庭の木々が私を見ていた
あの時は気づかなかった
五月に花びらを落としたモクレンが
そのことを忘れようとして
私に視線を投げかけてきた
あの時は分からなかった
私には何もしてあげられない
木々の上の空から
雲が私を見て
待ちきれないという様子で
去って行った
だが本当は
私の方が待ちきれなかった
私はすぐに意味もなく立ち上がり
身支度を始めたから
あの時は知らなかった
私がいないところで起こっていたこと
それを知らせようと
周りのものたちが働きかけてくれていたこと
私は何も知らなかった
いまも屋根の上に雨が降り注ぎ
テーブルの上のコーヒーカップが微かに湯気をたてている
いま私が何を知るべきなのか
指先から文字は生まれ続けるが
私は何も気づかなかった
私は何も気づけなかった
2013年10月24日木曜日
2013年10月23日水曜日
永遠の住処
夢の中でしか行くことができない場所を見つけた
水辺にちょうどいい窪みだってある
持っていないものは何でも借りられる
ここにいれば誰もがやさしくしてくれる
バカにしてののしってくる者もいない
鼻につく見栄っ張りも見ることがない
それできみは
ここにいることにした
どこへも帰ってゆく理由はない
枯れた草花を焚いているので悪い虫もよってこない
生々しい問題はなにもないここは
永遠のきみの住処
疑わなければ消え去ることがない
きみがひとりでいるところ
2013年10月22日火曜日
ヤマトタケル
ヤマトタケル
ヤマトタケル
これは呪文です
ヤマトタケル
ヤマトタケル
ヤマトタケル
に遭遇したことはありませんその憶えはありません
ヤマトヤマトヤマトタケル
ヤマトタケル
いまは悶々として苦しくても電話するのは流行りません
重たい話題は禁止です
ヤマトヤマトヤマトタケルヤマトタケルヤマト
スピリチュアルな話題に変換して
せめて少しだけでも話します挨拶代わりに
ヤマトタケルヤマトタケル
それでも彼女は友だちに次々と電話していきます
切られても嫌われてもその方が楽だと気づきましたから
クラウドにはいい写真が増えました魅力的な自分の写真も
時間は味方してくれます世間よりはやさしい
しかし神様の味方をしようとしても神様は暗闇に隠れてばかり
ヤマトタケルヤマトタケルヤマトヤマトヤマトタケルタケルヤマト
それだからふて腐れて加速度を付けて毎日夢の中に落ちていきます
だれも文句を言うことはできません好きにできます
夢の中から戻るときに戦争ゲームのように現実と勝負します
絵札をたんまり仕込んできているのでまず現実に負けることはありません
ヤマトタケルヤマトタケル
ヤマトタケルヤマトタケルヤマトヤマトヤマトタケルタケルヤマトヤマトタケル
何回でも何遍でも繰り返しますその間は老けません
ヤマトタケル
さて要らないものは喜ぶ知人に送りつけましょう
役立たずの冠をかぶった醜いハリボテくんは火にくべてお祈りしましょう
ヤマトタケルヤマトタケルねえそれでいいんだよね
2013年10月21日月曜日
アタマとココロ
となりどうしのアタマとココロ
うまくやってはくれまいか
うまくやってはくれまいか
だましあうのはやめにして
いやみいうのはあとにして
いやみいうのはあとにして
うまくやってはくれまいか
となりどうしのアタマとココロ
どちらがえらいこともない
きずつけあうのはなんせんす
たまにけんかもいいけれど
うまくやってはくれまいか
おねがいだから
おふたりさん
となりどうしのアタマとココロ
どちらがえらいこともない
きずつけあうのはなんせんす
たまにけんかもいいけれど
うまくやってはくれまいか
おねがいだから
おふたりさん
2013年10月20日日曜日
雨の日の電車
ニューヨークのミュージアムショップで買った傘をさして歩いている。家から駅へ向かう道。傘を買ったのは十年以上も前の夏。今は秋。
ホイットニーミュージアムのロゴがデザインされた傘。私はその傘の中に収まって、足を前へと振り出している。きょうは、中国人の友だちが誘ってくれた京劇を観に飯田橋までいくのだ。
雨は歩道に川を作っている。喉が渇いたのでセブンイレブンで緑茶のペットボトルを買ってナナコで支払った。すでに靴に水が浸みて靴下が濡れている。雨の日に履くのは初めての靴だった。
電車に乗ると皆、傘を持て余し気味に持っていた。
