2014年5月4日日曜日

森の化石

森が白い球を隠し持っている
初夏の日
私はそれに気づいた

森は青い空を背景に
森のような顔をして
佇んでいる
(森は自分が森ではないと
 自ら思おうと努力していた)

森は
人の眼を信じていないので
高をくくって
堂々と なし崩して
白い球を高く掲げている

森は油断し
木々に注意をうながすこともしない
昔はそうではなかったのだが

森は淡い夢を見ている
その白球を
あの恐ろしい強打者めがけて投げ込むことを
投げ込まれた白球は打者が翻弄する隙間もないほど速く
おそらく音速で捕手のミットに収まる

その一部始終を
私は目撃するだろう
森は完全に敗北するだろう
森としての役目は
その時終わる
森の木々は
もうただの木の一本一本となり
化石とともに
地に横たわる道しか残されていない

2014年5月2日金曜日

名もない命として

空気が閉じ込められた
一粒の氷
グラスの中で揺らすと
心地よい音がする

私も
心地よい音で
鳴りたいと思う

遠い雷雲から落下した滴が
地を這って希った果てない夢を
この喉で受け止めて
声にしたい

星空の電波で
この星の人に伝えたい
人としてではなく
名もない命として

2014年5月1日木曜日

ビルのガラス窓に映った雲が
流れていく

あの雲は友だち
雨を降らさない雲は
何のために漂っている?

私たちを見下ろして
気分がいいだろう
きっと自分の小ささを感じて

大志を抱いているだろう

2014年4月30日水曜日

ともだちにしよう

ちからをもてあますより
なにかいいことにつかいたい

いらいらするより
みかたをみつけていっしょにてきにいどもう

うつむいてふさぎこんでも
あしもとのちいさなはなからパワーをもらおう

すぎたひびはにどとこない
これからくるひびをともだちにしよう

2014年4月29日火曜日

はなびらのかげに かくれて

はなびらのかげに
かくれて
めをつむり
こわいことが
おわるのを
まっています

すると
いいかおりが
わたしに
しらせてくれます
もう
こわいことは
おわった と

わたしは
めをひらいて
はなびらのかげから
でていきます
でんでんむしが
うしろから
ながめています

こわいことはもうおわり
そこには
いいかおりのくうきが
あるだけです
わたしは
はなはつよくて
すごい とおもいました

でも
ちいさなはなのたねが
まだ わたしのぽけっとのなかで
めをつむってふるえていました

2014年4月28日月曜日

ミミナガペンギンがとおせんぼしていた

ミミナガペンギンがとおせんぼしていた
ぼくはオナラをしにあっちへいきたいのに
オナラはひっこんでしまった
そしたらミミナガペンギンがしゃっくりしはじめた
ぼくはくまざさのあはっぱで
ミミナガペンギンのみみをこちょこちょした
するとミミナガペンギンはのたうちまわって
わらうのをこらえてた
うえのほうからおならのおとがきこえた
ペリカンきょうだいがそらをとんでいた
ぼくはしゃっくりしたくなったが
がまんした

2014年4月27日日曜日

友だちとけんかした日

ベランダに放ってあった古い木の椅子と
1年ぶりに咲いたチューリップが
気持ちよさそうに
いっしょに日差しを浴びている

いつの間に
仲良くなったの?

言葉をしゃべらないものどうし
どうやって仲良くなったの?

友だちとけんかした日


2014年4月26日土曜日

心のなかに

心のなかに
空を取り込んだ
目を瞑ると
そこに青空が広がり
ゆっくり息を吸うと
雲が風に流れはじめた

静かにしていると
時間も佇んだ

頭をを回すと
宇宙が転がって
夜の星と昼の太陽が渦巻いた

心のなかに
自分もとりこんだ
見渡す限りの草原を駆けて行き
丘から世界を見渡した
地平線が空と地との境界を記していた

心を手にとって
柔らかさを確かめた
少し固かったので
揉みしだいて柔らかくした

頬が緩み
目から涙が落ちた

舌先で波が打っていた
海鳥が飛び交い
私は小舟を海に浮かべ漂よった

心の空に
花火が打ち上がった
昼間なのに
まばゆい光の輪が広がった

2014年4月25日金曜日

階段を降りたところに

           」
          」
         」
        」
       」
      」
     」
    」
   」
  」
 」


ある夕
急な階段を降りたところにあなたは立っていた
私が声をかけようとしたら

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
あなたはサッシを開けて庭の細い道を
うさぎのように逃げていった

あれから
あなたの姿を見ない

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同じような毎日が続いた

私は再び
階段を降りてあなたを見つけようとしたが

階段を見つけることができなかった

2014年4月24日木曜日

こわい ねむりおとこ

ひとのゆめにでてきて
ねむってしまう
ねむりおとこ

ねむりおとこが
でてくると
みたひとは
ねむれなくなる

それは
ねむりおとこは
ねむりおとこをみたひとのかわりに
ねむってしまうおとこだから

だが
ねむりおとこをみたひとは
おきているとき
ねむりおとこのことを
おもいだせない

ねむりおとこは
みたひとがねむらなくても
みたひとのかわりに
ねむってしまう

たまに
ねむりおとこが
どこかにでかけると
ねむりおとこをみたひとは
ねむれる

ねむりのさかを
きゅうこうかして
ねむりにおちてゆく

そして
ねむりおとこのことを
おもいだして
こわくてふるえる

ねむりおとこが
かえってきませんように
といのる

いのりながら
ゆめをたてつづけにみる

そして
めをさます

いや
はんたいだ
ほんとうは
いま
ねむりにおちたのだが
それに
きづくことはない











ここにある
ねむりおとこの
しゃしんが みえますか