8つの会場を
出たり入ったりしている
あなたは
そのたびごとに
服を着替える
さっきから
もう何度繰り返しているだろう
これは
夜を徹して行われているのだろうか
もう汗びっしょりだ
控え室のタオルで汗を拭うが
また慌ただしく
出て行く
会場では
それぞれ別々の会合が催されている
たとえば
花と音楽に包まれた陽気なお別れ会であったり
新婦が欠席している結婚披露宴であったり
平均年齢82歳の老人会の学芸会であったり
麻酔医7人のための生前葬であったり
仲間同士のただの飲み会であったり…だ
ひとつの会がおわると
また別の会の準備がなされ
やがて出席者がやってきて会が始まる
稀に「ワケあり」の会もあり
そんなとき
あなたはいつも
緊張でカチカチになって入っていく
そんなことを繰り返しているうちに
どうも
もう数年の月日が流れてしまったらしい
あなたは
私に目配せをして
パーティーに参加するように促した
私がためらっていると
あなたはイルカになって
海の中を泳ぎ回り
高く飛び上がった
次の瞬間
イルカはトンビになり
トンビは空中で激しく輪をかいた
トンビは地面に落下して
あなたにもどり
私の手をとって
話しかけてきた
楽しいでしょ!
驚いた私は
もう終わりにしない?
お家に帰ろう
と訴えた
それをどこ吹く風といった感じで
あしらったあなたは
だれかの首にしがみついて
もう踊っている
濃厚な接吻などしながら
月の模様のドレスを腰に絡ませている
2011年5月10日火曜日
2011年5月9日月曜日
五月の私 その1
私の命は特別に選ばれた命なのだろうか
五月
山の下の方で鮮やかに輝きはじめた緑の木々の上に
暗い雲が広がり
湿った風が強まってくる
こんなときには決まって
中腹で霙(みぞれ)が降っているのだ
私は選ばれた特別の人間なのだと
私の中の何者かが記憶している
だが私の心はそう思ってはいない
あなたはどうだろうか
小さなボロ車で山頂から一気に駆けおりる
五月
山の下の方で鮮やかに輝きはじめた緑の木々の上に
暗い雲が広がり
湿った風が強まってくる
こんなときには決まって
中腹で霙(みぞれ)が降っているのだ
私は選ばれた特別の人間なのだと
私の中の何者かが記憶している
だが私の心はそう思ってはいない
あなたはどうだろうか
小さなボロ車で山頂から一気に駆けおりる
2011年5月8日日曜日
リゾートの夜
壁を隔てて聞こえてくるのは
ウシガエルの声かと思っていたが
違うようだ
隣に寝ている彼女は
裸のままなのに
眼を閉じてどこかに出かけていってしまった
窓を開けると
暗い夜から
森の香りと一緒に
せせらぎの音が入ってくる
そこに
海辺からのメールが紛れて届く
メールも
一糸纏わぬ裸だった
ウシガエルの声かと思っていたが
違うようだ
隣に寝ている彼女は
裸のままなのに
眼を閉じてどこかに出かけていってしまった
窓を開けると
暗い夜から
森の香りと一緒に
せせらぎの音が入ってくる
そこに
海辺からのメールが紛れて届く
メールも
一糸纏わぬ裸だった
2011年5月7日土曜日
天使のBIRTHDAY
二股どころではない
十股だ
いや二十股だ
いやいや百股だ
彼女の魅力は
たくさん
股をかけても
減らない
むしろ
股をかければかけるほど
加算されていく感さえある
彼女はいつも
自分のことで
忙しい
美味しい物を食べては
太らないか気にする
愛しい人に会っては
洋服をおねだりする
約束しては
遅れて登場する
ハードなスケジュールが
彼女のスレンダーな体に
磨きをかけ
過密すぎるイベントが
睡眠時間を奪い
様々な悩みが
様々な表情を作る
いつも
いつも
彼女はいそがしく
考えることが追いつかない
感じるままにやっていく
他人のことを中途半端に慮らず
ただ驚かせ喜ばせようと努力をおしまない
そんな彼女に
転機がやってきた
彼女はいままでの自分をあっさり脱ぎ捨て
新しい服に着替えた
初めての肌触り
天使の羽で織られた
それは
夏のユニクロのワンピース
十股だ
いや二十股だ
いやいや百股だ
彼女の魅力は
たくさん
股をかけても
減らない
むしろ
股をかければかけるほど
加算されていく感さえある
彼女はいつも
自分のことで
忙しい
美味しい物を食べては
太らないか気にする
愛しい人に会っては
洋服をおねだりする
約束しては
遅れて登場する
ハードなスケジュールが
彼女のスレンダーな体に
磨きをかけ
過密すぎるイベントが
睡眠時間を奪い
様々な悩みが
様々な表情を作る
いつも
いつも
彼女はいそがしく
考えることが追いつかない
感じるままにやっていく
他人のことを中途半端に慮らず
ただ驚かせ喜ばせようと努力をおしまない
そんな彼女に
転機がやってきた
彼女はいままでの自分をあっさり脱ぎ捨て
新しい服に着替えた
初めての肌触り
天使の羽で織られた
それは
夏のユニクロのワンピース
2011年5月6日金曜日
いつのまにか
いつのまにか『命のバトン』を渡されていた
いつのまにか自分の命を守るプログラムを手に入れた
いつのまにか日が傾いてきょうも夕暮れがやったきた
いつのまにか知り合った人がどこかにいってしまった
いつのまにか大きな雲が形を変えて彼方へ消え去った
いつのまにか電話がかかってこない日々がつづいていた
いつのまにか体が古くなって皮膚が乾燥した
いつのまにか側で蛙の声が聴こえなくなっていた
いつのまにか愛する人のことを忘れようとしていた
いつのまにか遠くから小さな何かの音が鳴り続けるのが聴こえていた
いつのまにか寂しい気持ちが心に満ちていた
いつのまにか生きていることが自分のことであると気がついた
いつのまにかあの頃のコロッケが食べたくなった
いつのまにか「今」が立ち止まってこちらの様子を窺っていた
いつのまにか外出の時間が近づいてきた
いつのまにかカーテンの向こうの窓の外で星が瞬きはじめた
そして
いつのまにか私はいなくなった
いつのまにか自分の命を守るプログラムを手に入れた
いつのまにか日が傾いてきょうも夕暮れがやったきた
いつのまにか知り合った人がどこかにいってしまった
いつのまにか大きな雲が形を変えて彼方へ消え去った
いつのまにか電話がかかってこない日々がつづいていた
いつのまにか体が古くなって皮膚が乾燥した
いつのまにか側で蛙の声が聴こえなくなっていた
いつのまにか愛する人のことを忘れようとしていた
いつのまにか遠くから小さな何かの音が鳴り続けるのが聴こえていた
いつのまにか寂しい気持ちが心に満ちていた
いつのまにか生きていることが自分のことであると気がついた
いつのまにかあの頃のコロッケが食べたくなった
いつのまにか「今」が立ち止まってこちらの様子を窺っていた
いつのまにか外出の時間が近づいてきた
いつのまにかカーテンの向こうの窓の外で星が瞬きはじめた
そして
いつのまにか私はいなくなった
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