2012年10月13日土曜日

夢から覚める前に

夢から覚める前に
いそいでアイスカフェオレを喉に流し込んだ
まだほとんど飲んでなかったので

ベッドのうえで
きのうの宿題を思い出そうとしたが
どこに置き忘れたのか
どうしても思い出せない

青空にキンモクセイが香っていた
あの少し肌寒い日に
鉢合わせして出会ったあの人は
何をしているだろう

ぼんやり部屋なかを眺めたら
そこは自分の部屋ではなかった

2012年10月12日金曜日

ものうげなあのこ

すきまからのぞいてごらん
ほんとうのことがわかるから

こえをだしちゃいけないよ
みつかったら
つかまってかえれなくなる

あのこはうつくしいかおをしているが
おそわれていらい
ひがおちると
こころがおにになってしまう

じぶんでもきづいていないらしい

あのこのおおきなひとみは
うるんで
だれもがみとれるが
ときどきまっかにそまり
あいするものを
みつめころしてしまう

あいしてもあいしても
しらぬうちに
あいてをころしてしまう

そのきおくは
あさになるときえてなくなるから
あのこは
ちゃんとあいさつして
ひとびととうまくやっている

さあ
いま
すきまからのぞいてごらん
ものうげなあのこは
なにをしているとおもう?

2012年10月11日木曜日

おなかをすかせて

じんせいは おなかがすく
いっぱいたべたら
まんぷくになる
おなかがすいたら
なにかをたべる
なにかをたべると
なにかはどこへ?
なにかは
おなかのなかへいき
おなかをすかせて
きえていく
ぼくにはゴハンが足りないのです
もっとおかずも食べたいのです

2012年10月10日水曜日

すきなひとが

すきなひとが
となりでねむっています
あなたは
なぜかねむらない

あなたは
なにをのぞんでいますか
ほしいものが
あるのですね

ふたりは
ずっといっしょです
いままでも
そしてこれからも

あたらしいものが
ふるびて
やさしくなっていきます
うるさいことを
いわなくなります

そらは
うえにありつづけて
おちてきません
すいへいせんの
したにあるそらは
かくれたままです

あなたは
なににかくれていますか
だれかのかげにですか
それとも・・・

2012年10月9日火曜日

あなたはうつ病さえ

あなたは
あなたの優しい性格で
うつ病さえ迎えいれたのですね

あなたは
あなたの優しい性格を
失わないまま
少しずつ強くなって
たまに知らん顔で
辛いこともやってのけている

木綿の衣服を
じゃぶじゃぶ洗って
汚れをおとし
お日さまにさらして乾かして
いつの間にか身に纏って走り回っている

あなたのことが好き
あなたは
あなたの優しい性格を
周りの人につかっているが
誰につかったのかはもうわからない

それほど
無尽蔵につかい続けている

2012年10月8日月曜日

なつかしさを求めて

なつかしさを求めて
この丘にきたんだね
そういう顔をしているよ
暇人みたいだよ

2012年10月7日日曜日

詩の友だち

彼は詩の友だち
私がこうして詩を書いているとき
彼もまた詩の中にいる

詩は永遠の欠片のように
心に突き刺さっいる

夢の中で探し当てた
いい方向へと向かう道が
雲に覆われた月のせいで
見えなくなっているけれど

平気な顔をしているのは
信じているから
信じられる何かを

2012年10月6日土曜日

その香り

私はじっと座っているだけだった
座って花の香りを吸い込んで
うっとりと目を閉じていた

いや
目を閉じてはいなかった
私は
劇場の舞台に目をやって
心地良い歌声に心をさ迷わせて
浸っていた

暗転が暗闇を投げかけてくる
拍手が静寂を破って
あふれだす

私の胸を満たしたその香りは
記憶の中に沈んで
未来の明るい日差しを投射してくる

時は
劇場の微風を吸い込んで
ゆるやかに速度を早め
舞台の奈落の上空を渦巻いて
ただ爽やかに過ぎ去っていった

2012年10月5日金曜日

何度思ったことか

死んでお詫びしたいと何度思ったことか
死んでもお詫びできないと何度思ったことか
死んだらさらに迷惑がかかると何度思ったことか
死ぬより死んだ気になったほうがいいと何度思ったことか
死んだ気でやるのは死ぬより大変だと何度思ったことか
死ぬなんて口走る自分は死ぬに値しないと何度思ったことか
死んでも何も良くならないと何度思ったことか
死んだら誰かが喜ぶだろうと何度思ったことか
死んだら喜ぶ誰かのためにも死ねないと何度思ったことか
死んだふりして死なないのもいい手だと何度思ったことか
死なないふりして死ぬのは意味がないと何度思ったことか
死んだら死にたくない人の力になれないかと何度思ったことか
死ぬなら首を吊ったらどうかと何度思ったことか
死ななくてもいい人生はなんて素敵なんだと何度思ったことか
死んだら誰が葬式に来てくれるだろうと何度思ったことか
死んでも葬式はみすぼらしいだろうと何度思ったことか
死んだらまた生まれかわるのだろうかと何度思ったことか
死ぬよりいい途はないものかと何度思ったことか
死ぬ時何を思うだろうと何度思ったことか
死んだらあのひとはどう思うだろうと何度思ったことか
死なないで生きていこうと何度思ったことか
死なないでいるうちにいつか死ぬのだろうと近頃何度思ったことか