2012年9月16日日曜日

おととし 2010年12月23日木曜日に書いたもの


眼差しを留めるもの

誰も自分のことなど解ってくれない
そんな眼差しが
道端の枯葉を見つめていた

枯葉は思った
木に茂っていたころ
同じ瞳がわたしを見上げていた と

雨が降り
風が吹いて
星が綺麗な夜に
枯葉は木から落ちた

枯葉が居なくなったところに
小さな空ができた

その空は
孤独な眼差しに満たされるのを
待って木に引っかかっている

2012年9月15日土曜日

学校に行きたくなくても

学校に行きたくなくても

行かなくては という気持ちが強かったせいで
行きたくない気持ちは匿れてしまい見えなかった

そんな時
どんな気持ちで学校に行っていたのか
鉄面皮のような心で歩いていったのか

何かの気持ちに別の気持ちが匿れてしまい見えないこと

眠りながら考え事をしている時
たとえば
思いが上へと昇っていき
心が放置されてしまう時
体と心は思いが戻ってくるのを待っているしかない

カルカヤという草が紅く色づいているのを
Facebookの画面で見たら
秋の訪れを教えてくれたけれど
Facebookの画面の光の点は先生か季節の伝道師なのだろうか

自分の中のセンサーも季節の移り変わりを感じていたけれど
その画面に多くの人が秋の来訪の話題を書き込んでいた

ドアを叩く音がした
誰かが拳で叩いているのだろう
その音が響いている
その音は心もノックする
心は砕けてしまわないか
それとも心もドアをあけるのか

2012年9月14日金曜日

大切な人

近くにいる
大切な人を
大切にしようと
思っているんだね

思っている
だけなんだね

2012年9月13日木曜日

秋の小川

詩人の傍らを静かに時間が流れている
それは本流ではなく支流だ
秋の小川だ

あの有名な
春の小川という唄が
この秋の小川を作りだしたことを
詩人は知っている
知ってはいるが
そのことについては黙っている
そう決めている
それは詩の世界の裏事情だから

詩人は黙って
秋の小川の音を聴き
冬の凍った小川のことを考えている

今年
夏の小川は渇水のため
川は干からびていたので
来年の夏の小川のことも本当は気になり始めている

詩人は自分の打った文字を見ながらいつも想う
詩の一行は
長くなると川になってしまう

川になると
水滴に戻るのは一苦労だ
雲になるよりも難しいのではないか

一日中
ぼんやり景色を眺めながら
詩人は成り行きのことを考える
私はどこに流され何に
還ってゆくのか

秋の小川はきっと
ささやきかけて
教えてくれるのではないか
言葉ではない方法で

2012年9月12日水曜日

頭の中に充満しているもの

頭の中に
何かが充満し
逃げ場を探している

皆んながそのことに
かかりっきりなので
いろんなことが手薄になる

トーストを食べている途中で
ハチミツを取りに行ったまま
戻らないあの人は
いま
電車に揺られて
乗り換えるのも忘れて
とうとうどこにも辿りつけなかった

頭の中に充満しているものを
順番に退出させ
その行列を見ていたら
眠っていることも忘れて
用事のある先に電話をしていた

相手は驚いて
私は誰かを尋ねていた

2012年9月11日火曜日

スキマナクウメテシマワナイデ

スキマナク ウメテシマワナイデ
クウキ ガ ナクナッテシマッテ
イキグルシイ デス

イキガデキナイト
アナタガウマレタ コノ キセツノ
ハナノカオリ モ
アメノアトノクウキノカオリモ
カゼガハコンデクル トオイウミノカオリモ
ムネニ スイコムコトガデキマセン

ムネハ イイカオリヲ
モトメテイマス
ワタシノココロトオナジデス

アナタガ イナクナッテ
モウ イチネンイジョウガ タチマシタ
ワタシニトッテ トテモトテモ ナガイジカンガ
スギマシタ

コレカラ ナンドモ キセツハヤッテキテ
ソノタビニ ワタシハ トシヲトルノデショウ

スキマナク ダレカガ ウメヨウトシマス
アナタト ワタシノアイダノ カラッポノ クウハクヲ
ダカラ イキグルシイノデス

ワタシヲ ミタシテ シマワナイデ
ワタシハ スキマヲカカエテイタイノデス

カエラヌアナタヲ マツタメデハアリマセン
ナンノタメカハ ワタシニモ ワカラナイノデス

2012年9月10日月曜日

みんなが言わないことのほうを

明るいほうがいいと
みんな思っているのかな
 

暗いほうがいいと
思わないのかな

暗いほうがいいよ

元気なのもいいけど
おとなしいほうがいい

偉そうに見えるより
侘(わび)しくみえたほうがいい
自信がなさげで ひねくれていて・・・

そのほうが好きだ って
誰かが言っていた

みんなが言うことだけじゃなく
言わないことのほうを
聞いたほうがいい





そこに置いて
 
暗い顔をして

雨上がりの

緑の

木々を見ているね

暗い気持ちを

そこに

置いて行きたいと

思っているんだね




2012年9月9日日曜日

この道 いこうか 帰ろうか

この道 いこうか 帰ろうか
帰って 脇道探そうか

この道 いこうか 帰ろうか
だれかを追い越し 進もうか

この道 いこうか 帰ろうか
いくと帰るは どう違う

この道 いこうか 帰ろうか
荷物を取りに 戻ろうか

この道 いこうか 帰ろうか
迷うと ゆっくり足になる

この道 いこうか 帰ろうか
トンボにきいても 知らぬ顔

この道 いこうか 帰ろうか
夕日か背中をあたためて

この道 いこうか 帰ろうか
いつになったら どこにつく?

この道 いこうか 帰ろうか
父もこの道 いったのか

この道 いこうか 帰ろうか
誰が留守番役だろう

この道 いこうか 帰ろうか
くるひもくるひも同じよう

この道 いこうか 帰ろうか
狂っているのは誰かしら

この道 いこうか 帰ろうか
道案内はひとでなし

この道 いこうか 帰ろうか
気付いたときは歩いてた

この道 いこうか 帰ろうか
歩く速度を変えようか

この道 いこうか 帰ろうか
熊も一緒に歩きた出す

この道 いこうか 帰ろうか
それとも止まって 果てようか


2012年9月8日土曜日

真新しいノートの1ページに

いつも ノートを
最後まで使えずに
母に小言を言われ続けていた

そのせいか
靴下を
もう使えなくなるまで履きつぶして
いよいよ捨てるとなると
記念写真を撮ることになる

靴下だけではない
衣類のほとんど
消耗品のほとんどだ

そうして
私の周りには
最後まで使い終わったものたちの写真が
ひしめき合って大挙することになる

最近その中に加わったのは
醤油瓶
トイレットペーパーの芯
靴下だ

私は私を使い切りたい
写真を撮ってもらい
真新しいノートの1ページに
願わくば
貼り付けられたい

2012年9月7日金曜日

便利なもの

便利なものですが
壊れると厄介です
捨てるのがたいへんだから

燃やしたあと土中に埋めるか
海に撒いて沈めるか
よく考えなくてはなりません
誰に相談したらいいのでしょう

ずっとあの場所に
光る布に包まれて置かれている
あの人に尋ねたら
答えが見つかるでしょうか