いきなり目の前に現れた
といっても似ているだけのひと
おまけに二人連れで
とても仲よさそう
私はよく見える席に座っていて
二人に見入っている
あっ ビールの泡が
唇の周りに着いているのに
気にせずに見つめ合っている
二人は静かに
会話をしている
何を話しているか悟られないようにして
二人の世界を守っているのだろう
私はチキンにソースを絡ませて
ココナッツライスと一緒に頬張る
彼女は
煮込んだチキンを箸で割いて
ひとかけらを口に入れる
私は大きなベッドの上に横たわった
彼女の足の方から彼女の中心めがけてダイブする
彼女は前を見つめて
相手の言葉に相槌を打つが
男は小さな椀に入った麺をすする
私は彼女の視線に絡め取られて
言葉を失う
勘定を済ませて
歩き始める