よろしく
すきま風
よろしく
気になる奴
寒いじゃないか
でも よろしく
すきまを通るの
たいへん
入って
もと通りになるの
人の形してるの
似てるの
淡雪と一緒だったのに
すきま風だけ
すきまから
入ってくる
淡雪とはお別れ
隙間と知り合って
お別れの心に
すきま風
ストーブつけたら
すきま風
温風になる
人は何になれるだろう
2010年12月29日水曜日
2010年12月28日火曜日
気分屋さんの気分
鎌倉に行きたいと美穂はいう
だが鎌倉への道は分からない
海辺をスイーッと行きたいと美穂はいう
だがスイーッといける筈がない
窓の外は冬の景色
美穂はあたたかい部屋の中に居て居心地が悪そうだ
プリウスにはナビが付いているから
すぐに飛び出して鎌倉に行こうという
なぜ鎌倉なのかは話してくれない
鎌倉に行って何をするというのか
寒空の下 ぶらぶら街を歩き回るのだろうか
立ち食いしたり買い物をしようというのか
まあそれもいいのかも知れないが
夜になったらホテルにでも泊まろうというのだろうか
気分転換のために
それともまた海辺の道をスイーッと戻ってくるつもりなのか
美穂はしかしもう飽きてしまったようにあくび顔だ
10秒で変わってしまう美穂の気持ち
なかなか変わらないわたしの気持ち
天秤にかけたら…
と 思っていたら
美穂が小さくあくびをして
大江戸行こうか と言った
大江戸温泉物語になぜ行かなくてはならないのだろう
だが鎌倉への道は分からない
海辺をスイーッと行きたいと美穂はいう
だがスイーッといける筈がない
窓の外は冬の景色
美穂はあたたかい部屋の中に居て居心地が悪そうだ
プリウスにはナビが付いているから
すぐに飛び出して鎌倉に行こうという
なぜ鎌倉なのかは話してくれない
鎌倉に行って何をするというのか
寒空の下 ぶらぶら街を歩き回るのだろうか
立ち食いしたり買い物をしようというのか
まあそれもいいのかも知れないが
夜になったらホテルにでも泊まろうというのだろうか
気分転換のために
それともまた海辺の道をスイーッと戻ってくるつもりなのか
美穂はしかしもう飽きてしまったようにあくび顔だ
10秒で変わってしまう美穂の気持ち
なかなか変わらないわたしの気持ち
天秤にかけたら…
と 思っていたら
美穂が小さくあくびをして
大江戸行こうか と言った
大江戸温泉物語になぜ行かなくてはならないのだろう
2010年12月27日月曜日
古い友だちが訪ねてきそうな日
古い友だちが訪ねてきそうな日
二度と帰らない旅支度をしている
古いカバンに 持っていきたいものを出したり入れたりして
どんよりと曇った空の隙間から
濃い青色の空が覗いている
あの辺りから
虹がかかるだろうか
今日は特別な日らしい
何処かに置き忘れ
置き忘れたことさえ忘れていた日記帳が
突如あっけらかんと出現して
続きを書けと促してくる
続きなんて書ける筈ないのに
あしたになれば
この世界に私の痕跡はないだろう
その逆に
私の胸には深い傷が刻まれているだろう
小さい頃に見た柘榴の裂け目の鮮やかさに似た
そしてその傷の痛みのために
私のカラダは軽くなっていくだろう
友だちはそのことを察してやってくるのだろうか
古い友だち
どこからやってくるのだろう
今頃
近くの駅に着いただろうか
木の机の上で腕組みして
きょうは色々なことを考えている
不思議といつものような堂々巡りはせずに
一方通行で進んでいく思考
私には
色々なことが分からない
花火を見ている気分になってしまう
色々なことは何を意味しているのだろう
問いがいっぱいの頭の中に
もういいよ という声が通り過ぎる
そのせいで
私は深く考えるのをやめる
静かな町に
太陽が巡っていく
風は遠近法の中で通り過ぎ
思いは井戸水のように
汲み上げれば美しく輝き
私が外へと踏み出し歩き始めるとき
私は静止し
私以外のものが
動き始める
私が存在しなかったときと同じように
二度と帰らない旅支度をしている
古いカバンに 持っていきたいものを出したり入れたりして
どんよりと曇った空の隙間から
濃い青色の空が覗いている
あの辺りから
虹がかかるだろうか
今日は特別な日らしい
何処かに置き忘れ
置き忘れたことさえ忘れていた日記帳が
突如あっけらかんと出現して
続きを書けと促してくる
続きなんて書ける筈ないのに
あしたになれば
この世界に私の痕跡はないだろう
その逆に
私の胸には深い傷が刻まれているだろう
