2011年5月14日土曜日

slow

階段を12段昇って
12段降りて

あなたの周りを
18回まわって

鍵盤の黒いところだけで
ピアノを弾いて

何度もメールを書いては
下書きに保存した

敗れたシャツで靴を磨き
ホテルに行ってはあなたを置いて帰った

空を見上げて風を心地よく受け
雨に降られるたびに安い傘が増えた

階段を12段昇ってドアを開け
あなたの唇に初めてキスした

消えている

あなたのことを
見失っている間に
私の住む街が
消えてしまった

住民もろとも
居なくなってしまった
それなのに
騒ぐ人は
誰もいなかった

ニュースにもなっていない
ネットで検索しても
出てこない

オロオロしていると
見る間に
あなたがどこにいるのか
という思いが
消えていくことに気がついた

きのうのメールの返事もこないまま
出したことさえあやふやになってゆく

ブログに書き綴った詩のサムネイルだけが
木片のように流れ着く

やっとの思いで
ブログの端っこに貼り付けた
終わりの方は
失くなっている


、、、

私は古い家 建物なので あなたのところへゆくことはかなわい ただ思いをこめて念じるだけだ 私の隣には古い寺があり 今時はツツジの香りが立ち込めている 掃き清められた庭は どこから見ても美しい ツツジの香りの良さを あなたに届けたい そう願って私は念じる あなたがやってくるように ところで 私には 一人の男が住んでいる 私を手入れし磨き上げているうちに 若い一人の娘が やってくるようになり すぐに男と結ばれ...


解説

これより先の部分は見当たりません。きのうコピーした方がいらっしゃれば、データをご提供くださると助かります。
Googleのブログサービスは、一応今しがた復旧したようですが、多くの下書きデータと、昨日以降の投稿とコメントは、見つかりません。

2011年5月12日木曜日

ろくろっくびはいいやつだ

ろくろっくびだよ
ろくろっくび
またまたやったきたよ
ひさしぶりだよ
なつかしいかぎりだよ
またきたよ
よばれなくても
こちらから
きたくてきたよ
ろくろっくび
りずむにのって
かぜにのって
らいばるけおとして
やってきましたろくろっくび
なんかいいかんじだよ
にゅーすにもでそうだよ
にんきものだよ
ろくろっくび
ぶらさがったよ
のびちじみしたよ
くるくるまいたよ
でんちゅうも
もんちゅうも
もちゅうも
きんしんちゅうも
ちゅーしてるさいちゅーも
かまわずまいたよ
ろくろっくび
ぐるぐるしたよ
めがまわったよ
なみだでしーつもぬらしたよ
ろくろっくびは
いいやつさ
あいどるよりも
にんきもの
ろくろっくびは
へのかっぱ
やることなすこと
おおあたり
ぜんもんせいかい
ごじゅうまる
ろくろっくびさ
ろくろっくび

ろくろっくびだよ
ろくろっくびだよ
いせいがいいよ
けいきづけだよ
どんどんまいて
どんどんまかれ
かってもまかれ
まけてもまかれ
くびったけだよ
ろくろっくび
いちにのさんで
ろくろっくび
くびがながいさ
ろくろっくび

またいつか
やってくるね
およびでなくても
こちらから
ではまたあおう
ろくろっくびは
いいやつだ

2011年5月11日水曜日

月屋の日誌より

照明が消えてしまったので
月を5つほど貸していただけませんか
そう言って
木戸を静かに開けて彼女は入ってきた

ちょうどいい月が
入荷したばかりだったので
私は迷わず
いい月があります
電球色のもので
やや黄色い感じです
表示してあるのはひと月分の値段です
と説明した

彼女は
安心した様子で
商品を手に取ると
昼光色のものも一つ貸していただけますかと言った
そして
鈴のついた横長の札入れから
きれいなお札を出して代金を払いつり銭を受け取った

