幸せをそっちのけにしておいて
それに気づかない人が多い
そしてそれに気づいたときには
もうその幸せはそこにない
メーテルリンクさんが教えてくれたのは
まだ学校に行く前のこと
ルビー色の気取ったカクテルが いま
気取らない幸せを教えてくれた
もう学校も出て街をふらついている私に
君の居場所はそこではない と
2013年12月24日火曜日
2013年12月23日月曜日
ケーキの入った箱を
ケーキの入った箱を
落としてしまいました
やっと手に入れた
大事なケーキ
ケーキは箱の中で
大けがしてしまったでしょう
私の顔からは
笑みがきえました
そのかわりに
涙がとまりません
あなたを守れなくて
ごめんね
強くなりたいと
願った夜
落としてしまいました
やっと手に入れた
大事なケーキ
大けがしてしまったでしょう
笑みがきえました
そのかわりに
涙がとまりません
ごめんね
願った夜
2013年12月22日日曜日
私の中に
泥水の中に落ちた
大事なもの
私の手を引いてくれたから
私
我に返った
太陽の光を跳ね返して
眩しかった
私の
大事なもの
泥水の中で
輝いていた
泥水の中から
私は
拾い上げた
泥でよごれてしまったけれど
それは
もっと大事なことを
話してくれた
私の中に
残った
その 輝き
大事なもの
私の手を引いてくれたから
私
我に返った
眩しかった
大事なもの
泥水の中で
輝いていた
私は
拾い上げた
泥でよごれてしまったけれど
それは
もっと大事なことを
話してくれた
私の中に
残った
その 輝き
2013年12月21日土曜日
記憶
あなたの顔は
なつかしい村
私はそこで
暮らしてた
泉の水で喉を潤し
水鏡でいい顔を作った
防風林をかき分け
砂浜に転がり遊んだ
小高い山に登り
しっとりした驟雨を浴びた
洞窟を覗き込み
コウモリのねぐらを見つけた
あなたの声は
到来(アリバダ)の知らせ
波打ち際に
一万の亀たちが上陸した
月は姿を隠し
影は命を満たした
私はあなたを縛り
あなたは一切の夜の記憶をほどいた
2013年12月20日金曜日
少年
*
みんなのまえでうたった暗い歌
聴かせたくない人がいた
弱い者をみていた弱い自分
夢の中で遠くまで出かけた
外の宇宙と相談している
人差し指が覚えているそのなつかしい人
みんなのまえでうたった暗い歌
聴かせたくない人がいた
*
強いものの陰に隠れ弱い者をみていた弱い自分
*
寂しさのうえに横たわり夢の中で遠くまで出かけた
*
自分の中の宇宙が自分を介して外の宇宙と相談している
*
木の机に刻まれていた知らない人の名前人差し指が覚えているそのなつかしい人
2013年12月19日木曜日
少し背伸びを
白い椅子に
空気が座っている
ほおづえをついて
私の話を聴いている
もうだいぶ長い時間が過ぎた
私は
さっきとまた同じ話をしている
空気が
あくびした
私は席を立って
改札口へ向かった
カードをかざすと
そこから数字が抜かれて
小さくなった
肩をすぼめていた私は
すこし
背伸びをしてみた
空気が座っている
ほおづえをついて
私の話を聴いている
私は
さっきとまた同じ話をしている
あくびした
私は席を立って
改札口へ向かった
そこから数字が抜かれて
小さくなった
すこし
背伸びをしてみた
2013年12月18日水曜日
きいろいくまさん
きいろいくまさん
わらっているよ
ひとりぼっちで
ソファーにすわって
きいろいくまさん
なかないでね
わたしもひとり
ゆうごはんはパン
きいろいくまさん
どこかにいこう
だれもこれない
かなたのさとへ
きいろいくまさん
つかれてねむる
わたしもねむる
ほしぞらがいっしょ
2013年12月17日火曜日
ほしいもの
いま食べるための
ひときれのパン
いま喉を潤すための水
いま伝えなければならないことを知らせるコトバ
それをささえる勇気
私はほしい
パンでなくてもいい
水でなくても
コトバでなくても
勇気さえなくてもいい
