本当に愛し始めたからだと
認めたくなくて
ふてくされて
11月のテラスで
アイスミルクティーを飲んでいる
風が吹くと
身を縮こめなければ
寒さを追いやれない
愛しているといえない自分は
つぼみを閉じているようだと思う
音楽を聞かせても映画を見せても
わずかに視線を動かすだけだ
愛する人は
目の前にはいない
愛する人は
気軽にメールしてくるけれど
ちっともうれしくなんかない
私は
愛していると いつか
言いたいんだ
愛しくれないあの人に
言いたいんだ
風が吹くと
身を縮こめなければ
寒さを追いやれない
愛しているといえない自分は
つぼみを閉じているようだと思う
音楽を聞かせても映画を見せても
わずかに視線を動かすだけだ
愛する人は
目の前にはいない
愛する人は
気軽にメールしてくるけれど
ちっともうれしくなんかない
私は
愛していると いつか
言いたいんだ
愛しくれないあの人に
言いたいんだ
教科書に載っていた
金魚が
逃げ出してしまったらしい
でも
大丈夫
僕は余裕で笑って見せた
金魚はかばんのなかから逃げられない
部屋に戻ったら
乾かして
また
本の一ページに
貼り付けよう
なかったことのように
せっかく逃げた
金魚には悪いけど
どこに行くのかはっきりしないけれど
もう 思うままに
走り出していた
そんなに速く走っている訳ではないが
心は滑るように先走った
人が大勢
反対側から歩いてきたので
流れに逆らいながら
走っていった
どこまでも走っていった
息を切らしても
止まることはなかった
やがて
月がぼんやりと僕を見下ろし
黄色い葉っぱは
ますます黄色くなっていった
頭に
葉っぱが二枚落ちてきて
僕ははっとした
葉っぱに頭を触られたのは
いつ以来だろう
思い出すことができない
僕があのひとの頭の上に
落ちて
触ったときの感触も
おとなになっても
よいことをして
よくないことをして
どちらかわからないことをして
ろうじんになった
じんせいは
むずかしい
じんせいは
おもしろくて
つまらない
あくびをしたら
しかられる
しかったひとも
あくびをしてる
寒い季節がやってくると
落ち葉に隠した
木の葉のお金が
白い煙を出しながら
小さな炎を灯して燃えてしまう
寒い季節がやってくると
散歩に行くのがいやになり
ついでに
愛する人を
迎えに行くのもいやになる
寒い季節がやってくると
寒がりのあなたが
暖をもとめてあいつに寄りそい
いつまでまっても
帰ってこない
あなたは私の様子を窺って
質問の玉を打ち込んでくる
わたしは
しどろもどろになるが
必死にこらえて体勢をつくり
その玉を打ち返す
うまく打ち返せることもあれば
そうでないときもある
フェンスを越えて
通りがかりの人に拾ってもらうことも
しばしばだ
それでもあなたは
不意をついて
質問を打ち込んでくる
剛速球の質問は
打ち返すことができずに
地面にバウンドして
快音を立て後ろに流れていく
あなたはびくともしない
笑っているのか泣いているのか
なんともないのかさえ分からない
星屑が暗くなった空から
降ってくる
月がやさしく灯っている
あなたは
私を近づけない
あなは
私が近づくのを恐れながら
誰かを待っている