2011年5月21日土曜日

月のネックレス

月が一つ
闇空のてっぺんで明るく光っているだけなのに
海はその下に
煌めく光の路をつくり
プラチナで編み上げられた
ネックレスみたいに
海の胸元をゴージャスに飾っている

砂浜にいるのはきょうもあなた一人だから
その美しい光景も
ネックレスも
あなただけのもの
きっと誰かがくれたプレゼント

海の中に入っていくあなたは
自称  人魚
ぼくはそうは思わないけれど

泣き尽くして涙を枯らして
夜が白み始めると
あなたはここから去っていく

誰もいなくなった海は
波を手持ち無沙汰に打ちながら
一人で何かを語り続ける
答えなのか問いなのかは
分からない
もうどれだけの時間が流れたのかも分からない

あなたは
昼間
仕事場で汗をかきながら働く
何かをおし殺し
自分に言い聞かせて

そして
海に行ったことは
波の中に入って行ったことは
友人には話さない

海と約束をしたからなのか
それとも
自分が消えてしまったあとに
なにも残さないという
決意の表れなのか

2011年5月20日金曜日

15分後 と 私

5分おきに気持ちが変わる
10分おきに違うことをやる
30分経つと悩みが何かを忘れている
1時間後にかかってくるはずの電話
3時間後にはベッドに入りたい
10時間後には灰色の机の上でパソコンに向かい
24時間後 私はこの世にたぶんいるだろう
3日後 気ままな旅に出たいけど
7日後 気ままといっても宿は予約してしまったから
1か月後 いつものように会社に通勤
3か月後 いつものように片想いだった相手のことは忘れ
半年後 アパートの更新日が過ぎ
1年後 季節はやはり初夏に違いなく
5年後 私の三回忌に
10年後 枯れた草花はそのままにしておいてください

50年後 誰も私のことを知らず

15分後 ブログに一つの詩がアップされている

2011年5月19日木曜日

古い扉

朝の電車の中で
人いきれに耐えながら
なにを思っているの?

電車が揺れるので
輪っかに掴まっている
革の軋む音は
馴れてしまったせいか
聴こえてこない

つなぎとめられている
人の群れ

休日にはなにしよう
自分と相談
明日は晴れそう

生まれてから
色んなものを見て来た
危なくないものと
危ないもの

いつの間にか
自分が一番危なくなってる

会社に着いて
無意味な仕事をする
お金をもらうため

色んなことを学んだ
生きていく上で大切なこと

自分を優しい心にすることは
答えがわからないまま
忘れていた

古民家の古い扉
開ければ
教えてくれるかな

2011年5月18日水曜日

海に向かう電車で

海に向かう電車に乗っているのは誰ですか

はい、私ですけど

何をしにいくんですか

いえ、ちょっと、砂浜を歩きに

それだけですか

まあ、色々考え事をして

はい、

人と待ち合わせします

誰とですか

最近知り合った人とです

どんな関係ですか

いえ、ちょっと、仕事の関係・・

愛しているんですか

・・・・・・

恋人にしたいんでしょ

なに言ってるんですか、そんな

もうキスはしたんでしょ

いいえ、なんで・・?

もういいです、はっきりしない人だ

はい。

そこははっきりしてるんだ

・・・・・・・

2011年5月17日火曜日

setsunaの前奏曲

あなたはわたしと
遊ぶだけ
刹那の哀しみを
見にゆくために

あなたは
わたしといても
幸せになれない
積み重ねることはできても
それはいつか踏み台になるだけ

とび箱の前で
息を整える暇もなく
まっしぐらに
挑んでいったけど
とんだ後の世界は向こう側
別の人が
待っている

あなたは
初めから気づいていたでしょう

わたしと見る
一風変わった
ドラマチックな景色は
あなたが幸せになるための
前奏曲
わたしにとっては
クライマックスであることを

出会った時
砂浜で
波は大きく波打ち白い泡を巻いて
反対した

2011年5月16日月曜日

深夜の手紙

「愛する人へ」

これは最後の機会かもしれません
あなたとわたしの間には
埋めることのできない距離が存在します
時々その距離が縮んでなくなるものだから
勘違いしてしまいますが
やはり向こう岸が見えないほどの距離が存在するのです

最後の機会だと偉そうに言うのは
とても
おこがましいことでしょう
わたしはえらいにんげんではありません
誤魔化しの多いくだらない人間です
親にさえそう言われてきました

