2023年5月13日土曜日

俯(うつむ)いたままで

これから死ぬまで

過去だけで生きていける
彼女はそう思ったが
梢で渦巻く風は違うよと言った
思い出の中の私は
眩しいほどに輝いている
息を殺して感じていたが
石畳の靴音は知らん顔した
明日も私は
途方に暮れているだろう
だが思わぬ幸運が
彼女に飛びつこうとしていた
だから
少し早起きして
身支度をして
好きだった場所に
歩いて行くんだ
俯(うつむ)いたままでいいから

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