電車もまた、車内を傘の滴で濡らしながら、濡れながら走っていた。
2013年10月19日土曜日
こわがることもわすれて
すきなことをすれば
あっというまに
いやなことはすぎる
おもいだしたくないことは
ちいさくちいさくちぎって
たきびのなかになげいれちゃう
なにがもえたのかさえ
きっとわからなくなる
ぱぱままは
おもいでのたからばこがもう
いっぱいだけど
これからなにをいれようか
かんがえるのはたのしい
つらいひびは
てをつないできて
なかなかはなしてはくれないけど
いつかじぶんからてをはなせばいい
しあわせになっても
ばちはあたらない
ひとりじめしなければ
このよは
みんなのすみか
すきなことをやって
すきなひとをみつけて
すきなばしょにいればしあわせ
ぱーてぃーもわるくないね
ひとりで
よぞらのほしとかいわするのとおなじくらい
こわがっていないで
こわがることもわすれて
すきなことをしよう
2013年10月18日金曜日
不要なものを
不要なものを
捨てようとした時
近くで
〈私も不要でしょう〉
という声
見ると
目が合った
押し問答
分からない
不要 か
どうか
時が経つ
すると
また
どこからか
〈私も不要でしょう〉
という声
〈不要ですか〉
訊いてみた
答えない
目が訴える
〈きっと不要です〉
不要なものを
放置しているのは
全員
捨てられずにいると
いつまでも
不要なまま
信じてもらえない
ならず者
捨て場所は
ある
ここは広い宇宙だし
置き場所を
変えるだけ
不要なものが
手をつないで
行きたがっている
行かせてあげれば
君も
行ってもいいよ
2013年10月17日木曜日
薄暗がりにたたずむこころ
薄暗がりにたたずむこころ
こんなに重い
丸いパイプの
ペンキが剥げたところに
同じ色を塗り重ねると
すると
そこは新品よりもいい色になる
薄々気づいていたこと
だけれど世間はそんなことばかりだ
十重二十重に
塗り重ねられた空は
今は亡きあの映画監督が作った映画さながら
高い天井から吊り下げてある
私は足もとと頭上を交互に見る
約束ごとのように
背後にお化けたちの気配がするが
気づかなかったことにしておこう
よんどころない事情があるのは
人間ばかりではない
薄暗がりは
私のこころを隠そうとしているが
すでに
隠せない大きさになってしまっている
私のこころ
こんなに重い
丸いパイプの
ペンキが剥げたところに
同じ色を塗り重ねると
すると
そこは新品よりもいい色になる
薄々気づいていたこと
だけれど世間はそんなことばかりだ
十重二十重に
塗り重ねられた空は
今は亡きあの映画監督が作った映画さながら
高い天井から吊り下げてある
私は足もとと頭上を交互に見る
約束ごとのように
背後にお化けたちの気配がするが
気づかなかったことにしておこう
よんどころない事情があるのは
人間ばかりではない
薄暗がりは
私のこころを隠そうとしているが
すでに
隠せない大きさになってしまっている
私のこころ
2013年10月16日水曜日
うつ病の友だち
うつ病の友だちは
うまくいってしまうことが怖い
やらない理由がみつからなくなるから
うつ病の友だちは
会いたくないときに人と会う
ふだんは会いたくても会えないから
うつ病の友だちは
うつ病のせいでますますうつ病になる
うつ病になったわけを知らないから
うつ病の友だちは
さちこってゆうんだほんとはね
だけど私はうつ病の友だちと呼んでいる
2013年10月15日火曜日
飛び降りる
空から
空であった場所から
四角く光る場所を目がけて
今いる場所から
空であった場所から
四角く光る場所を目がけて
飛び降りると書き付けた「今」から
今いた場所から
空であった場所から
四角く光る場所を目がけて
一人ではないと錯覚した「時」から
飛び降りると書き付けた「今」から
今いた場所から
空であった場所から
一人で
まだない空白へ
空白という空へ
誰もまだいない
いったことのないなつかしい場所へ
一人ではないと錯覚した「時」から
飛び降りると書き付けた「今」から
今いた場所から
空であった場所から
四角く光る場所を目がけて
いつか空になるその場所へ
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