2011年12月13日火曜日

幸せの顔

幸せになれないよ

あなたは
幸せになれない

なっても
すぐに
不幸になるよ

それに
幸せになっても
気づかないよ きっと

あなたは
幸せの顔を
知らないし
欲深いから

不満をたくさん持っていると
幸せの手を握れない

あなたは
欲望をかかえて
何処までいくの?

心配している人も
そのままにして
息を切らして
なぜそんなに急いで
その山を登るの?

ちょっとくつろぎすぎ?

2011年12月12日月曜日

北京の書店で

12/9 谷川俊太郎さんと田原さんのトークショーのお手伝い。質問者の間をマイクを持って行ったり来たり。楽しかった

未来の日

木の上の方が
明るい緑の葉を風に翻らせて
辺りを見回している
鳥は
木の代弁者として
飛び回っている

あなたは未来の日に
あのときどうしたらよかったのだろう

考えて
いくつもの答えのパズルを繰り返している

未来のことを考えているのに
過去の自分を省みている姿をイメージしてしまうのは
やめられないのだろうか

つよい後悔が足下を覆い
道は見えなくなっているのか

月のない田舎の闇夜より暗い
都会にいるあなたの心の闇

私が掬い出せるのなら
手伝ってあげたい

だが
未来のあなたは
今の私だから
それも無理なことなのだろうか
分からないまま
鳥は
巣に帰って行った

2011年12月11日日曜日

詩の時間

笑顔で別れたあのひとが

いきなり目の前に現れた


 


といっても似ているだけのひと


おまけに二人連れで


とても仲よさそう


 


私はよく見える席に座っていて


二人に見入っている


あっ ビールの泡が


唇の周りに着いているのに


気にせずに見つめ合っている


 


二人は静かに


会話をしている


何を話しているか悟られないようにして


二人の世界を守っているのだろう


 


私はチキンにソースを絡ませて


ココナッツライスと一緒に頬張る


彼女は


煮込んだチキンを箸で割いて


ひとかけらを口に入れる


 


私は大きなベッドの上に横たわった


彼女の足の方から彼女の中心めがけてダイブする


 


彼女は前を見つめて


相手の言葉に相槌を打つが


男は小さな椀に入った麺をすする


 


私は彼女の視線に絡め取られて


言葉を失う


 


勘定を済ませて


歩き始める


2011年12月10日土曜日

ドレミ

笑顔は誰からもらったの
その笑顔で
あなたは
質問する
「なぜ笑っているの?」

わたしは
答えられずに
もう一度笑顔をつくりなおした
だから
二度目の笑顔はにせ物

あなたはもう
わかっているね
あなたは
自分の夢のために熱心で
そのせいで優しい人になっている

わたしはあなたに
「優しい人ね」
といわれたとき
わたしが優しいのは
ほかに何もできないからなのだと
告白できなかった

タイミンクを
逸してね

でも
きょうは
月食の日
おもてには
たくさんの人が集まって
わいわい月食を観たり
写真に撮ったりしながら
この時間を楽しんでいる

月は
優しさがあるのかな
だから
たまには
地球の影に隠れて
太陽に見えないところで
嘘をついてみたいのかな

でも
私たちが観ているのにね

2011年12月9日金曜日

プレゼント


箱の中に


箱が入っていた


その中にも


箱が入っていた


 


いくら開けてみても


中から箱が出てきた


 


18個目を開けたとき


彼は


やっと気づいた


 


箱の中には何も入っていない


箱の外に


彼女からの


贈り物が入っていたのだ


2011年12月8日木曜日

調整日

きょうの顔は
気にいらない
冴えない
色が悪く
覇気がない
眼も充血している

お腹の辺りも
たるんだ感じ
目立たない服着て
当たり障りなく
過ごしたい

食べものに注意して
バランスよく少なめに
そして早く帰宅して
考えごとをしよう

勝負は
別の日にしよう
きょうは
調整日

大事な人から
優しい電話が
来ませんように

2011年12月7日水曜日

中身


ちょうどいい容れ物が見つからなかったのか


その朝
 
その辺に放ってあった黄色い容れ物に投げ込まれた

 


 


そのせいか


私はいつまでたっても居心地がわるい


首のあたりがフワフワし


節々が痛い


 


脳裏をヤドカリの中身が横切って行く


2011年12月6日火曜日

マリン



あなたのことを


きょうは


マリンと呼ぼう


 


あなたのうなじから


海の香りはしてこないけれど


あなたの瞳に


海の底の星空は映っていないけれど


 


きょうは


あなたのことを


マリンと呼ぼう


 


あなたは自分のことを


不器用だと言うけれど


 


私は あなたから


その器用な身のこなしを学んでいる



いつか


告げたことがあった


 


あなたはまた


人間関係が苦手だと言ったけれど


あなたの周りには


いつもあなたを求めて素敵な人が


集まっていた


 


マリン 


と呼んでも


マリリンモンローを連想しないでくれ


いっそプリンや風鈴の方がまだ近いのだから

 

 


きょうは


煩わしいことが片付いて


いま


何が煩わしかったのかさえ


リアルには思い出せないくらいに


脱力し


重力となって地面に落ちている


 


マリン


あなたは


あなたであって


あなたではない別の誰か


 


マリンは


私を


何と呼んでくれるのだろう


朝のベッドのシーツの中で