私は
ありがとうございます 
どうもありがとうございます
と丁寧に言って
彼女の後ろ姿を見送った
彼女は小峰ににているが
小峰ではないな
と思った

2011年5月10日火曜日

父が生きていた頃のこと

浜辺に打ち上げられたウミホウズキが
月の光を浴びて
体を乾かしている

見知らぬ浜辺だ
と言っている

歌にして聴かせてくれた
打ち上げられるまでの顛末

まだ父が生きていた頃のこと

月模様のドレス

8つの会場を
出たり入ったりしている
あなたは
そのたびごとに
服を着替える

さっきから
もう何度繰り返しているだろう
これは
夜を徹して行われているのだろうか

もう汗びっしょりだ
控え室のタオルで汗を拭うが
また慌ただしく
出て行く

会場では
それぞれ別々の会合が催されている
たとえば
花と音楽に包まれた陽気なお別れ会であったり
新婦が欠席している結婚披露宴であったり
平均年齢82歳の老人会の学芸会であったり
麻酔医7人のための生前葬であったり
仲間同士のただの飲み会であったり…だ

ひとつの会がおわると
また別の会の準備がなされ
やがて出席者がやってきて会が始まる
稀に「ワケあり」の会もあり
そんなとき
あなたはいつも 
緊張でカチカチになって入っていく

そんなことを繰り返しているうちに
どうも
もう数年の月日が流れてしまったらしい

あなたは
私に目配せをして
パーティーに参加するように促した
私がためらっていると
あなたはイルカになって
海の中を泳ぎ回り
高く飛び上がった

次の瞬間
イルカはトンビになり
トンビは空中で激しく輪をかいた

トンビは地面に落下して
あなたにもどり
私の手をとって
話しかけてきた

楽しいでしょ!

驚いた私は

もう終わりにしない?
お家に帰ろう

と訴えた
それをどこ吹く風といった感じで
あしらったあなたは
だれかの首にしがみついて
もう踊っている
濃厚な接吻などしながら

月の模様のドレスを腰に絡ませている

私は水

人生を楽しむの?
うまく人付き合いして

人気者になるの
友だちも恋人もスペアはすぐ見つかるよ

あなたには向いている
私には向いていない

でも一緒にご飯を食べよう
あなたは焼酎
私は水

2011年5月9日月曜日

五月の私 その1

私の命は特別に選ばれた命なのだろうか

五月

山の下の方で鮮やかに輝きはじめた緑の木々の上に
暗い雲が広がり
湿った風が強まってくる
こんなときには決まって
中腹で霙(みぞれ)が降っているのだ

私は選ばれた特別の人間なのだと
私の中の何者かが記憶している
だが私の心はそう思ってはいない

あなたはどうだろうか

小さなボロ車で山頂から一気に駆けおりる

2011年5月8日日曜日

リゾートの夜

壁を隔てて聞こえてくるのは
ウシガエルの声かと思っていたが
違うようだ

隣に寝ている彼女は
裸のままなのに
眼を閉じてどこかに出かけていってしまった

窓を開けると
暗い夜から
森の香りと一緒に
せせらぎの音が入ってくる

そこに
海辺からのメールが紛れて届く

メールも
一糸纏わぬ裸だった

2011年5月7日土曜日

天使のBIRTHDAY

二股どころではない
十股だ
いや二十股だ
いやいや百股だ

彼女の魅力は
たくさん
股をかけても
減らない

むしろ
股をかければかけるほど
加算されていく感さえある

彼女はいつも
自分のことで
忙しい

美味しい物を食べては
太らないか気にする
愛しい人に会っては
洋服をおねだりする
約束しては
遅れて登場する

ハードなスケジュールが
彼女のスレンダーな体に
磨きをかけ
過密すぎるイベントが
睡眠時間を奪い
様々な悩みが
様々な表情を作る

いつも
いつも
彼女はいそがしく
考えることが追いつかない
感じるままにやっていく

他人のことを中途半端に慮らず
ただ驚かせ喜ばせようと努力をおしまない

そんな彼女に
転機がやってきた

彼女はいままでの自分をあっさり脱ぎ捨て
新しい服に着替えた

初めての肌触り
天使の羽で織られた
それは
夏のユニクロのワンピース