いま
私がここに生きていくために
必要なもの
それがあれば
宇宙からの問いを
問いのまま受け入れることの大事さを
忘れることはない
流れる水さえ
止めることができる
一枚の写真に収まってしまったように
宗教画の一部となってしまったように
私は風景の一部に
積極的に加担する
黄金比のポーズさえキメて
ひときれのパン
いま喉を潤すための水
いま伝えなければならないことを知らせるコトバ
それをささえる勇気
パンでなくてもいい
水でなくても
コトバでなくても
勇気さえなくてもいい
私がここに生きていくために
必要なもの
宇宙からの問いを
問いのまま受け入れることの大事さを
忘れることはない
止めることができる
一枚の写真に収まってしまったように
宗教画の一部となってしまったように
私は風景の一部に
積極的に加担する
2013年12月16日月曜日
きょうのぼく
いきているかちがない
しんだほうがましなぼく
しぬかちもない
いきているほうが
なみかぜがたたないぼく
いのちをつながない
かくんやいえもつがない
たちきるぼく
わるいせけんには
だまされてばかり
いいひとをまもれない
むりょくなぼく
ごみのかちもない
にさんかたんそをはいしゅつするぼく
はやくつちとまじって
しょくぶつになりたい
あわれでみにくいぼく
しょくぱんをたべるとき
おいしいとかんじる
そのことをだれかに
プレゼントしたい
きょうのぼく
しんだほうがましなぼく
しぬかちもない
いきているほうが
なみかぜがたたないぼく
いのちをつながない
かくんやいえもつがない
たちきるぼく
わるいせけんには
だまされてばかり
いいひとをまもれない
むりょくなぼく
ごみのかちもない
にさんかたんそをはいしゅつするぼく
はやくつちとまじって
しょくぶつになりたい
あわれでみにくいぼく
しょくぱんをたべるとき
おいしいとかんじる
そのことをだれかに
プレゼントしたい
きょうのぼく
2013年12月15日日曜日
しにゆくひとは
きょうは、谷川俊太郎さんの誕生日。毎年それを祝い詩を書くのですが、
この詩は違います。
しにゆくひとは
しにゆくひとは
すんでいる
にごりすぎて
すみわたる
みなもになにかをなげいれても
なみはたたず
なにもかもをしまいこむだけ
おともきこえてこない
この世でノイズを聴きすぎたので
もう音はたたない
ただかすかな色彩が
ゆうぐれて
漂ってくる
しにゆくひとは
方向音痴になっていく
三半規管も不要であるから
回路を切ったのだろう
走馬灯のようなおもいでが
走馬灯のように回る
意味が重なってしつこくなっても
意味は無意味に行きついたので
自由だ
しにゆく人が
死にゆきつくまで
あとどのくらい時間があるのか
答える神様はいない
死にゆく人は
死にゆく人になりきり
世間をつんざいて
血潮で線を描く
道に喩えることができる
無粋な比喩は
苦いくすりのように
何かに効き目がある
とは
言えないだろう
この詩は違います。
しにゆくひとは
しにゆくひとは
すんでいる
にごりすぎて
すみわたる
みなもになにかをなげいれても
なみはたたず
なにもかもをしまいこむだけ
おともきこえてこない
この世でノイズを聴きすぎたので
もう音はたたない
ただかすかな色彩が
ゆうぐれて
漂ってくる
しにゆくひとは
方向音痴になっていく
三半規管も不要であるから
回路を切ったのだろう
走馬灯のようなおもいでが
走馬灯のように回る
意味が重なってしつこくなっても
意味は無意味に行きついたので
自由だ
しにゆく人が
死にゆきつくまで
あとどのくらい時間があるのか
答える神様はいない
死にゆく人は
死にゆく人になりきり
世間をつんざいて
血潮で線を描く
道に喩えることができる
無粋な比喩は
苦いくすりのように
何かに効き目がある
とは
言えないだろう
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