小さい頃に見た柘榴の裂け目の鮮やかさに似た
そしてその傷の痛みのために
私のカラダは軽くなっていくだろう
友だちはそのことを察してやってくるのだろうか
古い友だち
どこからやってくるのだろう
今頃
近くの駅に着いただろうか
木の机の上で腕組みして
きょうは色々なことを考えている
不思議といつものような堂々巡りはせずに
一方通行で進んでいく思考
私には
色々なことが分からない
花火を見ている気分になってしまう
色々なことは何を意味しているのだろう
問いがいっぱいの頭の中に
もういいよ という声が通り過ぎる
そのせいで
私は深く考えるのをやめる
静かな町に
太陽が巡っていく
風は遠近法の中で通り過ぎ
思いは井戸水のように
汲み上げれば美しく輝き
私が外へと踏み出し歩き始めるとき
私は静止し
私以外のものが
動き始める
私が存在しなかったときと同じように
2010年12月26日日曜日
19分の詩
2318
自分を満足させるために
自分はどうしたら良いのだろう
2319
あたたかい部屋でテレビを観ている
ホームレスに同情できるか
心のホームレスに
2320
もうすぐ電車が出発する
夜行列車は何処を走っていくのだろう
地図で追わず
心の中で追ってみると
あの日の風景が流れていく
目的地はどこだろう
2321
カップラーメンをたべよう
お湯を沸かそう
2322
冬になると首筋がかゆい日がある
変わらずにいてくれるものが
ありがたいと思う時がある
2323
兄さん兄さん
姉さん姉さん
2324
兄さんに死
2325
お湯を注ぐ
食欲がなせる技
お湯を注ぐと
ラーメンができる
できたら食べることが
予想されている
2326
一分に一個書きながら
ラーメンを食べるのは
46年間生きてきて初めての体験だと気づいた
2327
23時37分になったら
アップする
いつものように推敲は後回し
僕の人生みたいに
2328
雪でバスが立ち往生している
立ち往生という懐かしい響きに
安心感を覚える
立ち枯れの木々
たったままの椅子
座ったままの一日
2329
電話代がたまったまま
定められた期日が来ると
人類社会から
切り離される
また1本
2330
カメラを向けると
カメラ用の顔になる人
ならない人
気まぐれな人
あなたの好きな人はどっち?
2331
ほっぺ先が
ピーンといっている
2332
首吊りブランコって知ってる?
誰かがが毎朝漕いでるやつ
2333
ゴミを捨てに行かなければならない
ゴミ捨て場に きょうも
分別して捨てなければならない
種類ごとに出す日が決まっている
そうか
そうすればいいのか
2334
捨て方が問題だ
尖った夢は
2335
きょうは君の香りがバスルームに溢れていた
みたことのない花の香り
2336
もうすぐきょうが終わる
この夜に暮らしているみんなのきょうが
明日が来ないことはないだろう
みんなが信じているから
きっと明日は来るのだろう
絶望的な明日でも
希望が持てる明日でも
とにかくやってくる
絶望と希望が同義語に思える人にも
自分を満足させるために
自分はどうしたら良いのだろう
2319
あたたかい部屋でテレビを観ている
ホームレスに同情できるか
心のホームレスに
2320
もうすぐ電車が出発する
夜行列車は何処を走っていくのだろう
地図で追わず
心の中で追ってみると
あの日の風景が流れていく
目的地はどこだろう
2321
カップラーメンをたべよう
お湯を沸かそう
2322
冬になると首筋がかゆい日がある
変わらずにいてくれるものが
ありがたいと思う時がある
2323
兄さん兄さん
姉さん姉さん
2324
兄さんに死
2325
お湯を注ぐ
食欲がなせる技
お湯を注ぐと
ラーメンができる
できたら食べることが
予想されている
2326
一分に一個書きながら
ラーメンを食べるのは
46年間生きてきて初めての体験だと気づいた
2327
23時37分になったら
アップする
いつものように推敲は後回し
僕の人生みたいに
2328
雪でバスが立ち往生している
立ち往生という懐かしい響きに
安心感を覚える
立ち枯れの木々
たったままの椅子
座ったままの一日
2329
電話代がたまったまま
定められた期日が来ると
人類社会から
切り離される
また1本
2330
カメラを向けると
カメラ用の顔になる人
ならない人
気まぐれな人
あなたの好きな人はどっち?
