2012年11月27日火曜日

福永令三さんの訃報に接し

児童文学の作家、福永令三さんの訃報に接した。福永さんとはいろんなことを一緒にやらせていただいた。福永さんの新作の本のシリーズを出版すること。そして新人の児童文学作家を発掘し、世に送り出すこと。とても時間がかかる根気のいる仕事をご一緒にさせていだだいた。何度も熱海のお宅に伺って、ケーキを食べながら思いをめぐらせ、お話をした。福永さんが読者からのファンレターを宝物のように大事にしまっているのをみせていただいたことを思い出す。あのすばらしい笑顔。最初の待ち合わせのために送られてきたご自分の写真。私に詩を教えるために書き込みを入れて送ってくださった詩集。奥様のやさしい声まで。何度も私のやっていた出版社にも足を運んでいただいた。つぎつぎと思い出される。そして、私の出版社がなくなるときに電話で交わしたわずかな言葉。83年の生涯が幸せであったことを祈ります。当時の仲間たちと、あの坂を上ってまた会いに行きたい。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A6%8F%E6%B0%B8%E4%BB%A4%E4%B8%89

2012年11月26日月曜日

ソファに座ったまま

ソファに座ったまま
やっちゃおうというのか
窮屈で強く凭れたりして
いつもと違うのもいいけれど
僕たち初めてだよ

きみは縛られた写真をチラッと見せたりして
なかなか挑発もうまいね
飢えたワンちゃんみたいに
まっしぐらさ

アロマキャンドルを幾つか灯して
古いイタリア映画点けっぱなしにして
ぼくに服を捲り上げさせるなんて
ブラが結び目の解けないギフト包装みたいで
割いちゃいたくなる
それも当然狙いだね

きみの声はなんてかわいいんだ
甘え上手なのは
匿さないんだ

ソファが湿り気を帯びて
舌が絡み合う音も
初めてのようだ

深い息を吸って
きみはなにかのチャンスを狙っているのか
途方に呉れる遠い道のりを
駆け上がっていくんだ
これから

カーテンを閉ざして
二人だけになろう
実況中継はやめて
誰かにまかせておけばいいね

2012年11月25日日曜日

けつまくりたまえ

けつまくりなさいよ
けつまくりたまえ
つまりまくるけつ
きみつかみ
かみつかずつつみいれ
つかみかからずつつがなく
つみつくらず
もちもつきもうそつきもせず
つらくなくつらくあたらず
つみれなべつつにつきいれ
なべしきにつつみこむことなく
きみ
けつまくりみなけつまくり
つっぱらずつづけてつんのめることつつしみ
つきすすんでつつしみつつけつまくりなさいよ
けつまくりたまえ
けつまつまで
けつまくりたまえ

シマシマお尻

うきうき浮世
飽き飽き秋よ

シマシマお尻
ますます祭り

ふわふわ服は
わくわく和服

むんむん蒸れる
るんるんするの?

「死のうとしたときに」に中村ゆき子さんから寄せられたコメント

あなたはどこの崖の上にたっているのですか?

私の、家の近くに101才の老人が一人でくらしています。
畑の中のプレハブで。呼び鈴がきこえないのでアルミのドアにはけん玉の木の玉がつってある。
元気ですかと訪ねると、「猫ちゃんと一緒に楽しく暮らしております」と答えた。
老人は野良猫にエサをやって可愛がっています。
ある夏の大雨の日、プレハブの家は水に浸かってしまい、おじいさんは息子夫婦の元へ引き取られていきました。
その後もアルミのドアの前には、からのエサいれと一緒に野良猫が・・・・

この話の続きをあなたに聞いてもらいたいのです。、だから私が行くまで空でも眺めながら待っていてほしいのです。


※マツザキより これはブログの読者、中村ゆき子さんから、先日11/23の詩に対して寄せられたコメントです。中村さん、ありがとうございます。皆さんに読んでいただきたくて、そのまま転載させていただきました。

