2011年5月5日木曜日

しみじみして

しみじみしてね

しみじみしてね

しみじみと
しみじみしてね

しみじみして
しみじみしてね


しみじみ
しみじみ
しみじみしてね

しみじみと
しみじみ
しみじみしてね

しみいる
しじま
しみじみ
すすいでね

恨みを持って

恨んでいるね

恨んでいるんだね


恨みを持っているんだね

恨みを持って恨んでいるんだね


恨んでね

恨みを持って恨んでね

恨んで恨みを持って恨んでね

恨んで恨んで

売られた喧嘩は
買わんでね

もういいか

静かな時が流れる
もういいか
って思うのは
あなたのくせ

ちやほやされていると
本当の自分が
分からなくなる

思いついたプランは
どれも実現し難く
高度な技とセンスが必要

もういいか
そう言って
諦めるのが常

だれも気にしない
あなたの本心
あなたの真の長所

あなたは
一人ではできない
一人でできることは
とうにやってしまった

それで
いつものように
誰かを誘うのだが
誘う前に
諦めている自分に気づかない

用意されている
もういいか
が 
ほら 出番をまってるよ

2011年5月4日水曜日

きまぐれごめん

いつでもついで
なにかのおまけ
わざわざこない
へんじはおくれ

すすんでもどる
とまってやめる
なくなくとらい
きもちはどらい

こっそりにげる
いるすをつかう
けんかはさける
はなしはしない

おいたてられる
たいろがたたれ
よくよくみれば
だいすきなひと

2011年5月3日火曜日

貝殻の瞳

あなたのいいところは
眼が光るところだ
タイミングよく
光るところだ

相手は背筋をゾゾッと震わせ
もう逃げることはできない

月の光の中で
あなたの眼だけが光り
波音が遠ざかる

時間の縄に縛られた二人は
窮屈に互いの体を行き来する

柑橘系の木の実の香り

どこで弾けたのか
そこここに
散らばり
もう
貝殻と区別がつかない

2011年5月2日月曜日

恋をしよう

春だ、恋をしよう!
とTが言った。

恋をした、春がきた
とYが言った。

春が来たし
恋もしたから
結婚しようと言おう
とRは思った。

春が来たし
恋もしたし
結婚しよう、とも言ったし
赤ちゃんもできたので
このままずっと一緒にいよう
とKは思った。

どれも
みんな
私が知っている話。

別々の誰かの
よくある話。

2011年5月1日日曜日

あなたの影

あなたの影があなたを見上げている

あなたはその影を
見下ろしたことしかない


わたしはあなたを
自分の目のある高さから見ている

忙しそうなあなた
ゆったりしているときも
自分のことを忘れている


影は
あなたを見ている
あなたのことを
よく知っているのに
何も語らない


わたしは
あなたのことを
あなたに語る

あなたは
何を考えているのだろう
その答えは
あなたの中にはないのだ

2011年4月30日土曜日

ライムの香り

寝ているあいだに
あなたのからだに
何度も波がやってきて
連れ去ろうとしたので
目覚めたとき
あなたは疲れきっていた

こんなこと一度や二度ではないだろう

リビングのテーブルについたあなたは
無理やり笑ってくれたけど
ぼくはどうしたらいいのか
わからなかった

昼になって
あなたの手は
火に鍋をかけて
カボチャを煮
イワシを割いて小麦粉をまぶし
料理を作り始めた

大きなワイングラスに
金色の液体を注ぎ
ライムを絞って
さし出した

その一連の動きが
あらかじめ
決められていた
何かの美しい物語のように
僕の目の前にあった

ライムの香り
あなたの手から香ってきた
氷の上で
絞られたライムが見つめていた

2011年4月29日金曜日

竈(かまど)の火

不幸の手紙を自分に出した
なぜか節目に送られてくる手紙
その手紙をそのまま書き写し
自分に出すのだ

私に届いた私が書いた不幸の手紙は
あなたの幸せの役に立つだろう
不幸の手紙はあなたの幸せのために考えられたものだから
私はあなたが幸せになるのを見届けて
どこかに去っていく

居なくなった私は
もう不幸の手紙を書くことはない
ただ残された多くの出せなかった手紙が
あなたの家の竈の火を燃やし
食事の鍋をあたためるだろう

わたしはやっている

詩を生むよりも
生活や仕事を大事にしなきゃと
思っているんだね

両方やれるんじゃないかな
わたしは
やっているよ