右耳は人の声を聞く耳
左耳は亡き人の声を聞く耳
両耳の間にいてアンバランスな私
右手は慰めるためにあり
左手は払いのけるためにあり
両手の間にいて果実の少ない私
右脳は誰かを愛し
左脳は他人を罰し
真ん中にいる私は
丸裸の私
2013年11月2日土曜日
2013年11月1日金曜日
通勤電車
疲れた顔して電車に乗っている
つまらないことに思いを巡らせて
野原を駆け回っていた心は
どこかで迷子になってしまった
空回りするむなしい言葉を吐く
言いたいことは何も言えない
くり返し願っていたあの夢は
暗がりで埃をかぶってるんだね
世間はみんな他人の顔してる
自分を守るための服をまとって
知らない子と手をつないだ
初めてにことばかりだった日々よ
2013年10月31日木曜日
しごと
みつおは
くるひもくるひも
まいている
トイレットペーパーを
それがみつおのしごとだったから
まきこは
くるひもくるひも
ならしている
ゆびを
それがまきこのしごとだったから
かおるは
くるひもくるひも
かきかえている
ちょうめんを
それがかおるのしごとだったから
きみは
くるひもくるひも
なにしてる?
あきることなく
それがきみのしごとだったのかな?
2013年10月30日水曜日
2013年10月29日火曜日
くせ
こぶしをつくって
人差し指の横腹を噛む
おいしいお肉を食べなさい
指だって痛くはないよ
痛キモチいい感触だろ
歯も指も覚えている
自分の脳が
どう感じたか
歯と指は
意外と
仲がいい
爪は最近
思い出してもらえない
その分
ネーリストといつも見詰めあっているから
2013年10月28日月曜日
心 〜滝に打たれている〜
滝の音が耳についていて離れない
視線はウインドウ越しの道を見ているが
心は方々をさまよい
波打ち際や渓谷を行く列車や高校の夏の明るい教室や
恋人に別れを告げられた喫茶店や様々な場面で向き合った人びとの表情を
光速で辿るが
耳は滝の音と
今いる場所の音の中に動かずにいる
それを証明しようとするように
視覚もここにいて
ただ今を見つめている
心だけが
私の事情に関係無く心を乱して
自らでかけて行く
この時心は一つではないと心は悟っていた
視線はウインドウ越しの道を見ているが
心は方々をさまよい
波打ち際や渓谷を行く列車や高校の夏の明るい教室や
恋人に別れを告げられた喫茶店や様々な場面で向き合った人びとの表情を
光速で辿るが
耳は滝の音と
今いる場所の音の中に動かずにいる
それを証明しようとするように
視覚もここにいて
ただ今を見つめている
心だけが
私の事情に関係無く心を乱して
自らでかけて行く
この時心は一つではないと心は悟っていた
2013年10月27日日曜日
鶴脱臼(つるだっきゅう)ホテルへようこそ ほか
『鶴脱臼(つるだっきゅう)ホテルへようこそ 』
母娘の信頼がくじけそうになったときには
鶴脱臼ホテルへようこそ『瓦礫の下敷きになりました』
八階の床が崩落し
七階で私は瓦礫の下敷きになりました
掃除のおばさんが発見してくれて
瓦礫をどけてくれましたが
私には約束があったので
すぐに約束の場所へと向かいました
『北海道にあります』
北海道にあります
自動車教習所は雨で泥濘んでいます
近くの駅は災害で壊れたまま
駅舎は傾いたままです
『歩きながら飲め』
屋外広場での昼食会は終わっていました
友だちが茶を注いだ茶碗を茶托にのせそれを四つかかえて追いついてきました
もう自動車教習所へと歩き出しているのに
歩きながら飲もうというのです
2013年10月26日土曜日
えらいひとは
えらいひとは
なぜえらいのか
えらくないわたしは
かんがえます
えらいひとに
なりたくないと
なれないわたしは
おもいます
えらいひとは
ほかのえらいひとを
だいじにするのは
なぜでしょう
えらいひとは
みんなのじんせいに
よろこびをあたえます
かなしみとおなじくらい
えらいひとは
それでもいきることには
いみがあると
おしえてくれます
えらいひとは
なんのために
えらいひとを
やっているのでしょう
えらくないわたしは
なんのために
えらくないひとを
やっているのでしょう
2013年10月25日金曜日
2013年10月24日木曜日
庭の木々が
庭の木々が私を見ていた
あの時は気づかなかった
五月に花びらを落としたモクレンが
そのことを忘れようとして
私に視線を投げかけてきた
あの時は分からなかった
私には何もしてあげられない
木々の上の空から
雲が私を見て
待ちきれないという様子で
去って行った
だが本当は
私の方が待ちきれなかった
私はすぐに意味もなく立ち上がり
身支度を始めたから
あの時は知らなかった
私がいないところで起こっていたこと
それを知らせようと
周りのものたちが働きかけてくれていたこと
私は何も知らなかった
いまも屋根の上に雨が降り注ぎ
テーブルの上のコーヒーカップが微かに湯気をたてている
いま私が何を知るべきなのか
指先から文字は生まれ続けるが
私は何も気づかなかった
私は何も気づけなかった
あの時は気づかなかった
五月に花びらを落としたモクレンが
そのことを忘れようとして
私に視線を投げかけてきた
あの時は分からなかった
私には何もしてあげられない
木々の上の空から
雲が私を見て
待ちきれないという様子で
去って行った
だが本当は
私の方が待ちきれなかった
私はすぐに意味もなく立ち上がり
身支度を始めたから
あの時は知らなかった
私がいないところで起こっていたこと
それを知らせようと
周りのものたちが働きかけてくれていたこと
私は何も知らなかった
いまも屋根の上に雨が降り注ぎ
テーブルの上のコーヒーカップが微かに湯気をたてている
いま私が何を知るべきなのか
指先から文字は生まれ続けるが
私は何も気づかなかった
私は何も気づけなかった
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