2014年5月19日月曜日

みちみちわたしが

いらないものを
すてにいく
みちみちわたしが
いなくなる

こないてがみを
まつよるに
だせないてがみを
かくします

すあしにサンダル
すなけって
ふるあめごとに
わすれてく

あきちのはなに
わらいかけ
まえをむいたら
ないたかお

2014年5月17日土曜日

ぼくが暗い目をしているのは

ぼくが暗い目をしているのは
瞳にさざなみを立たせないため
木陰に身を伏せて
太陽の熱を避け
風も気付かずに頭上を行き過ぎる

ぼくがあなたに近づかないのは
あなたに知られることなく
あなたを見つめるため
いつまでも見つめているため
あなたの何もかもを
吸い込んでしまうため

あなたとの間に物語を作るため
その方法を見つけるため

その奇跡を逃(のが)さないため

2014年5月16日金曜日

また夏が来る

まっていてください
待つ人がいない私を
と 小さな鳥に頼んで
外に出ると
懐かしい木の香りがした

もうすぐ夏なのだ

また
夏が来ることが
私はうれしい
あの輝いていた日々が
また私に訪れるだろうか

答えてくれるものはない
けれども
耳打ちしてくれるもの
チラチラと光って
合図してくれるものがあることに
私は
お礼を言いたくなった

ありがとう
ありがとう

2014年5月15日木曜日

仕事

彼は楊枝の先をとがらせる仕事しています
彼女はマッチ箱にマッチを詰める仕事をしています
二人はいつも一緒にランチを食べます

私の職場は二人とは遠いので
私はたまに仕事を休み
一緒にランチを食べに行きます

私の仕事は
針金を曲げてクリップを作る仕事です

2014年5月14日水曜日

ーーきょうの夢 5月14日

ハザードをつけた車の人が後ろのバスに注意される
男が「今日は碁盤の目の敵討ち」と言いながらスズメを次々に燃や
見ると片方の手のひらに蜂蜜があり火がついている


ーーきょうの夢 5月14日

2014年5月13日火曜日

だれもまだ本に書いたことがないことを 彼は書いていました

だれもまだ本に書いたことがないことを
彼は書いていました

きのうの夕方のことですが
彼は
まだだれも
訪れたことがない島にいました

そこには何故か
木の椅子があって
天板がタイルで作られた机もありました

彼は
その場所にいました
 (今はいませんが)

彼は
今までの人生ではなかったほど
スラスラと 万年筆で
革の表紙のノートに
書いていたのです

いま
彼がどこで何をしているかは
この文を書いている私にも分かりません

ただ
だれもまだ本に書いたことがないことを
彼が書いていたということを
知っているだけです





2014年5月12日月曜日

ネガイ

ミンナニテイル
ミンナオンナジ
スレチガウヒト
アルイテイル
キモチヲカカエテ
ニソクホコウ

アイハアルカ
スキナヒトハイルカ
キライナヒトハイルカ
アキラメテイルコトハ
ドンナコト?

スレチガウヒト
ニドトアワナイ
マタアッテモ
ワカラナイネキット

ミンナニテイル
ミンナオナジ
ジブンダケトクベツ
ココカラミテル
ミンナノコト

ワタシノキモチ
ワタシガミテル
ミテルワタシノキモチヲ
アナタ
オシエテヨ

アナタ
タスケテヨ


2014年5月11日日曜日

ことばでないものでかたるもの

ことばでないものでかたるもの

公園の錆びたベンチの上で
行きずりの風と一緒

目に入ってくる
下弦の月

ツツジが薄暗がりで色鮮やかに
たむろしているのは
いまの私たちとおなじ

誰もいない場所で語ること

原宿駅のホームにせり出した
神宮の杜の緑
その幾千枚の葉

ことばでないものでかたるもの
涙をこぼさずに眠りについたもの

さっき
表参道で行き交っていた人の群れ
ぬるい空気をかすめて
上空を飛来する
尖った鳥の嘴

2014年5月10日土曜日

逃げた鳥

小さいころ
私が窓を開けて逃がしてしまった
妹の鳥が
森林の上空をさまよい飛んでいる

恨み言を言っているのかと思ったら
もうそんなことは言っていないよ
という

ほんとはずっと心配だった
きみのこと
だれにも言わなかったが
わすれることもなかった きみ

いま
太陽の下で
紙に書いて告白します
窓から逃げていったきみの生きる道は
どんなにか
変わってしまっただろう

私が窓から逃げ出したのは
きみのことがあったから
帰る窓は
なくなてしまったけれど
きみが恨んでないと知って
私もきょうから
恨み言を言わずに
生きてゆける

このまちの上空を
さまよい飛んで


こまったもんだい

いぬをハグするおんなのひとが
いぬにかおをなめられている
きれいにけしょうをしていたが
はげてしまっている

わたしは
みてみぬふりをする
わたしはあんなになかのいいひともいなければ
いぬもねこもいない
あのなかのよさは
どこかいたいたしいとかんじてしまうから

ひとしきり
なめられおわったおんなのひとが
わたしにちかづいてきて
あいさつをする

さめたあいさつだ
わたしは
けしょうがはげたはだを
いたいたしくおもうが
おんなのひとは
それをきにしているようすがないので
わたしはじぶんだけがきをつかっていることに
いらいらしてくる

しかしかおではわらっているので
わたしはきっといやらしいにんげんになってしまっているのだ

なんということだ
いぬをはぐして
かおをなめられるおんなのひとのおかげで
わたしは
こころがくもってしまった

どうしたらはれるのだろう
いっこくもはやくおんなのひとからはなれて
すきなジェラードでもぺろつくか

あ まてよ
ジェラードのきもちにわたしいっしゅん
なってしまった
ああ
こまったものだ