だからあなたは多分錯覚して
わたしを見ているのです

わたしは
あなたの前から去らなければならないと思いつつ
決意ができずに今まで来てしまいました
なにか残せるものとか
手渡せる財産が欲しかったのです
しかしそれは無理な相談でした
わたしはわたしに
無理だと
やっと
告げたのです

わたしはきょう
自分の無力さを知りました
どうでもいいような存在だと思いました
これは
わたしが目指す私の将来像と
正反対のものです

ここからどれだけ
努力したら
いいのでしょう

こんなことを書いているようでは
永遠に
無理だと言えるのではないでしょうか

そこで
わたしは
あなたへの被害を食い止めるため
ここで
あなたの目の前から去ることにしました

たぶん
そういうことになります
優柔不断な自分ですから
信用することはできませんが

そういうわけで
その決意をここに記し
その証にしようとしているのです

こんなくだらない証が
この世にあっていいものなのでしょうか

ながなが書きましたが
そういうことです

寝て
目覚めたら
わたしは
あなたのことを忘れるために
生きていきます

神様
よろしくおねがいします

2011年5月15日日曜日

仕方がないこと

お金持ちが
お金をもっと儲けたくて
そのための仕組みを作る

悪いことではない
仕方がないことだ

権力者が
権力を保持し続けるため
弱いものから奪い
強い者のスキをうかがう

悪いことではない
仕方がないことだ

人間が生きてゆくため
他の命から搾取し
身内の生活を保護する

悪いことではない
仕方がないことだ

嘘つきが嘘をつき続けるため
嘘に合わせて現実を作り変え
真実は忘れようとする

悪いことではない
仕方がないことだ

気取った人が
いい人になりたくて
不器用な悪人を非難する

悪いことではない
仕方がないことだ

お笑いタレントが
笑いを取るたろに
空気をつかめない人をコケにする

悪いことではない
仕方がないことだ

以上の中から
良いと思うものを選び
その理由を140文字以内で述べよ
最も良いという答えの多かったものを
正解とし
その中から任意に選んだ答えを
Twitterで公開し
人気投票によって
トップになった方を
みんなのお笑いショーにご招待し
素晴らしい賞品を差し上げます

未来の鳥を

あなたと歩いた砂浜を
足の裏が憶えていて
恋しがる

テーブルを挟んで
見あげた空が
まだ あのときのまま
残っている

未来がないように思えたのは
過去があまりにも誘いかけたから

あなたはアイシテルと私に行ったけれど
もうそのことは忘れて
未来の予定ばかりを気にしている

その未来の空には
変わった風貌の鳥が飛んでいる
大きくて愛嬌のある鳥だ
あなたはそれを
つかまえて! 
と叫ぶのだが・・・

2011年5月14日土曜日

slow

階段を12段昇って
12段降りて

あなたの周りを
18回まわって

鍵盤の黒いところだけで
ピアノを弾いて

何度もメールを書いては
下書きに保存した

敗れたシャツで靴を磨き
ホテルに行ってはあなたを置いて帰った

空を見上げて風を心地よく受け
雨に降られるたびに安い傘が増えた

階段を12段昇ってドアを開け
あなたの唇に初めてキスした

消えている

あなたのことを
見失っている間に
私の住む街が
消えてしまった

住民もろとも
居なくなってしまった
それなのに
騒ぐ人は
誰もいなかった

ニュースにもなっていない
ネットで検索しても
出てこない

オロオロしていると
見る間に
あなたがどこにいるのか
という思いが
消えていくことに気がついた

きのうのメールの返事もこないまま
出したことさえあやふやになってゆく

ブログに書き綴った詩のサムネイルだけが
木片のように流れ着く

やっとの思いで
ブログの端っこに貼り付けた
終わりの方は
失くなっている


、、、

私は古い家 建物なので あなたのところへゆくことはかなわい ただ思いをこめて念じるだけだ 私の隣には古い寺があり 今時はツツジの香りが立ち込めている 掃き清められた庭は どこから見ても美しい ツツジの香りの良さを あなたに届けたい そう願って私は念じる あなたがやってくるように ところで 私には 一人の男が住んでいる 私を手入れし磨き上げているうちに 若い一人の娘が やってくるようになり すぐに男と結ばれ...


解説

これより先の部分は見当たりません。きのうコピーした方がいらっしゃれば、データをご提供くださると助かります。
Googleのブログサービスは、一応今しがた復旧したようですが、多くの下書きデータと、昨日以降の投稿とコメントは、見つかりません。