2331
ほっぺ先が
ピーンといっている
2332
首吊りブランコって知ってる?
誰かがが毎朝漕いでるやつ
2333
ゴミを捨てに行かなければならない
ゴミ捨て場に きょうも
分別して捨てなければならない
種類ごとに出す日が決まっている
そうか
そうすればいいのか
2334
捨て方が問題だ
尖った夢は
2335
きょうは君の香りがバスルームに溢れていた
みたことのない花の香り
2336
もうすぐきょうが終わる
この夜に暮らしているみんなのきょうが
明日が来ないことはないだろう
みんなが信じているから
きっと明日は来るのだろう
絶望的な明日でも
希望が持てる明日でも
とにかくやってくる
絶望と希望が同義語に思える人にも
2010年12月25日土曜日
ノック
ノックする場所が間違っているのではないですか
あなたは毎日
靴のかかとで
ノックしてきました
舗装された道や
家の近くの狭い道
校庭に敷き詰められた砂利の上
電車の床
石段やエスカレーターの鉄の階段
そのほかにもありとあらゆる場所をかかとでノックしてきましたが
間違っていたのではないですか?
そのノックの音に誰も返事をしなかったのですから
あなたはこの先もノックを続けますか?
いつまでも飽きることなく続けるのでしょうか
ノックする場所を変えてみたらいかがですか?
そういうわたしも
長年続けてきて思い通りいかないことがあります
自分ではなかなか冷静に対応策をかんがえられないものです
いつ反応があるかわからないものに対しては
おっと
誰かが来たようです
ノックの音がしました
では また
あなたは毎日
靴のかかとで
ノックしてきました
舗装された道や
家の近くの狭い道
校庭に敷き詰められた砂利の上
電車の床
石段やエスカレーターの鉄の階段
そのほかにもありとあらゆる場所をかかとでノックしてきましたが
間違っていたのではないですか?
そのノックの音に誰も返事をしなかったのですから
あなたはこの先もノックを続けますか?
いつまでも飽きることなく続けるのでしょうか
ノックする場所を変えてみたらいかがですか?
