷たい風にのせて
石の声を伝えよう
水の声でささやこう
冬の日差しを浴びながら
土の香りを懐かしもう
木々の戯れを見守ろう
私はこの地が好きだ
あなたと同じくらい
鉄瓶で湯を沸かそう
ナイフで鉛筆を削ろう
生きた証などなにも必要ない
ただ
いまを精一杯生きて
あなたを抱きしめよう
石の声を伝えよう
水の声でささやこう
冬の日差しを浴びながら
土の香りを懐かしもう
木々の戯れを見守ろう
私はこの地が好きだ
あなたと同じくらい
鉄瓶で湯を沸かそう
ナイフで鉛筆を削ろう
生きた証などなにも必要ない
ただ
いまを精一杯生きて
あなたを抱きしめよう
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