2012年1月31日火曜日

ポテトフライのカレンダー

指のようなポテトフライを
食べながら
豪雪のニュースをスマホで読む

豪雪のニュースを
食べながら
指のようなポテトフライをスマホで読む

帰り道
今夜は冷え込んでいる
猫がニャーと鳴いて塀に飛び乗って

冷え込んでいる猫が
ニャーと鳴いて塀に飛び乗って今夜は帰り道

家に帰って行った
私もまた

また家も
私に帰って行った

カレンダーの横の写真が私を見ている
目を合わせると写真の人物は黙って笑っている

写真の人物は見ている
目を合わせると黙ってカレンダーの横の笑っている私を

2012年1月30日月曜日

余分な世界

どこに何が置いてあるか
分かっているのだ
こんなに散らかっているが

整然としていても
どこになにあるのか分からなかいより
いいだろう

誰がどこにいるのか
分かってはいないのは
誰のせいでもないのか
余分なものが
余分なものの陰にかくれ
余分な人が
余分な人に寄り添って
根をはって
守っている

森の木が大地をがんじからめにするように
僕たちが住むこの島は
静けさに包まれて行く

余分は死への序曲を奏でる
いつでもそうだ
そして余分は
余分ともう呼ばれない
そんな世界を夢見ている

2012年1月29日日曜日

しっとり沼

しっとり沼にはまったら
急に寒気がしてきたよ
ガクガク足が震えだし
オニギリ買って帰宅した

しっとり沼にはまったが
それに気づかず過ごしてた
熱があるのか喉乾く
瞳も乾き息できず

しっとり沼を知る人は
猫を抱えてやってくる
猫と戯れ日が暮れる
家に帰って眠りこむ

しっとり沼の夜の夢
怪しいダンスが続いてる
炎があがるが熱くなく
優しい声がこだまする

しっとり沼のこのうわさ
誰から聞いたか言えません
それはわたしのことだから
いまのわたしのことだから

2012年1月28日土曜日

ああ

地下鉄のワンマン列車がホームで
たくさんの人を吐き出しまた呑み込んで
けたたましい発車ベルの中で扉を閉じた

いま私は電車に乗り込んだはずだが
ホームにも私の姿があった
私たちは互いを見つめ合い見送った

ワンマン列車は
私を乗せて走り去っていった
私たちは手にしたスマートフォンで
FacebookやTwitterを介して連絡を取った

駅で吐き出された私は
改札口で商売する期間限定の店の前を左に曲がり
更にグネグネ曲って階段を昇り
踊り場のトイレに立ち寄り
地上に上がると
そこは夜七時のトウキョーの街並みで
看板たちや店々が私を誘い込もうとしていた

私は誘惑されながらやっとのことで
道を歩いて行く
もう一人の自分はまだ帰宅する様子もなく
明るい商店の中をさまよっている

私は自分の部屋の自分の机の前に座り
古い作品をスキャンして
保存していく

そうしているうちに
もう一人の自分が
Twitterで近況をつぶやく
私はそれを見て
私の様子を認識する
ああ

2012年1月27日金曜日

どう思う?

自分に甘く他人にも甘く
ほとんどを許し
優しく迫る

成り行き見極め
ゆっくり行動
体を大事にして
心配事を抱えてる

いざという時
自分でも気づかず
何かをしてる

こんなことで
いいのだろうか
どう思う?

2012年1月26日木曜日

スープをひと掬い

スープをひと掬い
あなたとの会話のひとこま
スープをひと掬い
はしゃいでいるのは興奮してるから
スープをひと掬い
あの日は一緒に潜る予定だったし
一緒にのぼっていくつもりだった
スープをひと掬い
白いシーツを被って
スープをひと掬い
朝をゆっくりと迎え入れることもできた
弾けそうなあなたの胸を
後ろから抱えて
スープをひと掬い
包み込み  真昼の公園へと
弾ませながら歩いて行くことも可能だった
それを望めば
スープをひと掬い
それさえ指の隙間から逃がし
いまは見る影もないが
スープをひと掬い
だからせめて
白いカップから銀の匙で
スープをひと掬い
悔しさを流すために
口へと運ぶ
口へと何度も何度でも
スープをひと掬い
繰り返し
苦味を無意識が味わい
塩味は涙に溶けて分からなくなっても

2012年1月25日水曜日

欲張り

プリンアラモードとチョコチップメロンパン
どちらを食べたらいいか
選べなかったので
両方ともたべた

コンビニで買った時も
選べなかったから
両方買ったのだ

プリンアラモードとチョコチップメロンパン
どちらを先に見つけたのか
どちらを先に買おうと決意したのかも
もう思い出せない

それくらい
両方とも
魅力的なのだ

一つにするべきだと
大好きなあなたに知れたら
言われてしまうかもしれない
欲張りはだめだと分かっている

あなたが
私だけを選ばなかった
あの日から

2012年1月24日火曜日

北京の部屋

泥棒除けのため
鉄格子がはめられた
大きな窓の小さな部屋は
いつも埃だらけ

毎朝毎晩掃除しても
直ぐに石の床や机の天板はザラザラになってしまう

ベッドはきっと埃を吸い込んで飽和状態だろう
週に一度のシーツ交換では間に合わない
乾燥と大気汚染がそれに輪をかけ
眠る時は縮こまり息を殺して眠る

部屋は暗いため
照明スタンドを三つ買ってきて
設置した

インターネット
スカイプをつなぎ
外の世界と交信する

部屋にはキッチンやシャワールームはなく
食事は外から買ってこなくてはならない

クローゼットの扉は壊れていて閉まらない
洗濯は洗濯店まで出しにいく

テレビの冷蔵庫もない
窓を開けても
星は見えず
街路灯があるだけ

だけど
素敵な自分の部屋
自由と夢が詰まっている
その中に
自分も詰め込んでいた

2012年1月23日月曜日

悲観的にみれば

悲観的にみれば
テーブルの向こうに
イルミネーションがみえるこの夜景も
乾いた絶望色に染まる

その上を涙があとを引いて
流れ落ちる
ガラス窓は小さく
悲鳴をあげている
カラスは愛する人の家の煙突の上を
群れをなして旋回する

また悲観的にみれば
君の美しさは
輝きながら
退廃と遺恨をからめ取る

雨を弾き
風を切り分ける君の鼻は
君を危うい場所に進めてしまう

悲観的な分
楽観は棚ぼた式に
落ちて行く時を待っている

2012年1月22日日曜日

銀行

音楽を作って攻めてくる
耳から侵入してくる
隊員となった人々の顔を奪い
尊厳を打ち砕いて
服従させゾンビ化して
私たちに向けて送り込んでくる
混ぜ込んでくる

皆で同じ笑顔の仮面をつけ
爽やかな決まり文句を振りまき
親しげにやってくる

人々の多くあつまる場所にビルを建てて占領し
冷たい明かりを灯し
大きい看板を道にせり出し
休日の商業地でシャッターを閉める

日照りの日に傘を貸し出し
雨降りの日に取り返す
2年ごとに大移動を繰り返し
情の発生を根絶する

金のあるところに金を積み上げ祀り上げる
ゾンビ同士は競争し
蹴落として踏みつけのぼっていく

そして
この国は
知らないうちにゾンビ大国となってしまう
ゾンビグループを育てるために
誰かが命を失った
それは
明日の私の姿なのだ