2012年11月24日土曜日

あれからどうだった

夢の途中で何度も起きた
いつのまにかうたた寝してしまう夢を見ていた

サンダルを突っかけて
近所の川まで写真を撮りに行った
帰り道に
いそいそとカメラを持って川まで歩いたことを思い出しながら

お茶漬けにお湯を注いで
マイナスを掛け算した

予約タイマーで
昨日の番組を予約したのは
今日になってからだった

テレビをつけると
カーター大統領が演説している
あさっての飲み会に誘われていることを思い出した

カメラを持って出かけよう
しばらく会っていない友だちと
あれからどうだった?
という話をしよう

2012年11月23日金曜日

死のうとしたときに

死のうとしたときに
ふと違うアイディアが浮かび
引き返そうとした人

映画の主人公みたい
気取って
崖の上に立つ

苦しいことが晴れた空に蒸発する
というのは勝手な幻想
じりじりと心を焦がすだけだから

突風にあおられて
髪の毛が乱される
懐かしい香りが
鼻の奥を突いて
背中をなでてくる

時は流れているので
頭の中で続けられる描写は追いつかず
自然とあきらめてはまた始める

エンディングテーマが流れ始めた
なかなかいい曲だ
この曲にふさわしいラストシーンに
視界のすべてが巻き込まれてゆき
フェードアウト

2012年11月22日木曜日

入っています

お財布の中に
小銭が少し入っています
お財布が
隠しているものは
なんでしょうか

セーターの中に
おとなが一人入っています
なぜ入って
いるのでしょうか
ほかに取替えは利かないのでしょうか

熊の中に
サーモンが一匹入りました
サーモンは
なにを
考えていたのでしょう

子供の中に
お姫様が一人入っています
大人になったら
出られなく
なるのでしょうか

毛虫の中に
蝶の子どもが
入っていますか
おたまじゃくしに
きいたら
教えてくれるでしょか

ツクバネの実に
落下傘部隊が入っています
競争したら
どちらが
負けるのでしょうか

2012年11月21日水曜日

小さな声で話すのは

小さな声で話すのは
秘密のようにしたいから
恥ずかしそうに話すのは
あなたをくすぐってみたいから

やましいことはありません
やましいこともしたいけど

2012年11月20日火曜日

クレマチス

去年のきょうから一年が経ちました
一年前のきょうも同じ11月20日でした
11月20日はやわらかい日差しで
きょうのこの辺りを明るくしています
分け隔てなく日陰以外を照らしています

地震で壊れた街は新しい建物が建ち未来都市が姿を現そうとしています
ビルの間の青空を雲が流れて行きます

ランチタイムに人びとがレストランに大挙して訪れ
壮年の旅人たちはゆったりすることを楽しんでいます
地ビールを喉を鳴らして
満足そうな表情を満面にたたえています

時間は流れているのでしょうか
今が永遠のようにその辺に佇んでいます

スマホを覗き込めば友達たちが会話をしようと仕掛けてきます
手にした端末で心がつなげられ
実際の居場所より近くに居るようです
何が実際なのか
チラと考えたりします

来年のきょうは人びとは何をしているでしょうか
あの人やこの人やその人は
今と同じことをしているでしょうか
いや
多分していないし
しているのだと流れる雲のように考えます

コーヒーを飲み終えた人が
店を出て
次の居場所に移動して
さっきまで一緒にいた人のことを忘れてゆきます

だがまた思い出すこともあるでしょう
思い出さない人は
忘れていますが
思い出したときには
忘れていたことに気づくでしょう
思い出された人は
どこで何を思っているでしょう

誰も何も何かを答えてくれません
誰も何も答えようとしません

新聞の紙面に記者は他人事を記しています
新聞はこの日に置いていきましょう
明日には明日の新聞が配られるので
溜まりすぎないようにした方がよさそうです

まあそんなところです
私もバスに乗らなくてはなりません