なにもなくても
しあわせです
なにもないから
しあわせです
いいえ
ほんとうは
すこしだけあるから
しあわせです
そのすこしだけで
みたされるから
しあわせです
いいえ
ほんとうは
みたされないときも
しあわせです
からっぽがあって
しあわせです
いいえ
ほんとうは
からっぽを
そらにむけているから
しあわせです
あめのしずくも
そらのあおいろも
いれられるから
しあわせです
いいえ
ゆめもやさしさも
からっぽのなかになら
いれられるから
しあわせです
いいえ
いれたものをだすのも
じゆうだから
そんなじゆうが
あって
しあわせです
昔のまちを歩いてる自分を眺め
君にはこんな人生があると
教えてあげた
ただ私は コトバを持たず
笑顔も ヒトの眼差しも持たなかったから
夏の日
汗が紐にしみ込んだ帽子の上に
日差しと天気雨を降らせた
雨水は ミチの色を濃くし
道は雨水を蒸発させようと躍起になっていた
道沿いの桑は君を見下ろし
まちのトタン屋根は
楽器のように音を立て
なんと言っていた?
星空
昨日 バスを降りて見上げた
大きすぎるソラに飾られていたもの
冬という季節のつめたい空気で
ぬるくなった夢を
冷やして
絆やしがらみの細い糸を根こそぎ取り去って
大事な線だけを残してくれる
ワイヤレス通信だが
それでいいと感じられるその線は
見たいと思えば
見ることができる
あたりまえをさがしに
あたりまえをあつめに
でかけてきます
あたりまえにふれて
あたりまえをかんじて
あたりまえをもちかえるために
あたりまえをふくろにつめこみ
あたりまえがくさらぬように
こわれぬように
だいじにもちかえります
あたりまえのものたちは
あたりまえではないうつくしさで
あたりまえにかがやいている
わたしはなみだをながします
あたりまえのなみだなのかは
わかりません
なみだがかれたら
ねむり
あたりまえのように
ゆめをみるでしょう
へやにおいてあるあたりまえのものたちは
なにもかたりません
ただ
わたしがあたりまえのはなしを
かたりはじめました
あたりまえのあなたに
ありきたりのなんでもないひの
ひるさがり
二度と巡り会うことのないひとを
いま失います
くるくるパニック
私を狂わせて
最高のひとを
みすみす手放して
最低の自分を手に入れます
季節変わりの広告が白い歯を光らせて
足元の薄暗い闇の小さなゴミを
見ています
日常茶飯事は
いつでも目くらまし
さあ
言い訳を考えて!
きみが最低の自分を
見捨てずに付き合っていけるように
はい
見極めないで
まぶたに描いたマジックの目で
すべてを見渡せますか
ひとりというとり
かわいいことり
いろとりどりの
ふくをきる
ひとりというとり
さびしいときは
ともだちひとり
よんでくる
ひとりというとり
おっとりしてる
とりつくしまの
いえにすむ
ひとりというとり
とりえはなあに
イスとりゲームは
つよくない
ひとりというとり
じぶんがきらい
とりかえたいな
べつのとり
ひとりというとり
ねむっているよ
ひとりもいない
きみひとり
あなたが声をかけてくれたから
私はもうこのまま死んでしまってもいいと思った
階段を降りながら
速さはつまみで調整するんだ と
言っていたあのひとの指先と立ち姿を頭に描いていた
ふわふわの家猫ちゃん
しっとりとこの世を去るチャンスは
そうは多く来ないでしょう
新しい名前のビルの窓の外の梁から
もうじき雨で濡れるだろう固められた地面へと
真新しい竹とんぼを飛ばす
りんりんりんりん
夜の街に
太陽がいないなら
君が代わりに
りんりんりんりん
はい、おしまい
りんりんりんりん
尖った貝殻
貝に見捨てられ
砂に沈んでいく
はい、おしまい
りんりんりんりん
世の中と
仲間になると
混ざってねっとり
はい、おしまい
りんりんりんりん
りんりんりん
りんりんりん
たまにはみんなで集まって
ワイワイガヤガヤやりましょう
知らないひとがまざっても
きょうは仲間にいれましょう
たまにはみんなで集まって
普段のことを話しましょう
知らないひとがきいたなら
おもしろいなとおもうでしょう
たまにはみんなで集まって
好きなことだけ話しましょう
お喋りするのに夢中なら
自然と夕日は落ちるでしょう
たまにはみんなで集まって
笑顔で手を振り別れましょう
また会いましょうと口々に
後ろ歩きで帰りましょう
きのかげに
だれかかくれているのかな
いいえ
だれもかくれて
おりません
われたきいろいふうせんが ひとつ
おちているだけ
へいのむこう
だれかかくれているのかな
いいえ
だれもかくれて
おりません
みずたまりが かぜにゆれて
わをかいているだけ
くものうえ
だれかかくれているのかな
いいえ
だれもかくれて
おりません
なみのおとが とおくにきえてく
ばしょがあるだけ
夜になると暗くなります
暗くなると夜になります
夜になると夜ご飯を食べます
夜ご飯は夜に食べます
朝になると明るくなります
明るくなると朝になります
朝になると朝ご飯を食べます
でも朝ご飯を食べなくても
朝は来ています
朝が来なくても
朝ご飯がない部屋にも
朝が来ています