そういうわたしも
長年続けてきて思い通りいかないことがあります
自分ではなかなか冷静に対応策をかんがえられないものです
いつ反応があるかわからないものに対しては
おっと
誰かが来たようです
ノックの音がしました
では また
2010年12月24日金曜日
2010年12月23日木曜日
眼差しを留めるもの
誰も自分のことなど解ってくれない
そんな眼差しが
道端の枯葉を見つめていた
枯葉は思った
木に茂っていたころ
同じ瞳がわたしを見上げていた と
雨が降り
風が吹いて
星が綺麗な夜に
枯葉は木から落ちた
枯葉が居なくなったところに
小さな空ができた
その空は
孤独な眼差しに満たされるのを
待って木に引っかかっている
そんな眼差しが
道端の枯葉を見つめていた
枯葉は思った
木に茂っていたころ
同じ瞳がわたしを見上げていた と
雨が降り
風が吹いて
星が綺麗な夜に
枯葉は木から落ちた
枯葉が居なくなったところに
小さな空ができた
その空は
孤独な眼差しに満たされるのを
待って木に引っかかっている
2010年12月22日水曜日
沼よ
駅のエスカレーターを昇りながら悩みごとの沼が体からはみ出ているあなただけれど
その沼には絵にもならないほど美しい小ぶりのはすの花がいくつも咲いている
はすの花はどれも首を曲げて悩んでいるけれど
そのせいであなたの悩みごとは空に向かい少しずつ蒸発をつづけている
あなたはその蒸発をむしろ止めたいと思っている自分に驚いているけれど
悩みごとは連鎖して他人のものまで絡みついて繋がっていくので際限がないことにもすぐに気付いてしまう
沼をはみ出させながらあなたはイルミネーションに彩られた並木道を歩いてゆくけれど
並木道からも気づくと沼がはみ出し始めて
歩いていく人の多くからも次々と沼がはみ出してきて
すぐにそれらが交わって混沌とした情景が生まれてしまう
あなたは知らん顔を装ってスタスタ歩いてゆく
目的地にいかなければならない
生きていくためのお金を稼がなければならない
一度一生生活するのに程よいお金が玄関先に置いてあったことがあったが
それは夢だったようだ
脇目も振らない振りをしてあなたは歩く
ブーツの下から泥が溢れてきて
ずぼずぼ音を立てている
その沼には絵にもならないほど美しい小ぶりのはすの花がいくつも咲いている
はすの花はどれも首を曲げて悩んでいるけれど
そのせいであなたの悩みごとは空に向かい少しずつ蒸発をつづけている
あなたはその蒸発をむしろ止めたいと思っている自分に驚いているけれど
悩みごとは連鎖して他人のものまで絡みついて繋がっていくので際限がないことにもすぐに気付いてしまう
沼をはみ出させながらあなたはイルミネーションに彩られた並木道を歩いてゆくけれど
並木道からも気づくと沼がはみ出し始めて
歩いていく人の多くからも次々と沼がはみ出してきて
すぐにそれらが交わって混沌とした情景が生まれてしまう
あなたは知らん顔を装ってスタスタ歩いてゆく
目的地にいかなければならない
生きていくためのお金を稼がなければならない
一度一生生活するのに程よいお金が玄関先に置いてあったことがあったが
それは夢だったようだ
脇目も振らない振りをしてあなたは歩く
ブーツの下から泥が溢れてきて
ずぼずぼ音を立てている
2010年12月21日火曜日
仕事
二階にあなたが探しているものがある
そのせいで
一階は水浸しだ
奥の階段を登り
鉄の扉を開け
次の木の扉を開けると
ガラスの向こうがブースになっている
テーブルの黒い天板の上には
マイクロホンが設置されている
ここから実況中継をするというわけだ
あなたがキューを振れば
ブースの男はカフを上げて
女と始めるだろう
ほら 二人とも
もう半裸状態だ
台本そっちのけでよくやるものだ
黒い天板に乗せられた女に
男が覆いかぶさっている
女は挑発的な眼をして腰を揺らす
いつの間にか室内なのに雨が降り出した
台風のような生温かい雨だ
もうわけがわからないほど
荒れ始めた
それで
あなたは何度もキューを振るのだが
何のキューなのか
もう誰にもわからなくなっている
BGMが高らかに盛り上がり
世界を嬌声が脅かす
男と女はいつまでも飽きることなく
つづけている
私は
あなたを置き去りにして
次の仕事場に向かわなければならない
夜空に浮かぶ月や黒雲さえ置き去りにして
そのせいで
一階は水浸しだ
奥の階段を登り
鉄の扉を開け
次の木の扉を開けると
