2010年9月9日木曜日

努力しているケーキ

どうやったらおいしくなるかという問いが詰まっているケーキは芸術品!

2010年9月8日水曜日

傷心

道の端っこをしよんぼり歩くことを許してくれないか、世界さん。
こんな蒸し暑い月のない夜だから、
逃げ帰る自分の影も薄く、
存在をより薄くしてくれるから、
戯言や愚痴を言うことを許してくれないか、世界さん。

世界の友達さん。
見えないところにいる知り合いの皆さん
どうか気付かないで。ね。
僕のことに。

世界さん、いつか
懺悔してみましょう。
僕が立ったところが
自分と世界の交わる中心だと
大手を振っていえる日に。

今は、そのことに堪えられないから
道の端っこを進みます。

小さな自分のアパートに向かって。
小さな虫が鳴いているその上空を。

2010年9月7日火曜日

裏庭には

裏庭には 二羽ニワトリがいる
世の中には 悪い人がいる
裏庭には 二羽ニワトリがいる
世の中には いい人がいる
裏庭には 二羽ニワトリがいる
世の中には 知らん顔の人がいる
裏庭には 二羽ニワトリがいる
世の中には 恨みを持った人がいる
裏庭には 二羽ニワトリがいる
世の中には たくさんの人がいる
裏庭には 二羽ニワトリがいる
世の中には たくさんのニワトリがいる
裏庭には 二羽ニワトリがいる

2010年9月6日月曜日

いつか行った場所

そこに あのときの
自分はいない
いるのは 
いまの 自分だけ

いや、そうじゃない…
見渡せば
他人がいる 
いっぱい…

面影というのは
どこに出現するものなんだろう
どもるように呟いて
尋ねようとしていたら
僕の中できみが答えた

「あなたの知らない
夢枕のうえよ」

初夏の糺の森


2010年9月5日日曜日

秋の事件Ⅱ

夏祭りの後
あっという間にやってきた秋祭り
子どもたちが担ぐ神輿がやってきた
からからと紙の飾り物を回して揺らす風は
もう寒い季節に向かって吹いていく

きょうは夕日が美しいことを
思い出すだろう
いつか見た夕日
美しかったいろいろなもの

2010年9月4日土曜日

束ねた髪の 後ろを歩く

束ねた髪を振り子のように
揺らして歩く
月夜の道を

束ねた髪の振り子を見つめ
一緒に揺れる
リズムをとって

束ねた髪が
かすかに香る
遺影の前の
果物のよう

2010年9月3日金曜日

いったきり

とっつきにくいひとに
とっつきにくいひとだといわれ
やさしくないひとに
やさしくないねといわれ
あいするあのひとに
あいしてないといわれる
ありきたりのはなし
いったきりのやまのてせん

2010年9月2日木曜日

毎日首つり

目を覚ますとき
毎日首がつられる

硬いロープで
喉を締め付けられて
気が遠くなる勢いで
目を覚ます

それでも
目覚まし時計で起きるよりは
自分らしい
と思う

眠るときは
馴れない手漕ぎボートで
小さな波を超えていく

目的地は見えず
永遠に近づけない
虚しさの重みで
沈んでいく

2010年9月1日水曜日

そのままのきみで

そのままのきみでいい
と 言ってみたくなった
心の中で言うことさえためらわれる
自信に満ちたことば

このままの自分では
だめな自分が
きみを
逃がすまいとしているのか

このままでいい
と 思っていないきみが
見つめる先に
脇目も振らずに歩いていく人の姿がある