ガラスの向こうがブースになっている
テーブルの黒い天板の上には
マイクロホンが設置されている
ここから実況中継をするというわけだ
あなたがキューを振れば
ブースの男はカフを上げて
女と始めるだろう
ほら 二人とも
もう半裸状態だ
台本そっちのけでよくやるものだ
黒い天板に乗せられた女に
男が覆いかぶさっている
女は挑発的な眼をして腰を揺らす
いつの間にか室内なのに雨が降り出した
台風のような生温かい雨だ
もうわけがわからないほど
荒れ始めた
それで
あなたは何度もキューを振るのだが
何のキューなのか
もう誰にもわからなくなっている
BGMが高らかに盛り上がり
世界を嬌声が脅かす
男と女はいつまでも飽きることなく
つづけている
私は
あなたを置き去りにして
次の仕事場に向かわなければならない
夜空に浮かぶ月や黒雲さえ置き去りにして
2010年12月20日月曜日
タクシーは待っていない
長い夢からさめて
ターミナルを出ると
放射能を撒き散らしたような
明るい鮮やかな夕空が待ち構えていた
とにかく何かしなければと
僕らはとっさに行く先のことを考えていた
そしてこの夕空が意味するところを見極められるはずだ
いつか観た映画の一シーンに答えがあるかもしれない
リニアがタクシーの向こうを走っていく
あのリニアは実験が途中なので
こんな日は危険だ
いや もしかするとあのリニアのせいで
空がこんな色になっているのかもしれない
どこかの時空にねじれて衝突して
夢の世界から何かが滲み出してしまったとも考えられる
タクシーに乗れば災難を避けて
田舎にたどり着けるだろう
街道を結ぶバイパスを二つ通り
東西に伸びる線路を横切って
あの村に行けば
とり返しがつかないことにはなるまい
僕らは連れ立って
人気のまばらなタクシー乗り場にきた
タクシーに乗ると
タクシーは行き先を尋ねることもなくドアを閉め
急発進した
バイパスの橋を渡ると
僕らは思い立って寄り道することにした
その家に入ると
主人は寝室で寝入っていた
僕らが入ると
主人は癇癪を立てて何かを叫び
やがてたしなめるように言った
昨日帰ってきたばかりなのに
直ぐに仕事があり
時差ぼけがきついが
望むところだ
生きている間中ずっと何かをし続けなければならない
寝ている以外は
寝る間も惜しんでしなければ
叱られた気分を抱えて僕らは外に出た
すると待っているはずのタクシーはいなかった
空には星が沢山出過ぎていた
いつもみる一等星より大きな星ばかりだ
その明るさに目がくらみ
ぼくらは思わず倒れこんだ
眠るためではなく
ただ明るさから逃れるために
藁の匂いがした
ターミナルを出ると
放射能を撒き散らしたような
明るい鮮やかな夕空が待ち構えていた
とにかく何かしなければと
僕らはとっさに行く先のことを考えていた
そしてこの夕空が意味するところを見極められるはずだ
いつか観た映画の一シーンに答えがあるかもしれない
リニアがタクシーの向こうを走っていく
あのリニアは実験が途中なので
こんな日は危険だ
いや もしかするとあのリニアのせいで
空がこんな色になっているのかもしれない
どこかの時空にねじれて衝突して
夢の世界から何かが滲み出してしまったとも考えられる
タクシーに乗れば災難を避けて
田舎にたどり着けるだろう
街道を結ぶバイパスを二つ通り
東西に伸びる線路を横切って
あの村に行けば
とり返しがつかないことにはなるまい
僕らは連れ立って
人気のまばらなタクシー乗り場にきた
タクシーに乗ると
タクシーは行き先を尋ねることもなくドアを閉め
急発進した
バイパスの橋を渡ると
僕らは思い立って寄り道することにした
その家に入ると
主人は寝室で寝入っていた
僕らが入ると
主人は癇癪を立てて何かを叫び
やがてたしなめるように言った
昨日帰ってきたばかりなのに
直ぐに仕事があり
時差ぼけがきついが
望むところだ
生きている間中ずっと何かをし続けなければならない
寝ている以外は
寝る間も惜しんでしなければ
叱られた気分を抱えて僕らは外に出た
すると待っているはずのタクシーはいなかった
空には星が沢山出過ぎていた
いつもみる一等星より大きな星ばかりだ
その明るさに目がくらみ
ぼくらは思わず倒れこんだ
眠るためではなく
ただ明るさから逃れるために
藁の匂いがした
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